6.日々弱っていく
寝たきりになったバロンを看続ける毎日。一日一日、確実に弱っていく。
寝返りを打ちたがって鳴き、排泄して鳴き、水を飲みたがって鳴き、夜中に呼吸が苦しくなって鳴く。
いずれは鳴く体力さえなくなるのだろうが、まだそこまで弱ってはいないようだ。一度鳴き始めると構ってもらえるまで鳴き続けるので、なかなか難儀だ。
床ずれは色々対策しているが、少しずつ悪化している。傷口は見るも無残な有り様で、薬を塗るために触れるのも躊躇われる。
むくんでいた顔や前足は、クッションや枕などで心臓より高い位置に上げておいたら少しむくみが引いた。痩せこけてしまった足の細さが切ない。
抱き起こす時も、以前は自分でも体を動かそうと踏んばったりしていたが、今ではぐにゃっとしたまま、力を入れる様子が見られない。完全にされるがまま、うっかり手を滑らせると床に打ちつけてしまう。
くたっとしたまま、目だけを動かして私の動きを追うのが日常になった。
呼吸は常に苦しそうで、水を飲むときに、よくむせる。起こした時には心臓に負担がかかるのか、乾いた咳がしばらく止まらない。抵抗力が落ちて、あちこちに炎症ができたり治ったりを繰り返した跡ができ、みすぼらしい姿になってしまった。
治してやりたいが、どうすることも出来ない。
荒い呼吸をしているバロンを見ていると、悲しみが込み上げてくる。
お座りした時の澄ました表情、凛々しい立ち姿、甘えてぐりぐり体を押し付けてくる仕草など、可愛かったバロンはもういない、年老いて弱った犬が横たわるのみ。
もっといっぱい遊んであげればよかった。もっと沢山走らせてあげればよかった。仕事で疲れているからと邪険に扱った日は、戻ってやり直したい。
そして、もういいよと言ってやりたい。
毎日苦しくて、起き上ることもままならないし、散歩にすら行けない日々では張合いもないだろう。
もう楽になっていいよ、バロン。
お前がいなくなるのは寂しいけれど、弱ったお前を見続けるのは辛いよ。お前の苦しげな息遣いで、私も苦しくなってしまう。
バロン、お前は後、どれくらい生きるのかな。




