夢ー3
「どうした?終わりか?」
魔王はつまらなさそうな軽蔑の眼をしている。
「一番大切な人物を天秤にかけても何も願おうとしないなんてな」
願ってはいるさ。現に【】は生きている。魔王の攻撃で即死しないように俺は願ってるんだよ。
だが、死なないだけじゃだめなんだ。
倒さなきゃ。あいつを。
でも、今は倒すことができない。だったら・・・
俺は【】を見る。
【】は、苦しそうにしながらもずっと俺を見ていた。
決めた。
ブゥンとノイズがして、空間が黒く潰れるように歪んでいく。
「何をした?テツヤ!」
魔王は周りを見渡しながら少し動揺している。
「聞いてくれ」
俺は【】を見据えて言い放つ。
「どうやら俺たちは今勝てない。力不足だったみたいだ」
「逃げるつもりか?だったら・・・ん?
魔法が、使えない?」
「 だから、俺たちは、戻ろうと思う」
魔王は唖然として、慌てて魔法を唱える。だが、何も起こらない。
「なぜだ!なぜだぁぁ!何を願った!魔法を無くすことか?空間を切り離したのか?俺をホログラム化したのか?なんとか言えぇぇぇ!!」
「俺は、絶対おまえを離さないからな」
【】は頷くだけだった。もう声を出す力もないのだろう。
「肉体が、戻る?何をして・・・!」
骸骨の顔した魔王の顔がブレたり人間の顔になる。黒い電磁波の周りはもう形すらとどめさせない。
「信じてます。テツヤ様」
その眼にはさっきまでの絶望はなく、一筋の涙があった。
俺は息を吸い込み、大きく吐き出す。
「出会った頃に戻りたい」