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ばっくわ~どまじっく  作者: 水姫 七瀬
第2幕 変化への途惑い
22/57

第19話 2Pカラー!……という名の途惑い

皆さんお疲れ様です。

新しいお話をおおくりします。

前回より時間空いてしまって申し訳ありません。

(2012/11/12 体裁統一のためのチェック)



 ミラさんを見送って僕たちも変身を解いた。

 さすがにはずかしいカッコウを続けるのもイヤだし。


「それにしても明ちゃんってすごいわね~。どうやってアレだけの魔力を出してるの?」


 どうやって? そういえば僕ってどうやって魔法だしてるんだろう?


「う~ん……? むしろ魔力の出し方が分からないかも……」


 でも実感がわかないし……確かにちょっと体の力が抜けるような感覚がある気はする。多分それが魔力を使うということなんだろうけど……。


「それだけ大量に魔力を使っているのになにも無いなんてことは……」


「でも特に体はなんと――あれ?」


 一瞬(いっしゅん)視界が暗くなったと思ったら母さんが心配そうに(のぞ)き込んでいた。どうやら僕は母さんに抱き支えられているような感じみたいだ。


「明!? 大丈夫、明!?」


「ら……い……う……」


 大丈夫っだよって言おうとしただけなのに声が出ない。それどころか気付いたら体も動かないし、感覚が無い気がする……。


「明! しっかりしなさい明!」


 徐々(じょじょ)に体が重くなって視界が暗くなって行くのが分かる。今僕に分かること、それはものすっごく眠いってことだった。



□◇□◇□◇□◇□◇――…



 目を開けると黒い物が目の前にあった……。なんだろう?


「にゃ~……っと、光! 目を覚ましたぞ!」


 それはどアップのお猫さまだった。


「あ……お猫……さ……ま?」


 まだうまく言葉が出てこない。と言うかのどがカラカラだ。


「ああ、明ちゃん! 良かった~!」


「ぎにゃあ!?」


 母さんが勢いよくお猫さまをはらいのけて僕の体を抱きしめた。


「だいじょうぶ? どこも痛くない? 苦しくない?」


「ひ……光……ヒドい……」


 下から震えるような声でお猫さまの声が聞こえてきた。


「のど……かわ…いた……」


「待って、今お水飲ませてあげるから」


 そう言って母さんが水差しで水を飲ませてくれた。


「ここ……どこ?」


「市民病院よ? 明ちゃんが倒れちゃって心配したんだから!」


 学校の保健室みたいなカーテンが引かれた簡易部屋みたいなところだった。


「なんでお猫さまがいるの? 病院ってペット禁止だよね?」


「ツッコむところはそこか!? 私はペットじゃない!」


 怒ったお猫さまが僕の枕もとに立って足蹴(あしげ)にしてきた。


「痛い……」


 なにげに爪が当たってるよ……。


「それに私にはジェイク・グリフォードという名前がある」


「はぁ……。ジェイクさんって呼んでも?」


「よろしい」


「で、僕どうなっちゃったの?」


「魔力枯渇(こかつ)だな。症状も重かったから意識が保てなかったのだろう。全くエルカの奴め、また始末書もののミスをしてくれよって……。いったいなん枚増やすつもりだ!」


 どうやらまたしても妖精さんの責任だそうです……。どれだけミスをしているんだあの人……って人じゃなかった。なんてゆうか、あんな大人にだけはなっちゃいけないってゆう反面教師だよね。


「ちなみに何枚ほど?」


「追加で6枚だな」


 妖精さん強く生きてください……。と心の中で手を合わせておく。


「明くん、キミにはもう一度仮契約をしてもらう」


「はい? どうして……」


 もう僕は簡易で仮契約しているから意味ないんじゃないかなぁ?


「キミの魔力保有量は膨大(ぼうだい)でね。くわしく調べたら一般魔法少女の5人分以上の魔力保有量を持っているようだ。今の仮契約1つでは君の魔力を抑え込むことができない。そこでもう1つ仮契約を追加して2つの効果で抑え込もうと考えている」


 あれ? 僕の魔力って2人分って言ってなかったっけ?


