最後の勇者

　神田千秋（かんだちあき）は極端に恵まれない境遇から、屈折はすれど特に曲がることなく十八歳まで現代日本で生きてきた。そんなある日、仕事に行こうとした彼の足元が突然発光し、魔法陣によって異世界へと勇者として召喚される。

　元の世界への未練から「魔王を倒したら、元の世界へと還す」という取引を召喚先にいた覇王と結び、二年の歳月をかけて辛くも魔王の殺害に成功する。しかし、魔王に勝利した直後から、外界と隔絶された結界の中に取り残され、封印されてしまった。封印されて後にそのことに気付いても後の祭、何もできることは無く、ただひたすらに封印の中で死なない様にするだけの単調な毎日……

　そんなある日、彼は偶々外界の人間が自分へとパスを繋げた魔術を行使したことを知る。それを足掛かりに、彼は外へと踏み出した。

＊以前書いた話のリメイク版です。序盤はあんまり変化がないですが、細部からストーリーに変更があります。

＊もしかすると前日譚は蛇足の可能性が。合わない人はプロローグからお読みください。前日譚を読まずとも本編で問題はありません。