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ばっくわ~どまじっく  作者: 水姫 七瀬
第4幕 人間恐怖症からの躊躇
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第49話 魔力の混沌、属性の集積点……と言う名の躊躇

うひょ~! 気付いたらまたしても4ヶ月も更新してないどころか年明けてた!?(白目

もうあれですね。皆様申し訳ありません(ガクリ

この4か月前以上に忙しくて死にそうでした。

いや、まあ……ハードスケジュール過ぎてですけどね……。

4カ月で延べ50万文字くらいは書いているのですが、こっちまで手が伸びず……(白目)

早めに更新すると言っておきながらこの体たらくはなんなのか……。

そんなわけで、久しぶりどころかあけましておめでとうございます(遅)な更新をどうぞ。



「それにしてもぉ~。むっふっふ~。光ちゃん以上に美少女になっちゃって~。おねぃさんは嬉しいよ? 嬉しいからちょっとつまみ食いしちゃっていいよね? いいよね?」


「あるかボケ!」


 バシーン!!


「いった~~~~!! 杏珠ちゃんのいじわる~~~~。ちょっとくらいいいじゃんね~? ね~? アキラちゃん」


 涙目上目使いでぷるぷる震えながらボクを見る、『教授』さん。

 そのあまりにも可愛いしぐさに、ボクの鼓動がばくばくと音を立ててやみません。

 ボクの身体は知っている……。この可愛らしい姿で何度捕食されたかを……。


「ほら、改めて自己紹介しろよ? 佐伯……じゃない、明ちゃんがお前を見て怯えてるだろ? こいつ、すげぇ顔見知りだからお前のこと警戒してるぞ?」


 いやいや、そうじゃないです。坂槻先生。これはそう、本能からくる震えなんですよ~!

 いやな汗がだらだら背中を伝う感触に、思わず悲鳴を上げたくなるけど、うまく声が出ないんだ。


「おぅ、そーりー? 彩菜の名前は花房彩菜(はなぶさあやな)っていうの~。改めてよろしくね~? アキラちゃ~ん」


 とてとてとつたない足取りで近づきながら自己紹介していた教授さんが、満面の笑みを浮かべてボクに向かって抱きついてきた。


「ひぃぃぃいいいいい!!?」


 ぶわっと来た! 抱きつかれた瞬間にぶわっときたぁ!

 そうだよ、思い出した。

 ボク、『あやお姉ちゃん』に色々なことされてたんだった……。

 可愛いからって女の子の服を無理やり着せられたり、「将来、可愛い男の娘に育ったら迎えに来るからね~?」とか言ってヨダレたらされながら捕食者のようなぎらぎらとした目で見つめられたり……。


「ふぇぇええんっ、ままぁ! 助けて~! あやお姉ちゃんに食べられるぅ~! たしゅけてぇ! うわぁぁあああんっ」


 必死にお母さんに手を伸ばして助けを求める。

 なりふり構っていられない。ボクは今、かつてないほどの最大のピンチを迎えているんだ!



