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39.お米をとりもどせ!!

連休で体力回復したら、すぐに書けるようになったよー!(訳:あしたからおしごとはじまるのでさがさないでください

 さーて、やっとテルネラントのおうちに戻ってきましたー!!!


 もちろん馬車で数日かけて帰ってきましたよ?

 王都では恐怖にかられて空間魔法でワープしちゃいましたが、あれはとっても恐い魔法なので、あまり使ってはいけないのです。

 以前練習でワープの穴を開けて、木の枝を半分通した状態で穴を閉じたら、とってもきれいに真っ二つになりましたからねー。いわゆる次元斬ってやつです。

 進んでギロチンの下に来たがる人はいないでしょ? そういうことです。


 馬車の中でおかあさんから聞いたのですが、今回のお砂糖の取り引きは大成功だったみたいです。ご招待した領地持ち貴族さんたちは、ほとんど契約してくださったようです。

 海外からお船で運んでくるお砂糖より、国内で作られたお砂糖の方が送料的に安いですからねー。関税もかからないし。


 さて領内がお金持ちになったら、町にスーパーマーケット作ってくれませんかねー? 王都にはあったわけだし、こっちでも可能ではあると思います。

 食料品店はあれこれあるんですけど、町を歩くたびにご店主さん達からご挨拶されるので苦手なんですよねー。商品をレジに持って行って、「いくらです」「お釣りです」くらいでいいじゃないですか。

 それと売り物には味噌醤油などの調味料や、お米なんか置いて欲しいです。狩猟採取で農耕牧畜な自給自足の生活がメインでも、加工が面倒なやつは買って済ませたいですよね。

 ちなみにお米は量産できそうです。ミリアムさんがリョガンさんにおねだりしたそうですよ。「ヒャッハッハッ、種もみです! 今日より明日なんです!」と興奮してました。近日中に農業魔法で量産しないと、汚物として消毒されてしまいそうなので、優先的に処理しましょう。水田作るところが難しいんですよねー。どこで作りましょうかねー。

 お米ができたら次は味噌醤油用に大豆の量産でしょ?やることあり過ぎて、狩猟採取のスキルを身につける暇が無いのが困り物なんですよねー。


「エリーちん、こんにちー。誕生会どだったー?」


 ぽてぽて歩いていつもの農村エリアに着くと、魔術教室代表のカンナさんが出迎えてくれました。ちなみにもう1人の代表であるキース君は、他の男子数名と一緒にまだ学校で算数の居残りだそうです。……算数教室も同時開催するべきなのでしょうか?

 まあ、いないものはどうしようもありません。今いる人に協力を仰ぐことにしてみましょう。


「誕生会は……成功だったと母から聞いています。いっぱい人がいて、怖かったけどがんばりました」

「そりゃあ良かった。じゃ、今日もとうもろこし作ろっかー!」

「いえ、あの……今日は、別の作物を試してください。……お米、です」


 種もみを少し手のひらに出して見せると、教室の生徒が集まってきました。


「へー、今日はこれを畑にまけばいいのね?」

「ええと……水田を作ります。川の近くに、連れて行ってください。実験だから、3人くらい手伝ってください。他の人は、スレイア様ととうもろこしを作りましょう」

「ふーん、じゃスレイアちん、後は任した!」


 魔術教室のみなさんは、たぶん水魔法使えませんからね。川から持ってくるのが一番手っ取り早いでしょう。とすると、今度は水質が問題です。カルシウムたっぷりな硬水だと、何か影響があるかもしれません。だから実験です。


「さーて、水田ってどういう風に作るのかな?」


 ぽてぽて歩いて川まで来ました。カンナさんと居残りしないで済んだ男性2人が協力者です。早速耕して準備をしてみましょう。


「まずはいつもより深めに耕して、石も土も粉々のさらさらにしてください。苗を育ててから、最後に川から水を引き入れるので、水路を掘って堰で止めておいてください」

「OK。それじゃいっちょ始めようか」


 さすが熟練者達は一味も二味も違います。あっという間に栄養以外上等な土ができました。水を入れたら泥んこどろどろ間違い無しです。まずはこれでやってみましょう。


「それじゃ、種もみを蒔きます。20人分1升として、50粒くらいでしょうか」


 良く耕された土に、ぱらぱらと種もみを蒔いていきます。苗箱で育ててから水田に植え替える方法しか知らないけど、一度土で苗を育ててから水田にすれば同じことでしょう、うん。

 1粒ずつ等間隔に蒔いてから、農業魔法をかけてにょきにょき育てました。うん、根っこもしっかり張ってるみたいなので、倒れることはないでしょう。


「水を入れてくださーい」

「はいよー」


 川の方に作った堰を崩し、水を引き入れました。きれいな青田になりましたよ。

 ではここからが本番です。さらに農業魔法でにょっきにょっきと育てました。うん、たわわーって感じに実って、ぐんにょり曲がってきました。たぶんもうできあがりでしょう。


 試作なので、とりあえず穂の部分だけ包丁で切り取って収穫しました。

 ……あれ、脱穀やもみすりや精米って、どうやるんでしたっけ? とりあえず乾燥だけして、おうちに持って帰りましょう……。


 ◇


 ひゃっはっはー! お米だー!!! 今日の米より明日のチャーハンですよねー!!!!!

