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第10話 こんやくしゃがふえました

本日1回目の更新になります。

 コゼットの話はこうだった。

 フレイヤードの解体を宣言させることになった。

 こちらからは、ガゼット夫妻を連れていく。

 セレモニーが終わったら、元国王と王妃を連れてきてほしい。

 そこで前とは変わった王女を見せてあげて欲しいと。

「なるほど、理解できました」

「話が早いわね。助かるわ、イオリちゃん」

「いえ、今回はガゼットさんが主役ですからね。俺は黒子に徹しますから」

「先生、私も行っていいのかな?」

「それはお義母さんに聞いてくれないかな」

「母さん、駄目?」

「んー、駄目」

「えーっ」

 ぷーっと膨れてしまうマール。

「お母さんの言うことが聞けないのかしら? マールちゃん」

「わかりましたよぅ」

 伊織を見たコゼットは。

「早速これから向かって欲しいのだけど、イオリちゃんの予定は大丈夫?」

「はい、大丈夫です」

「もうガゼットには話してあるから、あっちに戻ったら出発して欲しいのね」

「はい、わかりました、それとなんですが」

「なぁに?」

「俺、この仕事終わったら、あちこち国を回って来ようと思ってるんです」

「あら、しばらく戻って来れないの?」

「いえ、数日に一度は戻ってきます」

「ならば、お母さんは許しちゃいます。行ってくるといいわ」

「はい。ありがとうございます」


 屋敷を出ると、すぐに転移する。

 ヴンッ

 伊織の部屋に転移するとマールが伊織をベッドに押し倒した。

「ちょ、マール。何してんのさ」

「んーっ、あむ、んっ、ぷぁっ。なんかちょっと先生がカレルナちゃんにデレデレしてたのが気に入らなかったのよ!」

「……ごめんなさい」

 マールは伊織に馬乗りになる。

「ちょっと、マールさん。ベルト外さないで。ズボン脱がさないで。ちょっと、やめてこんな真昼間から」

「んふふふ。火が点いちゃったんだもの。逃がさないわよ。逃げたら火だるまにしてあげるんだから」

「やめってー!」


 しばらく経って。

「うぅ……お嫁にいけない……ってセリフ、こんなときに言うんだろうな」

 伊織の上で寝そべっているマール。

 もちろん二人とも裸だった。

「えへへへ。ごちそうさまでした」

 その顔は、最近逃げられっぱなしでご無沙汰だったからか、妙にツヤツヤしているのだった。

「だからって、五回はないだろう……ほんと女の子って男と違って底なしなんだな」

「あら、まだできるわよ?」

 愛されているのは解かる、だけどなんかおかしい。

「勘弁してよ。それにあんなことどこで覚えたんだか。まさか貴族としての嗜みってやつなのか?」

「違うわよ。ヨールさんのところのお姉さん方に教えてもらったの。前にね」

 一番いけないのが、伊織の超回復であっちの方まで回復してしまうことだった。

「勉強熱心なのは魔法の研究だけにしてくれよ。って、あれ? 何か忘れてるような……」

「ん? もう一度する?」

「そっちじゃなくて……あっ! ガゼットさんと合流するんだった」

「あっ……」

「マール」

「ごめんなさい」

 伊織とマールは慌てて着替えようとしたが、汗と別のものでそのまま着替えるには。

 仕方ないから服だけ格納して、マールと風呂場へ転移することにした。


 リビングへ行くと、ガゼット夫妻は到着していた。

「遅かったね、お兄ちゃん」

「そうね、叔母さまとの話が長引いたのでしょう。お疲れさまでした」

「イオリさん。何かあったの?」

「いや、あの。バレちゃうだろうから、今のうちに言っておきます」

「どうしたイオリ。浮気でもしたのか?」

「あなた!」

「ご、ごめんなさい」

 自分より四〇センチは大きいガゼットを叱りつけるケリー。

 すっかり尻に敷かれているようだった。

「あのね。こんやくしゃがふえました」

「あたし以外に?」

「はい」

「イオリさん。今度はどなたなんです?」

 別に驚いていないセリーヌだった。

「はい。だいいちおうじょさまです」

「先生、しっかりして」

「あ、はい。この国の第一王女のカレルナちゃんです」

「お兄ちゃん、それ、犯罪じゃないの」

 ミルラの言葉で伊織に生暖かいどころじゃない視線が集まっていく。

 慌てて伊織は経緯を皆に話すことになった。

「そうですね、その状況では断れないと思います」

 最初にフォローをいれたのはセレンだった。

「先生の判断は仕方ないと思いますよ。断っていたらひと悶着あったでしょうからね。それに、メル姉さんだってこれでもお姫様ですから」

「マール。これでもってどういう意味よ!」

 クスクス笑っていたセリーヌ。

「メルお姉さんがお姫様。そうでしたね」

「セリーヌまで、ひどいよ……」

 バンッ

 テーブルを叩く音が聞こえた。

「これは非常事態よ!」

 ミルラが椅子から立ち上がって大声をあげた。

 皆の視線がミルラに集まった。

「あんな可愛い子相手じゃ、わたしの妹としての立場がなくなっちゃうじゃないの!」

 集まった皆の視線はそのまま苦笑へと変わっていった。


 伊織が素直に打ち明けたということで、今回の事態は収束していくのだった。

 すでに準備ができていたので三人で飛ぶことになった。

 今回の立場も一応、伊織は執事として二人についていくことになった。

「いってらっしゃい、先生」

「うん。大人しくしててよ?」

「大丈夫、あれだけしてもらったんだから。満足してるのよ」

「それって……」

 メルリードがジト目でマールを見てくる。

「じゃ、いってきます」

 ガゼット夫婦の肩を触ると。

 ヴンッ

 フレイヤードの城の城門前に転移してしまった。


読んでいただいてありがとうございます。


ブックマーク、及びご評価ありがとうございます。

これを糧にがんばりますので、よろしくお願いします。


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