表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ばっくわ~どまじっく  作者: 水姫 七瀬
第3幕 新しい生活への物怖じ
42/57

第36話 心が引きずられる!……という名の物怖じ

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

と結構な間が空いてしまいましたが、実家に戻ってたり、溜まってた課題の消化で時間取れませんでした(汗)

今回はまぁ見難いところは多々ありますが、そういう仕様です。

よろしくお願いします。



「んぅー?」


 頭の中の方が痛い……。どうなってるの?

 頭を右手で押さえたら、ぬれタオルがあった。


「ああ、起きたのね」


「お……姉ちゃん……?」


 横を見ると心配そうにお姉ちゃんが見てた。

 そのまま、少しほっとした顔をしてわたしのおでこからタオルを取る。


「わたしどうしちゃったの?」


 なんだか苦しくって頭が痛くてボーっとする……。もしかして、わたし病気になっちゃったの?


「えーっと、なんだっけ? そう、成長期に見られる体調不良とか……そう言ってたわ」


 お姉ちゃんが思い出すようなしぐさをして、微笑む。

 ああ、そういえばわたし……体悪くなって寝ちゃってたんだった。


「ごめん……ね? お姉ちゃん」


「なに謝ってるのよ。私が明の面倒見てるのがそんな珍しい?」


「ううん……毎回、倒れて看病ばっかりさせてるから……」


 毎回倒れて病院行って、言われることは『生まれつき体が弱いから仕方ない』の一言で、せっかく最近は体調が良かったと思ったのに……。


「油断、しちゃったの……かなぁ? ごめんね? お姉ちゃん……」


「なによ? 明らしくないわよ? そんな(しお)らしく言われるなんて調子狂うじゃないの」


「むぅ~…お姉ちゃんのいじわるぅ……。病気の時くらいすなおになるんだもん」


 ほっぺた膨らませて、じーっと見るとお姉ちゃんが苦笑いをした。今日のお姉ちゃんはなんだかいじわるだ。


「とりあえず、氷のう変えようか?」


 そう言って、わたしの頭を持ち上げて水ぶくろを抜き取って、いつものまくらに変えてくれた。


「それじゃあ、ちょっと行って来るね?」


 そう言って背中を向けたお姉ちゃんを見て、胸の奥がツキリと痛んだ。


「どうしたの? 明」


 お姉ちゃんが振り向いた。


「え……?」


「手、離してくれないと行けないわよ?」


 お姉ちゃんがカーディガンのすそを持ち上げる。わたしの右手がそれをにぎってた。


「あ……」


 どうしてわたしはお姉ちゃんの服をつかんでるの? と、思った瞬間に、胸がもっと痛くなった。


「うぅっ……行っちゃ……やだ……」


「ちょっと、急にどうしたのよ?」


「お姉ちゃんが遠くに行っちゃいそうで……やだ……」


 一瞬、驚いた顔をして、お姉ちゃんが笑った。


「なに言ってるの? 家の中しか移動しないのにどうやったら遠くにいけるの?」


「うん……そうだよね……。どうしてそう思ったんだろ?」


「人間病気になるとなんでも心細く感じるって言うし、それじゃないの? それじゃあちょっと待っててね?」


「……うん」


 手を離したらお姉ちゃんが部屋から出て行く……。その背中が遠ざかるほど、胸がツキツキと痛くなっていく。

 力の入らない体で、大きな抱き枕に抱きついて、痛みに耐える。

――ポタリ

 と、小さな音に目をずらす……と、シーツが小さくぬれていた。


「なんで……?」


 枕にほっぺた擦りつけると、さらにぬれた。

 これ、わたしの涙? どうして? もしかして……わたし、さびしかったりするの?

