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ばっくわ~どまじっく  作者: 水姫 七瀬
第3幕 新しい生活への物怖じ
35/57

第29話 転校初日の初登校!……という名の物怖じ

こんばんは。

今回は通学風景です。

今回からコメディ要素少しは入れやすくなって楽です。

と言っても、あたしのコメディはほのぼの系でそこまで良い感じの演出はできませんだけどね。

では新しいお話をおおくりしますね。



 転校初日としては良い天気で、快晴とは行かないけど晴れてて良い天気。

 これならお昼にはぽかぽか陽気で気持ち良さそう。とは思うんだけど……。


「ちょっと! しがみ付き過ぎよ」


「そんなこと言ったって~……」


 周りの視線が凄く怖いんだからしかたないじゃないか……。


 ボクが今日から通うことになる県立章栄高校は、高根市の東側の山の上にある。

 JR高根駅から北東へ1.5kmくらいの所で、商店街を通って、柳瀬(やながせ)神社から北上して国道へ。しばらく東へ歩いて上り坂を登ると着くんだ。

 ちなみに、ボクの家は高根駅の西側の住宅地で、高校へは片道歩いて30分くらい? なのかな。

 章栄高校は駅から歩いて15分くらいと近いから、基本的に生徒は徒歩通学(とほつうがく)になる。

 申請(しんせい)すれば自転車通学もできるみたいだけど、女の子で自転車通学は色々と諸事情(しょじじょう)があってする人は少ない。

 ボクもその問題に気付くまでは自転車通学考えてたんだけどね……。

 やっぱりスカートじゃムリだって思う。

 隣を通り過ぎていく自転車通学の女子はスパッツはいてたけど、スカートの中が丸見えだった……。


 で、ボクは姉さんと一緒に徒歩通学の途中なんだけど、周りの視線が怖いんだ。

 なんだろう、なんか注目されてるような気がするのは気のせい?

 最初は気のせいだと思ってたんだけど、学校が近付くにつれて章栄高校の生徒が増えると、どんどんボクたちを見る人が増えてる気がするんだ。


「ねえ? 姉さん。ボクってなにか変?」


「どうして? 変な所っていうと明のへっぴり腰かしら? どうしてそんなムリに隠れようとしてるの」


「だって……その……気のせいかも知れないけど……みんながボクたちを見てるんだもん」


 姉さんの影から周囲を見るとみんなボクたちを見てる気がするのって被害妄想(ひがいもうそう)


「千夏! おはよー!」


「ひぅ!?」


 いきなり後ろから元気な声がしてびっくりした。


「なに変な声あげてるのよ、明。びっくりし過ぎ」


 姉さんが振り向くのに合せてボクも姉さんの影に隠れて声の主を見る。

 両肩から緩く束ねた髪を前に垂らした女生徒で、元気いっぱいといった明るい感じの人だった。


「おはよう、静奈(しずな)


「今日はカワイイ子、連れてるのね~」


 そう言って体をひねって急アップ。

 ボクの目の前でにっこり笑う彼女。なんだかちょっとなれなれしくて怖い。

 姉さんを軸に後退すると、合わせて前進してくるし、なんなの? この人。


「なぁに? もしかして私って怖がられてる?」


「あ~……この子、人見知り激しいから……」


 ぶんぶんと首を横に振る。

 確かにボクって人見知りだけど、怖がりじゃない。むしろこの人の間が悪い。

 すっごくびっくりして対応に困ってるだけなんだよ~。


「でも、明は静奈を見たことないの? けっこう家に遊びに来てると思うんだけど」


「ボ、ボクは姉さんの友達が遊びに来てる時はできるだけ自分の部屋から出ないようにしてたから……」


 智樹とは同室だったから、その友達とはそこそこ顔を合わせてるし、気が合う子と一緒にゲームで遊んだりはしてるけど、それは年下の子だからって理由が大きいかも……。年上とかだとちょっと怖くてあんまり近寄りたいとは思わない。


「一人称ボクってカワイイわねぇ。容姿とのギャップが……って? 姉さん? ……ってことはこのカワイイ子って千夏の妹なの!?」


「そうよ?」


「似てないわね~……」


 そう言ってまたジロジロ見る。

 気のせいかな? さっきと比べて余計に周りから見られてるような気がする。っていうか明らかに周りの人もコソコソこっちを見ながら話してるし……。


「あ、自己紹介忘れてた。私は掛川静奈(かけがわ しずな)! 千夏の親友でこの学校の水泳部部長! よろしくね」


 そう言って右手を差し出してきた。


「なに言ってるの……親友っていうより(くさ)(えん)悪友(あくゆう)じゃないの……」


 あ、悪友(あくゆう)


「ヒドイわね……千夏。ツンツンし過ぎ。もっとデレても良いのよ?」


 そう言って姉さんの腰に左手を回してあごに右手を~って!


