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『TLS第四話』  作者: 黒田純能介
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守名 庵


男が足を踏み出す。


カチッ


「!?」


ズガァァァンン!!!!


突如起きた爆発。男は躱す間も無く爆風と炎に包まれる。


…守名が踵を返す。


「…お前がな」


ふと、顎に手を当てる。


「…名は無いか。忍法『欺き』…という所だ。お前は此処に降り立った時点で、俺の術中に嵌まっていた」


守名は始めから、男に手裏剣を叩き落とされる事も、斬撃を見切られる事も、相手が身を伏せる事も、そしてその場を動かない事も予想していた。


それを見越し、斬撃を弾かれた時に爆薬を仕掛けていた。しかも、身を伏せただけでは気付かぬ様、巧妙に。


ヒュンヒュンヒュン。


爆風で天高く巻き上げられた剣が降ってくる。


スタンッ。コンクリートに突き刺さった。


ヒュウゥ…。


冷たい風が、炎を吹き消していく。


「随分大層な墓標になったな」


守名が歩き出す。


天に輝く月が、勝者を照らしていた。


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