第4話 結界の中に閉じ込められた!……という名の不幸
第4話をお贈りいたします。
序盤さくさくを目指していますがそれでも間に合わないとかっ!
『ちょっとどうなってんの!?』ってツッコまれると思いますが正直自分でも目測誤ってましたゴメンなさい。そんな第4話です。
(2012/10/27 体裁統一のためのチェック)
いやまあ、恥ずかしいカッコウなんて思っちゃったけど、魔法少女だ。うん、そうにちがいない。とにかく目の前の赤い女の子は僕を助けに来てくれたんだ!
「ナンダ、オ前ハ……」
「ナンダと聞かれちゃあ言わなくちゃね!」
赤い女の子は手に持った身の丈ほどの大剣を小手先でぶんぶん回して正眼に構えた。
「この身に宿すは情熱の炎! 炎の魔法少女、フェアリーレッド参上!」
あ、これ名乗りを上げるシーンだったんだ。え? アニメじゃないのにそんなムダなシーンあって良いの!?
「キサマ、魔法少女ナノカ……我ガ食事を邪魔シオッテ。許サヌ!」
オオカミが怒りの咆哮を上げて赤い女の子、いやフェアリーレッドさんに躍り掛かった。
上段から頭目がけて開いた口は、しかしフェアリーレッドさんにはかすりもしなかった。足元に一瞬爆炎がはしるとその衝撃を推進力に変えて真横に跳んだ。その衝撃はかなりの物だったのか地面が一部陥没してた。
真横に跳び、着地した足でさらに爆炎をはしらせる。
「でええええええええええい!!!!」
ひるがえった反動を基に大剣を力任せでオオカミの肩口に叩き付けた。
「グォア!?」
振り返る間も無く、オオカミはまた吹っ飛ばされたんだけど、驚くべきことにあれだけ大きな大剣で叩き斬られたはずなのに傷一つ負っていないらしい。
「さあ、そこの少女、今の内に逃げなさい!」
ああ、えっと……? 少女?
「少女? どこにいるの?」
僕より小さい子なら助けてあげないと。
「なにをもたもたしてるんだ!? 早くっ!」
「いやそんなに急かされても女の子どこにいるんだよ!?」
「あなたのことよ!」
彼女はビシッと僕を指を差した。
え? なに? 僕のこと女の子だと思ってたの? 確かに女男って不名誉な呼ばれ方されるくらいだけどさ……。
「もしかして僕のこと?」
「他に誰がいるんだ!?」
「いやー……」
この場をぐるりと見回してみても、彼女と僕、そしてオオカミしかいない。
「うん、いないみたいだね……」
「じゃあさっさと逃げ――」
「ヨクモ、我ノ食事を邪魔シテクレタナ! 魔法少女ォ!」
振り返るとそこには体勢を立て直したばかりの怒り心頭といったオオカミがそこにいた。
「我ヲ怒ラセタコトヲ後悔スルガ良イ!」
グォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
一際大きな雄叫びをオオカミが上げると周囲が朱く染まった。
「え? なに? なんなの?」
「しまった! 結界を張られてしまったか!」
まわりを見渡すと公園の外が朱い陽炎みたいにゆらゆらと揺れていた。
「結界って……?」
「運が悪かったね、少女よ。これが張られたら最後、アイツを倒さないとこの中から出られないんだ!」
なになにちょっと待って! つまり僕たちは本当に逃げられなくなってレベル1でも戦わないといけないボス戦まっただ中にいるってこと!?
「冗談じゃないよっ! どうして僕がこんな目にぃっ!?」
「だから逃げろと言ったじゃないか!」
「だって少女って言うからっ!」
「キミ以外にどこに少女がいるって言うんだ!?」
「僕は男だよ!!」
「は……? 冗談を……」
「本当だよ!?」
「まさか……それはすまなかった少年――」
ズシンと大きな音が響く。
「ちょっ……ウソでしょ?」
そこにはさらに2倍くらいの大きさになり、頭が3つに増えたオオカミが立っていた。
『オ前タチ、冥途ノ土産話ハ終ワッタカ?』
3つの首から重なるような声を上げ、さらに濃くなった朱黒い息を吐き出しながらゆっくりと歩いてくる。
「いや、まだだ」
フェアリーレッドさんは苦笑いしながら答えてるけど、オオカミは無視した。
『我ハトテモ空腹ダ。魔法少女ヨ。オ前モ我ガ糧ニナルガ良イ!』
オオカミというかケルベロス(?)は低姿勢になると一気に力を乗せてフェアリーレッドさんに体当たりをしかけた。
「危ない!」
ジャングルジムを根元から圧し折った体当たりがパワーアップしてるんだ。危ないどころじゃないんだろうけど。
「でえええええええええい!」
それでもフェアリーレッドさんは大剣でその体当たりを受け止めてた。
衝撃で地面をガリガリと削っていく。予想外の怪力だ。それとも魔法少女ってそういう面でも魔法で強化できるんだろうか?
「なにをボケてるんだ少女! じゃなかった少年! さがれ!」
「ああ、ふぁい!」
あわてて返事を返そうとして舌を噛んだ。できるだけ迷惑がかからないようにと公園の隅まで走る。
その間もフェアリーレッドさんはオオカミ相手に大立回りを繰り返しているけれど、決定打どころかパワーアップしたオオカミにおされているみたいだ。
「くそ!1人じゃどうにもならん」
『口ダケハ達者ナヨウダ。我ヲ煩ワセタダケデモ褒メテヤロウ。ダガ、ソロソロ我モ飽イタ。終イニシヨウ』
オオカミが大きく口を開けるとポウっと内部に火が点る。あれってもしかして……。
「ファイアブレス……?」
まちがいない、さっきゲームで飛竜が吐き出そうとしたファイアブレスそのものだった。公園が火の海になるどころか生身の僕なら火だるまだよ! 火だるま!
「ひぃっ……」
必死になって結界とやらの壁を叩く。全然ビクともしない!?
「ちょっ、焼け死ぬとか一番苦しい死に方じゃないか!? そんな死に方イヤだぁ!」
がんがん結界の壁を叩いてると、近くの壁面ににゅーっと首が生えた。青い髪のワンレングスのキレイな女の子だった。首だけがぐるりとこっちに向いてカクンと傾げる。
「ひぃっ!?」
「……? こんにちは? それとも……こんばんは?」
あいさつしてくれたのは良いけど、すごく顔が無表情な上に整い過ぎてて怖い……。しょうじき腰が抜けそうだ。
― つ・づ・く ―
結構自分で校正はしているのですが誤字脱字が多い性分です。
誤字とか脱字があったらご指摘いただけたら幸いです。
シリアスコメディー目指しています。序盤サクサクを目指していたのにどうしてこうなった!?
第4話順調に書いていたはずだったのに文字数大幅オーバーしてて分割する羽目に……。皆さんごめんなさい。第5話で~云々はウソでした(てへぺろ)
●以下どうでも良い愚痴
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だってさー……知らない内に文字数増えてるんだもん。あたしとしては頑張ったんだよ!できるだけ文字数少なくしようとしたんだよ!それなのに増えちゃったんだもん……仕方ないよねorz
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●以上どうでも良い愚痴
いや変な愚痴書いて申し訳ないです。頑張って改善しますので今はもう愚痴はスルーしといて下さい。
しっかり修行を積んで行きます七瀬でした。
できれば今後も宜しくお願いします(汗)