□◇□◇□◇□◇□◇――…



「取り乱してごめんなさい……」


 ナースコール寸前までいったところでなんとかボクは正気を取り戻して、気分が落ち着いたのは少し経ってからだった。


「ねえ? 彩菜。うちの可愛い明ちゃんにいったいなにをしたの?」


 顔を引きつらせて母さんが『教授』改めあやお姉ちゃんの首根っこをつまんで睨みつける。


「え~? 彩菜知らないよ~? あえて言うなら~、逆光源氏計画かな~? ちょ~っとツバ付けただけだよ~? ね~? アキラちゃ~ん」


「あやお姉ちゃんの頭の中では、男の子に無理やり女の子の服を着せてもてあそぶのが逆光源氏計画なんですか?」


「うん、だって、彩菜は可愛い女の子が大好きだもん。結婚するなら可愛い女の子か『男のムスメ』と書いて『男の娘』の二択だよ~?」


 ダメだ……。この人の頭はネジが飛びまくってて会話が成立しない……。

 お母さんも、どこか遠い目をして諦めかけていた。


「と言うわけで、彩菜としては、アキラちゃんが男の娘でも女の子でも、の~ぷろぶれ~むぎゅっ!?」


 再び、坂槻先生のハリセンが振るわれ、盛大な音を立ててあやお姉ちゃんをシバキ倒した。


「お前はなにしにここに来たんだ! さっさと説明しろっての!」


「あいった~! なにも殴ることないじゃんよ? ちょーっとツバ付けた可愛い子と感動の再開しただけじゃんよ? このお邪魔虫~……」


 ぷくーっと幼い顔を膨らませてじたばたするあやお姉ちゃん。

 容姿や行動は小学生にしか見えないし、なんか似合ってるけど、騙されちゃいけないよね? お母さんと同じ年ってことはアラフォーなんだから……。

 ていうか、ボクが最後にあやお姉ちゃんに会ったのは小学校に入学した頃で……。


「あ、ごめんなさい! 謝るから! 真面目にやるから! ハリセンはもう勘弁してください!」


「んじゃー、さっさと話しやがれ!」


 坂槻先生がハリセン構えて脅しをかけて、あやお姉ちゃんが平謝りする構図……。

 うん、やっぱり小さいころだけど見覚えがあるよ……。

 ふたりともボクの記憶の中の姿から一切変わりがない……。8年も容姿が変わってないなんて……。なんだか化け物を見ているような気分だよ……。


 ぼうぜんとふたりを見ていると、あやお姉ちゃんが白衣の胸ポケットからアンダーリムのメガネを取り出してすちゃっと装着した。


「さて、悪ふざけはここまでにして、彩菜がここに来た理由を説明しないといけないわね」


 あや姉さんがいきなり顔をずいっと近づけると、メガネをくいっと指で上げながらきりっと顔を引き締める。


「え~っと……あやお姉ちゃん?」


「なにかな? アキラちゃん」


 いきなりニヒルな笑みを浮かべるあやお姉ちゃんに戸惑いながら、メガネをむしり取る。


「ああっ! アキラちゃん、なにするん!? か~え~し~て~! 彩菜のメガネ~! か~え~し~て~!」


 メガネをむしり取った瞬間にぴょんぴょん飛び跳ねてメガネを取り返そうとしはじめた。

 もしかして……メガネがスイッチ?

 慌てて返すと、きりっと顔が引き締まる。

 どうやらこういう人みたいです。


「とりあえず、説明が終わるまではメガネを取っちゃだめよ? 明ちゃん」


 ため息をつきながらお母さんに言われて素直にうなずく。

 まあ、取ったら取ったでやっかいな絡まれかたをするからずっとかけていてほしい気持ちではあるんだけどね……。


「え~、こほんッ、改めまして……。彩菜がここに来た理由を説明するわね? まずはアキラちゃんの左手のブレスレットを見てちょうだい」


「……ブレスレット?」


 言われて、左腕を手繰り寄せると、そこには見たこともない綺麗な腕輪がふたつはまっていた。

 それぞれ、3本の細い金属が三重螺旋(らせん)を描き、螺旋の中心部には8個の水晶にも似た宝玉がついていた。中心には以前の腕輪についていた黒い玉。そして他の7つの玉の内いくつかは色が微かについていた。


