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『TLS第四話』  作者: 黒田純能介
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一階


浅野を先頭に、二人は照明の落ちた通路を進んでいた。


長い廊下。…ともすると、冥府への道の様にも思えた。


「………!」


浅野が急に立ち止まる。


「どうした?」


「静かにっ。何か聞こえませんか?」


その言葉に耳を澄ます。


………カタンッ。


後方、自分達が歩いてきた方から、何かが落ちる音。


「………?」


……カタンッ。ガタンッ。


音が近付いてくる。しかし目を凝らしても、正体は窺えなかった。


一歩、二歩と後ずさる。


…ガタンッ。ガタンッ!


それが何かに気付いた瞬間、二人が脱兎の如く駆け出す!


「ちいっ!」


「くっそおおぉ!」


迫る音の正体。それは次々と閉じられていくシャッターの音だった。


ガタンッ!ガタンッ!ガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタンッッッ!!


「浅野!…キサマァァァ!」


「そんなぁぁぁ!!」


全力疾走の二人。その眼前にぼんやりとした光が見えた。


「……!!」


「エントランスだ!あそこまで逃げ切れれば…!」


ガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタンッッッッ!!!!


「でやぁっ!」


「ハアッ!」


ガシャァンッッッ!!


寸での所で、最後のシャッター一枚の下を飛び込み潜り抜ける。


「ゼェ…ゼェ…」


「ハァ、ハァ…」


如月が息を切らせながら浅野を睨む。


「浅野……」


その声に手と首を左右にブンブンッ、と振る。


「ち、ちちちちちちちょっと待って下さいよっ。確かにセンサーは切れていましたって」


「…ならこれはどう言う事だ…?」


如月が背中の刀に手を掛ける。


「イヤーその、あのですね…」


浅野が弁解をしようと、言い訳を考えていた時だった。


「簡単よ。監視カメラに映ってたから」


「「!?」」


突如エントランスの奥、エレベーターの前から声がした。二人が同時に振り向く。


「………!」


如月が息を飲む。数ヶ月前の闘いが脳裏に蘇る。


そこにいたのは、鳴神。かつて取り逃がした記憶。まざまざと思い起こされた。


「お久し振り。如月 由雨。まだ生きていてくれたのね」


「キサマッ…何故私の名を」


ニヤリと残酷な笑みを浮かべる。


「そんなこと簡単よ。情報も武器の内。……さてと。お客様はおもてなししなくてはね」


パチンッ。


鳴神が指を鳴らすと、エレベーターが開く。


バタバタバタバタ…。


中から数十人の男達が現われる。全てスーツにサングラスという出で立ち。


「上で待ってるわ。せいぜい生き残ってね。…フフフ」


鳴神がエレベーターに乗り込み姿を消した。


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