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ばっくわ~どまじっく  作者: 水姫 七瀬
第4幕 人間恐怖症からの躊躇
52/57

第44話 他人行儀みたいな呼び方!……という名の躊躇

お久しぶりです。

こんな時間明けるつもりなかったんですけど、色々とあって遅れました(白目

という訳で、今回珍しくまとめきらなかったお話をどうぞ(土下座



「はぅ!? ふにゅ……ふへ~……」


 少女漫画やばい! マジやばい! こんな世界があっただなんてカルチャーショック! めくるめく未知の世界へようこそおいでませ! って言われてるような複雑な気分。

 ボク、恋愛とかよく分からないけど、こんなムダにドキドキするシーンばっかりでちょっとどうなの? 特にこのシーン。主人公の女の子とその恋愛相手、そしてなぜか実の弟との三角カンケーとかなんなの!? ちょっと誰かここの状況説明を要求す――


「明ちゃん」


「ふぇあぅ!?」


「きゃあ!?」


「ええ!?」


「いきなりなんなの?」


「お、驚かさないでよね!? もう……」


 せっかくいいところだったのに……。


「そんなこと言っても、あかりちゃんのお顔が真っ赤だったから熱が上がってきたのかな~って」


 え? ボク、顔を真っ赤にさせるほど興奮してたとか? え? そんなこと……。

 自分のほっぺたに手をやってみる。

 熱くはないし、特に変わったようなところは……。


「くぅ~……やっぱりカワイイなぁ、明ちゃん。私もこんな妹がほしいな~」


「なに言ってるの……。焔にも妹、いるじゃない」


「あ~……うん、うちの妹って見かけはカワイイけど、反抗期で刺々しいっていうの? あんまりカワイくないんだよね~、最近」


「多分それって構ってくれないからイラ立ってるんじゃないかな~?」


「え~? あの妹が? そんなまさか」


「ボクはそう思うけど? でも、ボクの場合は特殊だから参考にはならないかもだけど、お姉ちゃんの交友関係が高校生になって広くなったとかで、あんまり構ってくれなくてついつい刺々しくなるってのはあると思うんだよね~」


「ふ~ん、じゃあ今度べったべたにかまってみようかな? 副会長みたいに」


「どっ、どうしてそこでお姉ちゃんがっ!?」


「副会長みたいに、膝の上に乗せても暴れないカワイイ妹が欲しいって話題がね……」


「明ちゃんもそうだけど、千夏ちゃんも随分シスコンさんに……。お母さん、釘を刺しておかないとマズいわよね~?」


「いえいえ、そこはそのままのほうがいいです! そのほうがじゅよ――じゃなかった、見てて和むので、ぜひそのままに!」


「ちょっととーの。ひかりさんが驚いてるよ?」


「え? ああ、ごめんなさい、光さん。でも、私はこのまま見てるのが一番いいかなと」


「そう? 籐乃さんがそう言うならもう少し様子を見ようかしら……」


「そういえば、なんでお母さんのこと、とーのさんとあかねさんも『光さん』って呼ぶの?」


「あ~……うん、そのね? はじめはおばさんって呼ぼうと思ったんだけど……ね……」


「そうだよね……。でも、どう見ても……おばさんって呼べる容姿じゃないし……」


「どっちかと言うと歳の離れたお姉さん? みたいな~」


「お姉さん?」


 窓際で苦笑するお母さんを見ると、確かに40代に見えないかも……。ていうか……むしろ20代前半に見える?


「明ちゃんも『お姉ちゃん』って呼んでくれていいのよ?」


「お母さん調子にノリすぎ。今さら呼び方なんて変えられないよ~」


「そう? ちょっと残念」


 お母さんが残念そうに言うとみんなが苦笑する。

 みんなはノリで言ってたみたいだけど、本人はいたくノリ気だったみたい。

 まあ、でもみんなが知らない一番の秘密として、お母さんが魔法少女に変身するとさらに若返るんだけど、知らないほうが幸せだよね。


「さて、今日はこの辺でお暇しましょうかね」


「長居しすぎた」


「もう6時だし、そろそろ帰らないとお夕飯に遅れてしまいますしね」


「ふぇ? もう帰っちゃうの?」


 もう少しいて欲しいってのはワガママかな?