「アキラちゃん、あなたの属性はなんだったかな?」


「え~っと……闇属性?」


 質問されて、首をひねりながら答える。

 いまだに魔法少女ライセンスカードに記載されている属性欄は『闇(未確定)』のはずで、あいまいな答えしか返せれなかった。

 だけど、ボクが答えるとあやお姉ちゃんがふふっと小さく笑う。


「ええ、今までの検査方法だとそこまでしかわからなかったの。でも、ジェイクちゃんの報告書と、今の腕輪の状態を見ると仮定は確定に近いものに変わるわ」


「え~っと……?」


「あなたの属性は『闇』ではなく『特異点』なのよ」


「特異点……? 特異点って……SFとかの用語のアレ?」


 SF系のアクションRPGで以前見たことある用語だったはずなんだけど、いまいちなんのことだったか覚えがない……。


「そう、正しくは『集積特異点』とか『極大集積点』と呼ばれるそれで、魔力の源流に近い――」


「ちょっと待って、専門用語が並びすぎてて分からないよ。もっと簡単に説明できないの?」


 頭がパンクしそうになりながら、ボクは慌てて説明するあやお姉ちゃんにストップをかける。


「あ~、そうよね……。魔道工学論とか魔力量子論なんかは高校一年生じゃ習わないわよね。ごめんなさいね? ついついいつもの癖で難しい言い回ししてしまったわ」


 苦笑して、あやお姉ちゃんがボクの左手を取る。


()み砕いて話すと、魔法少女の持ち合わせる属性は光、火、水、風、土、木、雷が基本で闇なんて属性は本来存在しないのよ」


「『闇』属性はない? じゃあ、ボクの……この力は……」


「腕輪を見てくれる? 今、腕輪についている石の色を見て?」


 あやお姉ちゃんに言われて腕輪にはまっている宝玉を見る。

 ひとつ目の腕輪は、黒、赤、薄緑、黄、青と五つの宝玉に色がついている。

 そしてふたつ目の腕輪は、黒、薄緑、紫と三つの宝玉に色がついている。


「え~っと、色がいっぱいついているけど……これがどうかしたの?」


 首をかしげると、あやお姉ちゃんはにっこり笑みを浮かべた。


「この宝玉の色のひとつひとつがアキラちゃんの持っている属性よ? 今はふたつの腕輪を合わせて黒に加えて五つの属性を持っていることになるわ。やるわね」


「……はぁ!? ちょっと待て、彩菜! この子の持っている属性が六色? そんなことがありえるのかよ!? だいたいひとりの魔法少女がもつ属性は主属性ひとつに副属性がひとつかふたつだろ!?」


「そうよ? 母親の私だって『光』属性と少し『水』属性が使える程度なのよ? それがどうして……」


 慌てて反論するお母さんと坂槻先生。ボクと拓海はなにがなんだかわからなくてぽかんとするばかり。


「多分、生活環境とか、過去の経験とかの影響じゃないかしら? そもそも純粋な『光』や純粋な『闇』は属性としてではなく、各属性の陰陽傾向の指標として作られたものなのよ? 光ちゃんの属性が純粋に近い『光』属性だったとしたら、その子に受け継がれる属性は陽なら『光』、陰なら『闇』になる、そう考えれば、アキラちゃんの属性が『闇』というカテゴリーに分類されるのも納得できるわ」


「え~っと……『闇』属性はわかったのですけど……肝心の他の属性については……」


「アキラちゃんは魔力体生物から吸収した魔力をそのまま自分の魔力に転用し、保持できるのでしょう? その吸収した魔力の属性をそのままに保持できるのは、アキラちゃんが『闇』属性というよりも魔力の集積点……『闇』の最上位に位置する『原初の混沌』に近い、『魔力の混沌』と化しているからでしょうね……」


 インテリチックにメガネを光らせながら説明するあやお姉ちゃんに、坂槻先生がこめかみをグリグリしながら質問する。


「原初の混沌って……。またえらい言葉が出て来たね……。ラヴクラフトのクトゥルフ神話って架空のものだろ?」


「架空でもなんでもいいのよ。適切な表現を表せられるなら架空の存在でも使うわよ。そもそも魔法なんて四半世紀前までは存在していない架空の物だったでしょう? ですから、説明に不確かなものを使ってもいいんです。問題ありません」


 半ばこじ付けのような説明を強引にねじ込んだように聞こえる説明に首をかしげる。


「けっきょく、その『原初の混沌』とか『魔力の混沌』ってのがイマイチわかんないんだけど、ボクってけっきょくどうなってるの?」


 魔力の集積点とか『原初の混沌』とか『魔力の混沌』とかぜんぜん良く分からないんだよね。


「要は吸収した魔力体生物の魔力が、アキラちゃんの元の魔力に混じり合い、複数の属性の魔力がマーブル模様になっていて膨張した部分が、アキラちゃんの潜在魔力量を大きく膨らませているのね」


「それって……ボクの魔力がどんどん膨らんでるってこと? 膨らんでどうなるの……?」


 まさか、よくある話で、大きく膨らんだ風船がパンとはじけるようにボクの身体もはじけたりするの……?


「そこまではまだ今後の成長過程を確認しないと判別できないけれど……。今後はあまり闇属性の魔法、『ブラックホール』って名称を付けているのよね? それを使わないことをお勧めするわ」


 あやお姉さんは深刻な顔をして、ボクに警告を言い渡したのだった。





                         ― つ・づ・く ―

結構自分で校正はしているのですが誤字脱字が多い性分です。

誤字とか脱字があったらご指摘いただけたら幸いです。



という訳で『魔力の混沌、属性の集積点』の回でした。

ていうか思いっきり説明回になっとる……。

プロット上ではそろそろ退院したい!

というか後1回だけだと思う(白目)

早い更新を心掛けて今月中にはもう一回更新はしたいです……。


本当に申し訳ないです……。

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