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死者よ眠れ
「オオオォォォッ!!」
「でりゃぁぁぁっ!!」
ドガァァッ!!
浅野の拳が梶浦の胸に沈み、梶浦の拳が浅野の顔面を捉えていた。
「…グフゥッ!」
梶浦の口から血が溢れる。
「ぐ…あっ…」
浅野がよろめく。
…ドサッッ。
先に倒れたのは梶浦だった。
「……おれ、は、また死ぬ、のか…」
虚空に手を伸ばす。
「き、さら、ぎ…お前は、おれが、」
パタッ。
伸ばした手が落ちる。そのまま二度と動かなくなった。
フラ…フラ…。
浅野が背を向け、エレベーターへと向かう。
バヅンッ!!
浅野の全身から血が噴き出す。
「うぐぁっ!……ハァ…ハァ…。副作用、か…」
その歩みが止まる。
…全身が痛む。
血が止まらない。
視界が黒く染まっていく。
死が見える。
「きさ、らぎ、さん…。俺は、もう…」
フラッ…
…ドサッ。
「あとは、たの…」
言葉が最後まで紡がれる事は無かった。