「そんな顔しなくてもいいわよ。もうすぐ明の望んだ人が来るわ」


「ふぇ? 望んだ人?」


 とーのさんが意味不明なことを言って、ボクは首をひねった。


「とーのが言うならまちがいないね~。ジャマになりそうなら私たちもさっさと退散しましょうか~」


「え? え? なに? どーゆうこと?」


「とーのは魔法少女になる力はないけど、時々他人が望んだ未来がかないそうな時にぴんとひらめくんだよ」


「ひらめくって……」


 なんかアヤシイ……。

 そもそも、ボクは来て欲しい人なんて考えたことないのに……。ていうか、来てくれるなんて思ってもなかったし……。


「すぐに結果は現れるわ。そうね、後10分くらい?」


「すごい具体的数字……。本当に誰か来るの? ていうか誰が来るか分かる?」


「う~ん……私はあくまで予兆を感じ取るだけで具体的な未来ってのは分からないのよ。だから、こればっかりは明が自分の目で確かめないとダメね」


「そうなんだ……。誰なんだろ?」


「そこはお楽しみ、ということにしておけばいいじゃない」


「うん、そう……だね」


 ボクととーのさんが会話している間にもみんなそれぞれ荷物をまとめて、後は帰るだけの状態。漫画どうやら貸してくれるようで、ダッシュボードの上に平積みの状態でそのままだ。


「それじゃあまたね?」


「うん、またね?」


 出て行くみんなを見送って手を振る。

 お母さんが見送ってしばらくしたら、ボクは部屋にお母さんとふたりっきり。それがなんとも寂しくて、不安になってくる。

 ずいぶん、毒された、とゆう言い方は悪いかもだけど、以前はひとりでも平気だったはずなのに、今はお母さんが一緒でも寂しくて不安で仕方ない。

 ボクは……認めたくないけど、弱くなったかもしれない。そんな考えが、よぎった。



□◇□◇□◇□◇□◇――…



「やっぱりなんにもなかった」


 みんなが帰って20分くらい、とーのさんが言ってた後10分くらいって時間はあっという間に通りすぎて、そろそろおお母さんが家に変える支度を始めた。


「それじゃあ、お母さんはもうそろそろ帰るわね? お夕飯の用意もしないといけないし」


「うん、ごめんね? 毎日来てもらっちゃて」


「大丈夫よ? もうちょっとで千夏ちゃんも来てくれるから」


 そう言って、ボクの頭を撫でてくれる母さん。

 ボクってそんな不安そうな顔をしてるのかな? ちょっと不安になって両頬に手を当てて見る。


「そんなこと、男の子の前でしちゃダメよ?」


「そんなことって? どうゆうこと?」


 思わず聞き返したら苦笑された。


「自覚がないのは問題ね……」


「だから――」


『なにやってんのよ!? こそこそと……さっさと入りなさいよ!』


『なっ、なにするんですか!?』


―― ガラガラッ


「――ふぇ?」


 勢い良く開いた引き戸の方を見ると、困り顔のお姉ちゃんが病室に『なにか』を突き入れたところだった。

 まあ、そのなにかってのは拓海なんだけど……。


――拓海さま――。

「たっ、拓海さ――ん……」


 思わず、拓海のことをさま付けで呼びそうになって回避する。


「なんだよ? その他人行儀みたいな呼び方……」


「え? あの……その……なんなんでしょうね?」


 とっさにごまかした呼び方だったけど、それをよく思ってないみたい。なんか不満そうにため息をつかれた。


「よくここに入れたね~? 確かここって魔力がないと入れないんじゃ……。てあれ? お姉ちゃんも魔力あるの?」


「え? ああ、私は一応短時間だけど家族のお見舞い用の結界張ってもらってるのよ」


 お姉ちゃんが制服の袖をまくると、赤い石がはめ込まれた黒い腕輪があった。


「俺は……まあ、特異体質かな?」


「特異体質? それって、ボクみたいな?」


「いや、俺は魔力値が『ゼロ』らしいんだ。普通は生きてる生物はみんな、少しくらいは魔力を持っているらしいんだが、俺の場合は測定値が『ゼロ』。なんでも、測定できないらしいんだけど、原因は分からないらしい」