 そう考えたら、後から後から涙が出て止まらなくなった。


「やだ……」


 胸が痛くて、いてもたってもいられなくなって、だるくて思うように動かない体を引きずって、部屋から転がり出た。


「うわっ、と……」


「わぷっ!?」


 部屋を出た瞬間にだれかにぶつかって、なんとかすがり付いて転ばないようにするのが精一杯だった。

 顔を上げたら驚いた弟のともくんの顔が見えた。


「ぐすっ……う……とも……くん?」


「ちょっ、お兄!? なんでそんなぼろ泣きしてるんだよ!? ていうかなんでこんなっ!?」


「ごめんね、ともくん。ごめんね……」


「いや、別に謝らなくて良いからそろそろ離れてくれないか?」


 顔を反らすようにして、そんなことを言われた。

 もしかして、わたし……嫌われてる? 確かに最近、そっけなくてぜんぜん話し相手にもなってくれないし……。もしそうだったら、とっても悲しい。


「……ともくん……もしかしてわたしのことキライ?」


「はぁ!? なんでそんなこと!?」


「だって、迷惑そうなんだもん……。ごめんね? ダメなお姉ちゃんで……」


「いやちょっと待ってくれよ。俺の中ではお兄はお兄だから! お姉ちゃんとか思ってないから!」


 『お兄はお兄』、その言葉を聞いて気付いたけど、わたしって男の子だったんだよ。

 そうだよ。ボク、男の子だったんだよ。


「あれ? なんで、ボク……自分のこと女の子だって……思ってるの?」


「いやまぁ……確かに今のお兄は女の子だし? お姉って呼んでも良いかもしれないけどさ……」


 抱きつき気味に体勢を変えると、ともくんを見上げる。考えごとをしてるのか上を向いてブツブツつぶやいてる。最近こういうの多いなあ……。


「ごめん、智樹。下まで運んでもらって良い? 体、動かなくって……」


「え? ああ……っておうぁ!? ちょっと待て! なんで抱きついてるんだよ?」


「いや、だから体動かないって言ってるじゃない……」


「いや……そうだけどさ……」


「というわけで連れてってー? リビング」


「カワイく言わないで! お願いだからカワイく言わないで! 連れてくからもう止めてくれ!」


 なんか同意してくれたのは良いけど、叫ぶのは止めてほしい。ボクの耳近いんだよ……。


「ちょっと待って」


 そう言ってボクの体を離したともくんが、すぐに背中を向ける。


「ほら、おぶってやるから乗れよ?」


「う、うん……」


 智樹の背中に乗っかると、意外と乗り心地が良かった。


「智樹の背中って広くて(あった)かいねぇ」


 思わずほおずりしたくなっちゃうよ。


「ちょっ!? おまっ、なにやってるんだよ!?」


「別に良いじゃない。減るもんじゃないし? あ~あ、昔はボクがおんぶする側だったのになぁ」


「それ何年前の話だよ……。いいから黙ってろよ!」


「ほんとに……あったかい……。父さんの背中みたい……」


「はいはい、黙ってろって言っただろ?」


 智樹がイラついた声でそう言うと、ボクを背負って階段を降り始めた。


「あれ? 智樹……に明!?」


 階段の下から姉さんの声が聞こえる。


「待ってなさいって言ったのに」


「だって~……寂しかったんだもん……」


 またなんか涙出てきた。

 どうしてこんな、今日は涙出るのかなぁ?


