写真
「そんな…まさか」
浅野が呆然とする。
封筒に入っていた写真には、腹を刺され仰向けに倒れる皇が写し出されていた。
「知っているのか?」
如月の問いに首を縦に振る。
「はい…。この作戦の補充人員であり、布津さんと昔一緒に闘っていた人です…。」
「………」
みるみるうちに如月の表情が渋くなる。
「くそっ…。一体誰が…」
「仕方あるまい。私達だけでやるしかない。…助っ人、というのもあまりアテにできん」
写真を封筒に戻す。懐にしまうと、出口へと歩き出す。
浅野は険しい表情をしていたが、やがて如月の後を追っていった。
浅野が手配した車両に飛び乗り、目的地へと向かう。勿論運転手は『CROW』のスタッフである。
「……はい。はい。了解しました」
浅野が何処かに電話をしている。話が終わり、通話を切った。
「その写真に付いては、現地にスタッフを寄越すので、その時に渡してくれとの事です。…ある程度の調査が済むまで待機になるみたいですね」
「…そうか」
現在、夕刻を回る所である。目的地はそう遠く無い為、到着は夜になった頃であろう。
作戦開始は深夜だな…。
むしろ都合が良い。まさか真っ昼間から目立つ行動も出来ない。このタイミングはおあつらえ向きであった。
―――如月達を乗せた車が、夜の帳の降りつつあるハイウェイを走り抜けて行く。