「へ~……。そんなことあるの?」


 疑問に思ってお母さんにたずねると、お母さんも曖昧な顔で首をかしげた。


「う~ん……。男の子の方の魔力メカニズムってあんまり解明されてないから……」


 お母さんもわからないってことか~。まだまだ魔法の事とか魔力のこととか分かんないこと多いなぁ。


「ていうか、拓海くん? そんなこと言いに来たんじゃないでしょう?」


「ああ、そうだった。ごめん、千夏さん」


「あ、お母さんはもう帰っていいわよ? 後は私が引受けるから」


「そう? じゃあ、くれぐれも『間違いがない』ようにね?」


「え? ええ……」


「間違いって……なに?」


「え?ああ、なんでもないのよ? お母さんはそろそろ行くわね~?」


「え……うん? じゃあ、また明日ね? お母さん」


 なんだか誤魔化すようにそそくさ~っと出て行くお母さんと入れ替わるように、お姉ちゃんと拓海が、ベッドの脇まで来てパイプイスに座った。


「改めて見ると、本当に変わっちまったんだなあ……お前」


 しみじみと、拓海が感慨深そうに言う。


「ふぇ? いきなりなに言ってるの? 確かに見た目はちょっと変わったかもしれないけど、そんなに変わってないと思うよ?」


「ウソつけぇ! どこがどう変わってないんだ!」


 いきなりのツッコミ。その後、確認するようにボクの頭から身体まで、じろじろ見られてちょっと恥ずかしい。一応、外でも着られるデザインのパジャマだけど、まじまじとみられるとちょっと恥ずかしいんだけど……。

 思わず掛け布団を肩まで引き寄せてしまった。


「こらこら、女の子のパジャマをガン見しちゃいけないわよ? 拓海くん」


「ぐはっ!? いやっ、それは……その……ゴメンナサイ……」


 はじめはあたふたと、次はオドオドと、最後は肩をがっくりと落とす拓海。まるで自供をうながされた犯罪者のようですごく複雑。


「ついでに、言いたいことも言っておきなさいな」


「ああ、そうだった。すみません」


 なんだかお姉ちゃんが怖い……。

 こうなんていうか、シタッパの頭をペシペシたたいてるオヤブンのような、そんな威圧感?


「明ちゃん? なんか変な想像してない?」


 ギラリ、とお姉ちゃんの眼が光る。ボクの心の中を読まれてる……?


「えへへ? 変な想像なんてしてないよ?」


 できるだけ可愛く、それでいて悟られないように――。


「後でひとつ、ゆうこと聞いてくれるなら許してあげるわね?」


「はい~……分かりました~……」


 誤魔化し失敗、残念無念であります……。


「で? 拓海はなにが言いたいの?」


 ボクが改めて聞くと、拓海は姿勢を正して、無言で頭を下げた。


「は? え? なに? なんなの? これって……」


 想定外のことをされて、思わずぺちぺちと拓海が見せる後頭部を平手で叩いてしまった。


「ごめん、アキラ! 悪かった!」


 いきなりの謝罪にぽか~んと、多分ボクの顔はしてると思う。

 いったいなにに対して謝ってるのか、ボクには心当たりがありすぎて頭の回転が追いつかなかった。






                         ― つ・づ・く ―

結構自分で校正はしているのですが誤字脱字が多い性分です。

誤字とか脱字があったらご指摘いただけたら幸いです。



という訳で『他人行儀みたいな呼び方』の回でした。

今回で拓海登場で場を荒らして、次回で入院期間終了になる予定。

意外と入院期間長くなってしまっててヘタレ気味なのはいけないなぁ……。

後で構成を見なおしてところどころそぎ落とすかも?

という訳で、次回はそんなに間を空けないように頑張りたいと思います(ぺっこり

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