「寂しかったって……とりあえずリビングのソファー行こう? 智樹、よろしく」


「はいはい」


 ともくんに運ばれるまま、リビングのソファーに寝かされた。


「まったく、ちょっと待ってなさい」


 お姉ちゃんがすぐに毛布だけ持ってきてかけてくれた。


「あらあら、どうしたの? 明ちゃんがリビングで寝てるなんて……」


 お母さんが着物姿でリビングに入ってきたところだった。


「ああ、お母さん。ちょうど良かった。明の様子が変なのよ」


「ええ? 様子が変って……」


「わたし、変じゃないもん。みんなが変なんだもん」


「いや、様子おかしいでしょ? 口調が子供っぽいしさ」


「そう言えば、さっき『ともくん』とか呼ばれたんだ。もう呼ばれなくなって4年は経つから懐かしいと思ったんだ。最近呼ばれることもなかったしなあ……」


「私もさっき『お姉ちゃん』って呼ばれてたかも。明が中学校入ってからは『姉さん』って呼ばれてたし……」


「ねえ? 明ちゃん。なにか変なこととかない? 気になったこととかなんでも良いのよ?」


「う~ん……え~っと……なにかあったようなぁ?」


 頭がボーっとして良く分からなくなって来る。

 ええ~っとさっき思ったことは……。


「ああ、そうだ! ボク……頭がボーっとしてくる時、自分が男の子だったこと忘れそうになるかも?」


「なんでそれを早く言わないの!?」


 姉さんが怒鳴るように言った。


「姉さん、頭に響くから怒鳴らないでよ……」


「ああ、ごめん」


「困ったわね……どうなってるのかしら?」


 母さんが困った顔をしてうなり始めた。


「どうしたんだね? みんなそろって深刻な顔をして」


 ボクのお腹の上にジェイクさんが飛び乗った。


「ジェイク、どこ行ってたの?」


「うむ、まあ市役所で報告書をな……。で、明のことでなにかあったのかね?」


 母さんたちがそれぞれなんだかゴチャゴチャ話始めた。なんだか頭痛くて良く分からない。


「ふ~む……そうだなぁ……」


 腕を組んでジェイクさんが考え始めました。


 …………。


「明! お~い明?」


「ひゃい?」


 いつの間にか、ネコさんがわたしをのぞき込むように見てた。

 あれ? もしかしてわたし寝ちゃってたのかなあ?


「かんたんな質問をするよ? 頭を空っぽにして答えてほしい」


「はい、がんばります」


「がんばらないでよろしい。……それで、佐伯明。君は今何歳かな?」


「え~っと……」


 そんなの考えるまでもないよね。


「12歳です!」


「ふぅ……」


 ネコさんがため息を吐いて手を上げました。


「はあ!?」


「あらあら……これは一体……?」


 お姉ちゃんとともくんが大声で騒ぎだして、お母さんが口を引きつらせながら笑いました。


「つまり、魔力の成長期に合わせて心も若返った……とかそんな感じではないのかね?」


 ネコさんが気の抜けた声でそう言いました。


「良くあるじゃないか、心が引きずられるって。魔法に関するものは特にそういう傾向が強い。魔力の成長期が治まったら落ち着くだろう……」



「ああ、良かった~」


「驚かすなよな……」


「本当に騒がしいわねえ」


 みんなその場に座りこんじゃった。


「ごめんなさい……」


「明ちゃんは気にしなくったって良いのよ?」


 そう言ってお母さんがわたしの頭をなでてくれた。


「まあ、これはこれで面白そうだし、少しの間だから良いか」


「あ゛~……またややこしく~!」


 なんだかみんなに迷惑かけてるようで、とっても心苦しく感じちゃう……。







                         ― つ・づ・く ―

結構自分で校正はしているのですが誤字脱字が多い性分です。

誤字とか脱字があったらご指摘いただけたら幸いです。



という訳で『心が引きずられる』の回でした。

今回はへべれけ具合を演出する為に構成が狂っておりますが、狂ってるのが仕様で御座います。

今回のお話に関して、構成自体の文句はお受けしません(ぇー)

ていうか、一人称の小説じゃないとこういう演出できないからある意味新鮮な気分で書かせて頂きました。

魔法少女の成長期っていろいろ大変ですね()という感じで見て頂ければ幸いです。

次回で魔力の成長期に関する秘密がちょっとだけ分かる予定です。


えー、後は前回言った通りにジャンルを『ファンタジー』に転向したいと思います。

ご迷惑おかけしますがよろしくお願いいたします(ぺっこり

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