 なになになんなの!? これってなんですか!? ど、どうして……お、おんなのこどうしでこんなことしてるですか!?(舌足らず)


「そんな……姉さんがそんな趣味だったなんて……」


 なんだかすごいショック……。

 はっ!? もしかして……ボク、女の子になっちゃったし……対象だったりするの?

 そう思ったら自然と姉さんから半歩分の距離を取ってた。


「あ、明!? 違うの……コレとはそんなんじゃないわよ!」


 姉さんは叫びながら掛川と名乗った先輩の脇腹(わきばら)に強烈な肘鉄(ひじてつ)をたたき込んだ。


「おふぅ……なんというキツイ一撃(いちげき)……」


 脇腹(わきばら)を押さえながらヨタヨタと千鳥足(ちどりあし)で動き出した……。効果は抜群(ばつぐん)だ!


「姉さんやり過ぎだよ! だいじょうぶ? 掛川先輩」


「ちょっと明! そいつに近付いちゃ……!」


「え?」


 するり……そんな擬音語(ぎおんご)似合(にあ)いそうな勢いでボクの腰を抱いて引き寄せられた。


「ちょっ!? えっ? えっ?」


「カワイイわね~、お姫様みたいで……私の妹にならない?」


「ソレハドウユーイミデ……?」


 あぅっ、ちょっと変なところ触らないで……ていうか頬を(さす)らないでよ……。ボクはまちがってもそんな趣味もってないよ!

 ってボクって心は男の子で健全(けんぜん)? いやそうゆーわけでもない? いやそれはどーでもいいから今はこの人どうにかしないと……。


「姉さん! 助けてぇ!」


 慌てて姉さんに手を振って助けを求める。


「はいはい静奈、ソコでストップ! それ以上やると水泳部の部費をカットするわよ?」


 姉さんがマジギレしかけてる……。すごい殺気(さっき)を感じるのです……。


「……分かったわよ~。残念ね。妹ちゃんももしソッチの気があるならいつでもどうぞ」


 ソッチの方の意味でした……。大変けっこうなので誘わないでください!

 笑顔で離してくれたので慌てて姉さんの後ろに隠れて首をぶんぶん振った。


「ボ、ボク興味ないもん!」


「あらら、やり過ぎちゃった?」


「当たり前でしょう……。明、こんなヘンタイ放っておいてさっさと行きましょう。遅刻してしまうわ」


「う……うん? はぅ!?」


 周囲が怖い……。なにコレ……みんなこっちを遠巻きにしながら注目してるぅ!?

 みんなこっち見ながらヒソヒソしたりニヤニヤしたりしてる……。

 転校初日の初登校なのにこんなに見られるなんて……。


「ほら、見世物じゃないわよ? 散りなさい」


 あきれ顔で姉さんが大きく右手を振るとみんな普通に歩きはじめた。


「早くしないと遅刻してしまうわ」


 ボクたちが学校への道を歩き始めると掛川先輩が少し離れてついて来る。


「どうして? まだ時間はあるでしょう?」


「この子、今日からこの学校に転校するの。職員室にあいさつに行かなければならないの」


「へ~……この時期に転校ねぇ……」


 もう一回こっちを見てくる。正直ボクこの人苦手になりそう……。


「名前は明ちゃんで良いのかな? ちなみに私は確かに女の子LOVE(ラヴ)だけど性愛(せいあい)としてじゃなくて()でるほうのLOVE(ラヴ)だから心配しないでね!」


「は……はぁ……」


「で、どこのクラス?」


「普通科Cクラスですって」


「うわ~……良いなぁ!」


 なんかすごくうらやましがってる。


「そんな良いクラスなの?」


「あそこは名物教師が担任だからねぇ……。じゃあお仕事でも私は先輩かな? よろしく~」


 そう言って掛川先輩は左腕のソデを(まく)った。ボクと同じような青みがかった銀色の腕輪がそこにあった。どうやらこの人も魔法少女らしい。


「Cクラスは進学組の魔法少女クラスだからね。クラスの子はみんな魔力持ちで腕輪してるよ? ちなみに白は見習いで青は一人前。黒は封印されてる子って感じ」


「封印?」


「魔力持ってても仕事をしない人は魔力を悪用(あくよう)しないように封印する、って教えてもらってない?」


「……さっぱり? ボク、魔法少女のこと知ったの1週間前だから……」


「ああ、だからこの時期の転校なのね。たまにあるみたいね。急に魔力が覚醒(かくせい)する人」


 ボクの場合は覚醒(かくせい)っていうのとはちょっと違う気がするけど……。そっか、ボクと同じように中途半端(ちゅうとはんぱ)な時期に転校してくる子もいるんだ。


 そんな会話をしているともう校門前だった。

 校門をくぐると久しぶりの章栄高校だ。前に来たのは受験の時だったから3カ月ぶりかな?


