三日前
「また戻るのかぁ」
皇は前日に届いていた手紙の内容を思い出す。
『東京にて特別作戦展開予定。至急帰還されたし。内容は現隊員、布津 純能介の救出』
「アイツがそんなヘマするなんてなぁ…」
駅からの道行きでそう呟きながら歩いていた時だった。
「こんにちは」
聞き覚えのある声に、ハッとして振り向く。
「裏葉ちゃん!?久し振りだね!…俺を迎えに来てくれたんだ?」
「はい!本部から合流予定場所に連れてくるように、との命令で来ました」
そう言い、笑みを浮かべる。
「ありがとう!んじゃ、お願いするよ」
「えぇ。ではこちらへ…」
月野が先頭に立って歩き出すと、皇が後を追っていった。
スタスタスタ…。
人混みを抜け、裏通りに入る。しばらく歩くと、全く人通りが無くなった。
「随分歩くんだね…。大変だなぁ」
何とは無しに声を掛ける。
「えぇ。やっぱり目立つのは避けたいですからね」
淡々と月野が答える。
その後、数分歩いた時。不意に月野が立ち止まった。
「……?どうかした?」
合流地点は通常、詰所を用意しているはず。しかし周りには何も無い。皇が訝しげな声を上げるのは必定だった。
「皇さん。ちょっとお願いがあるんですけど」
月野が振り向き云う。
「え?何かな?」
疑問の表情を浮かべながら答える。
「…死んで下さい」
ドスッ。
腹部に冷たい痛み。
「……ぇ?うら、は、ちゃん……?」
あまりの速さに、刺された事すら気付くのが遅れる。
自分の腹に、深々と短剣が刺さっているのが見えた。
…膝が笑う。
「ど…して……」
ドサッ。
皇は仰向けに倒れると、そのまま動かなくなった。
「………」
倒れた皇を無表情に見下ろすと、月野はその場を去っていった。




