いつかの光景
空間が砕け散った。
わしの意識が急速に遠のいていくが、不安はない。次に目を覚ましたとき、わしは自分の身を取り戻しているだろうという確信があった。
目を閉じる間際に、白昼夢のような光景が一瞬だけ浮かんでくる――……
穴倉を掘ってこしらえたような、地下の祭壇。
そこに立つ偽眷属と、金色の髪をした男性。
『……本当に、このような嘘でよかったのですか?』
『ああ。このくらいぶっ飛んだ嘘の方が、信仰が集まってお前の力になる。詐欺は大袈裟な方がいい。俺の経験則だ』
『いえ、そうではなく。あのタイザンカタリトカゲや、あなたの親類には事情を説明しておくべきでは?』
はっ、と金髪の男性は笑う。
『んなこと、言えるかよ』
『なぜ』
『いいんだよ。気ぃ使うな。これは俺の商売だ。俺はあのトカゲを上手く神輿に担いで、子孫代々美味い汁を吸わせてもらうのさ。それ以外の目的なんてありゃしねえ』
『私を作ったくせに、ずいぶんと嘘が下手ですね。あなたは』
偽眷属も、仮面の向こうで苦笑したような気配がある。
『嘘なもんか。俺みたいな奴が、あのトカゲに恩を返したいなんて――どんな面下げてりゃ、そんな偉そうなことが言えるよ』
その言葉に偽眷属が頷いた。
『では、いささかの無理は私が埋めるとしましょう。あなたのその下手糞な嘘を、見事に保ってみせますとも』
『……悪いな。頼んだ』
『いえ、礼には及びません』
祭壇を振り返る偽眷属。
その祭壇には、宝石飾りのついた短剣が祀られている。
『私としても、やりがいのある――とてもいい嘘だと思いますから』




