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『TLS第四話』  作者: 黒田純能介
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午前零時


時計の針が、零時を指した。


既に辺りには人影一つ見受けられない。


……結局、誰かが現れる事は無かった。


ビルの陰で如月が顔を上げる。


「…行くぞ。浅野」


その声に、愛用している戦闘杖を持ち替えた。


「はいっ」



予め目星を付けていたビルの裏口に近付く。…鍵が掛かっていた。


「…壊すか」


「おわ…!?ちょっと!」


いきなり背に負う刀を抜こうとした如月を制する。


「ダメっすよ。いきなりそんな事しちゃ。センサーでも掛かってたらあっという間に囲まれちゃいます」


「ではどうする?開けてくれとでも頼むのか?」


浅野がニヤリとする。


「それで開けてくれたら苦労しませんよ。…コイツを使います」


そう言い、サイドバッグから小箱を取り出す。


「最近流行ってるピッキングツール。最新型ですよ。このタイプの扉なら開錠と、センサーカットも出来る筈です」


「……本当か?」


浅野を見る目は明らかに疑っていた。


「ひ、ヒドい…。任せて下さいよ」


「フン、やってみせろ。出来なければ私が叩き壊す」


…何を壊すのか聞かないでおこう、と思いつつ小箱を開ける。




「まずはセンサーをカットします」


箱の中から、磁石の様な楕円形の石を取り出すと、扉を見上げる。


…あった。扉上部と、僅かな隙間を挟み壁から小さな突起物がそれぞれ付いている。


「コイツを取り付けて…っと」


器用に戦闘杖を足場にし、先程の楕円形の石を取り付ける。


「……よし。よっ、と」


飛び降りると再び小箱を開ける。中から幾つかの器具を取り出すと、鍵穴に差し込む。


「ん~。ん、ん、ん」


カチャン。


軽い金属音がし、開錠される。


「………」


そっ、と扉を開け、内部を窺う。…何も起こらない。上手くいった事に胸を撫で下ろす。


「やりましたよ。見つからない内に行きましょう」


ややトーンを落とし、振り向きざま背後の如月に声を掛けた。


「って、うを!?」


敵が居た訳では無い。

如月が刀を構え、今にも斬りかかりそうな体勢だったからだ。


「何だ…上手くいったのか」


「ほ…本気だったんですか…」


「何を言う。冗談だ」


冗談に見えねぇ…。などと思いつつ扉を大きく開けると、内部に足を踏み入れた。如月が後に続く。


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