 リョガン師匠に乙女のお願いをして、なんとかお米の種もみをもらうことに成功したんです。乙女の勝利なのです。食欲の勝利と言った方には脳天に踵のモヒカンを立ててあげます。漏れなくです。


「で、これはどうやってご飯にするのでしょうか、お嬢様?」

「ええと、ミリアムさん近付きすぎで怖いです。……脱穀してもみすりをしてから精米するんですけど、機械でやらないと時間がかかりすぎますよね……」


 エリーお嬢様とご学友様達がお米を収穫してくださいましたが、このままでは食べられないようです。

 簡単に工程を説明していただきましたところ、お米と穂の茎部分をぷちぷち切り離す、ごりごりすってもみ殻を取る、がすがすこすってヌカを取る、という作業が必要なようです。

 成せば成る、成さねば成らぬ、何事も。昔の偉い人は言いました。機械が無い時代の人類は、全て手作業でやっていたはずです。できるできる! ネバーギブアップ!


「こうやって、板で挟んで……よいしょ」

「こうですか? どりゃー!!!」


 お嬢様からやり方を聞きながら、ご学友の方々を交えて実践です。マットを敷いて、板でこそぎ落とすように脱穀をしたら、数分で終わりましたよ。さすが人海戦術です。え、実際には何万本何十万本もやるんですか? これを? ……努力と根性と人海戦術とネバーギブアップがあればなんとかなるはずです。うん。


「ではワインの瓶にお米を入れて、棒で突きます。ある程度もみ殻が取れたら、篩(ふるい)にかけて分けます」

「こうですか? うりゃー!!!」


 乱暴にするとお米が割れるとお叱りを受けてしまいました。てへっ。

 お嬢様はすぐ疲れてしまったようですが、ご学友の方々は村の子ですので、大変熱心にもみ殻取りをしてくださいます。お米が瓶底に溜まってくるのが面白いようですね。

 それならばとお嬢様は篩係をやってくださいました。きれいにもみ殻と玄米ともみ付きお米に分かれていきます。もみ付きお米は目の前の山に戻されます。大変厳しいですが、努力と根性です。


「最後に、この玄米をワイン瓶に入れて……また突きます。割らない程度に軽くですよ?」

「こうですか? そりゃー!!!」


 ……延々と突き続けているわけですが、なんで真っ白になってくれないんですかねー? まだちょっと黄色っぽい色をしています。ご学友の方々も、ちょっと飽きてきたみたいです。やっぱり機械が必要なんじゃないですかね? ここは1つまたリョガン師匠にお願いしてですね。ええ、乙女のお願いですとも。


「うーん、風魔法ー!」

「はっ?」


 あまりに捗らないので、お嬢様が痺れを切らして瓶に風魔法をかけ始めました。おお、瓶内で風が回転して、玄米が激しくこすり合わさってはえらい勢いで表面がごりごり削れていきます。


「ミリアムさん、これでどうでしょうか?」

「おー! 真っ白です、これですこれ!」


 なるほど、風魔法! 風魔法なら得意技ですよ、【風魔術Lv5】ですし! 一応達人クラスって言われてますよ!

 自分でもやってみましたら、見事な白米が作れました! これでテルネラント領主家の食糧事情は大安泰です。

 ええと、放置されたご学友の皆様方が白い目でこっちを見ています。こっちは大安泰じゃないみたいです。どうしましょう?とお嬢様に聞いたら、「みなさんの新しい風魔法の先生で、ミリアムさんといいます。よろしくお願いします」と一足先にご紹介されてしまいました。


「よろしくお願いしまーす!」

「ミリアムちん、よろよろー」

「そんなことより早く教えてくれねーと、今日中に精米終わんねーぞこれ」


 どうしてこうなった。

 とりあえずリョガン師匠に各種機械を要求して憂さを晴らそう。うん、そうしよう。


 ◇


「みなさんの新しい風魔法の先生で、ミリアムさんといいます。よろしくお願いします」

「よろしくお願いしまーす!」


 新しい魔法の先生を、魔法教室生徒一同拍手で迎えた。

 いやー風魔法が覚えられるのは嬉しいねぇ。今までは【魔力操作】と【土魔術】【光魔術】【農業魔術】の3魔術くらいしかやってなかったし。

 これに【風魔術】のスキルが習得できるようになれば、軍に行きたい子も大喜びだろうねー。風の魔術騎士は軍でも花形だからね。風を纏っての高速格闘術はとってもかっこいいんだ。


「そんなことより早く教えてくれねーと、今日中に精米終わんねーぞこれ」

「そうですよね。ではミリアムさん、少し離れて基礎訓練をお願いします。私とスレイア様はこちらで精米をしておりますので」

「かしこまりました、お嬢様」


 うーん、こうやって見るとエリーちんってほんと貴族のお嬢様って感じだよねー。ワイン瓶でぶいーんて精米作業してなければ。あ、はい、練習します。

 ようやく全員が空気砲を撃てるくらいになった頃合に、エリーちんがみんなを呼びに来た。


「カンナさん、みなさんを集めて下さい。今日はお米が精米仕切れなかったので、一部をミリアムさん秘蔵のお米と、家宰のハロルドさん秘蔵のお醤油やお出汁を使って、炊き込みご飯にしてみました」

「そんな! ひどい!!!」

「ミリアムさんには新米を玄米で差し上げます。いつでも自分で精米して、新鮮なところを食べ放題じゃないですか」

「あ、ならいいです。いただきます」


 一瞬みんなのスプーンが止まったんだけど、あまりの美味しさに気にせずばくばく食べちゃった。

 さすがご領主様のお宅は20人分もの量でも一気に調理できるキャパシティあるんだねー。お貴族様はさすがだねぇ。


 こんなにお米が美味しいんじゃ、明日からの魔術教室は、とうもろこしとお米のダブル栽培開始かなー?

 精米は風魔法の習得具合次第だろうけど、そっちも先生ができたことだし、すぐできるようになるよね? たぶん。

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