「明、1年の下駄箱(げたばこ)は右側ね? クラスの一番後ろに割り当てられてるらしいから自分で探して」


「うん」


「それじゃあ、私は自分のクラスに行くから。また今度ゆっくりお話ししましょうね? 明ちゃん」


「へ? あ……はい……」


 ポンって軽くボクの肩をたたいて掛川先輩は行ってしまった。

 ボクは姉さんに言われた通りに行くと、1年C組の下駄箱を探すと『28番 佐伯 明』というラベルが張られたところを見つけた。

 もう時間が中途半端(ちゅうとはんぱ)なのか3人の女子生徒が下駄箱(げたばこ)前にいた。


「あぅ、ぉ、ぉはようございます……」


 軽く頭を下げてあいさつすると女の子たちはボクを珍しそうに見て、すぐに笑顔で「おはよう」って言ってくれた。

 嬉しい、家族以外であいさつ返してくれるなんて何年振りだろう……。ちょっと涙でそう……。

 おっと姉さんが廊下の方で待ってるのが見えた。

 慌てて下駄箱に下履(したば)きを入れてスクールバッグから新しい上履(うわば)きを取り出して()()える。


「あの、ぉ、お先に失礼します」


 頭を下げてボクは姉さんに駆け寄った。


「それじゃあ、職員室行きましょうか。職員室は管理棟の1階だから覚えておきなさい」


 と言って姉さんが軽く説明してくれる。

 章栄高校の校舎は大きく7つ、普通科第1棟、普通科第2棟、商業科棟、家政科棟、特別授業棟、部室棟、管理棟に分かれてる。

 ちなみに他の施設(しせつ)は体育館2つとプール1つ、グランド1つがある。

 けっこう敷地面積は大きくて、学校の裏山には高校向けの球場やテニスコートもあるからそこで部活をしてるんだとか。

 ボクたちは普通科第1棟から渡り廊下を通って管理棟に来る。

 1階が職員室と保健室と購買部で、2階は図書室と生徒指導室と生徒会室、会議室らしい。


 で、今その1階の職員室の前に立ってます。


「それじゃあ入るわね」


 姉さんがドアをノックして開けて入ってく、姉さんに続いて入って行くと男の先生がこっちを向いた。


「おや? 佐伯副会長じゃないか、朝からなんの用だね?」


「教頭先生、おはようございます」


 年配の優しそうな男の先生は教頭先生だったらしい。

 それにしても佐伯副会長?


「姉さんって生徒会の副会長なの?」


「そうよ?」


 普通にそう返された。ボク、姉さんが学校の生徒会副会長だなんて知らなかった……。


「今日、妹が転校して来たので担任の先生に引き合わせに来ました」


「そうか、ご苦労さま。どこのクラスだったかな?」


「1年C組です」


「ああ、そうか。キミが(うわさ)の……」


 そう言ってボクを見て微笑(ほほえ)んだ。

 (うわさ)の? ボクって(うわさ)になってるの?


「お~い、天使(てんし)くん! 転校生が来ているよ!」


 教頭先生が振り返って奥の方に呼びかけると、

「ふざけんな、教頭! あたしを天使(てんし)って呼ぶんじゃねえ!」

という()()と正反対の罵声(ばせい)が飛んできた。





                         ― つ・づ・く ―

結構自分で校正はしているのですが誤字脱字が多い性分です。

誤字とか脱字があったらご指摘いただけたら幸いです。



という訳で転校初日の初登校』の回でした。

酷い先輩に絡まれてご苦労様な明ちゃんなのです。


今回は章栄高校の情報を出しながらの話しだったのでちょっと説明回みたいになりました。

明ちゃんは若干内弁慶で外よりは内の方が強く出られます。が、やっぱり家でも立場は弱いです。

家ではイジメが無い分、気が楽ということもあるのでしょうね。


因みにこの学校、クラスはA~Lまであって、普通科8クラス、商業科2クラス、家政科2クラスあります。

普通科は2年になると文理で別れます。

理系2クラス、文系Ⅰ(国公立大学向け)と文系Ⅱ(私立大学向け)ですね。

それぞれさらに一般生徒と魔法少女向けに真っ二つに分かれる感じです。

1学年は大体300人程度、全校生徒900名弱です。

そこそこ大きい学校ですよね。


次回は担任との対面及びクラスへGOの回ですね。

遂に明ちゃんはクラスへ行きます。

がんばって新しいクラスに馴染めると良いですね。

色々問題はありそうですが……(遠い目)

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