「ジェイクさん。僕の魔力って2人分って言ってなかった? それにどうやって計ったの?」


「最近の病院には魔力診断機という物があってね。健康診断の際についでに計ることができるんだよ。中学校の身体測定の時だって女性は検査を受けてるはずなんだ。男性は高い魔力を持ってることがまず無いから省略される。だから君が知らないのも無理はないか」


 あー、そう言えば身体検査の時に女子が魔力がどうのとか言ってた気がする。なにファンタジーみたいなこと言ってるんだって男子みんなで笑ってたけど本当にファンタジーだったんだ……。


「それで魔力保有量を測定したら数値は547.94を記録していたわけだ。あ、魔法少女の平均が100と設定されていることを説明し忘れたね」


 ってことは5人半近くってことじゃないか。僕にそんな力があるなんてびっくりだ。


「昨日は2人分と言ったが、それはキミ本来の魔力と光の魔力を合わせたという意味だ。光が一般の魔法少女の2倍くらいの魔力保有量を持っているわけだが、キミはさらにその光の倍近くの魔力保有量だったのだろう。そんな膨大な魔力を制御するには腕輪1つでは無理なのでね。無理矢理(むりやり)だがもう1つ契約してもらうよ?」


 ああ、つまりあくまで人数分のカウントだったわけで、実数値じゃありませんでした~ってことなのね……。で、僕のしている腕輪の限界を超えてたってことなのか……。


「それをすれば僕の魔力が()れることもなくなるの?」


「ああ、当面は大丈夫だろう。もっとも成長すればまた同じようなことは起きるかもしれないが……」


 魔力って成長するんだ。でもしばらくは大丈夫なら仮契約したほうが良いのかな?

 一緒に話を聞いてた母さんに視線を向けるとちょっと複雑そうな顔をしていた。


「母さんはどう思うの?」


「お母さんとしては、明ちゃんに魔法少女の仕事をしてもらいたくないかも……。今日だって本当は魔法少女の仕事はとっても危険なんだよって教えるためのものだったの。結果は明ちゃんに助けられちゃったけど」


「そうだったんだ……」


 そっか、母さんは僕のためを考えてくれてたんだ。まあ、途中(とちゅう)から魔法少女のカッコウでノリノリで戦ってたけど……。


「明ちゃ~ん……今良からぬこと考えたでしょ~?」


 母さんの目が急に冷たくなった。


「カンガエテマセンヨ……?」


 ノリノリで魔法少女やってたなんて別に良からぬことじゃないし……。まぁ母さんの年齢じゃあアブナイとは思うけど……。


「ウソおっしゃい。明ちゃんは女の子になってからものすっご~っく顔に出やすくなってるんだから!」


 ウソ!? マジで!? 自分の(ほお)を手で押さえてみたけど全然良く分からない……。

 男だった時の僕の評価は『なにを考えているか分からない子』だったんだよ!? 今さらポーカーフェイスなんて練習できるか~!


「こほん、母さんから言えることは、後は明ちゃんが決めることってくらいかな?」


 僕が決めること……かぁ。どう考えても仮契約をした方が良い気がする。このままだとまわりの人に迷惑かけるばっかりだし。それにこんな僕でも役に立てるなら……魔法少女やってみても良いかもしれない……。


「じゃあ、ジェイクさんお願いします。どのみち今の状態じゃ魔力が()れてナニカを呼び寄せちゃうみたいだし」


「分かった! それじゃあコレを受け取るのだ」


 そう言ってジェイクさんが空中で一回転すると銀色の腕輪が布団の上に落ちた。今僕の左腕にはめてる腕輪と全く同じものだった。


「それをはめるんだ」


 僕は銀色の腕輪をもう一つ追加で左腕にはめるとうなずいた。

 ジェイクさんは目を閉じると背中に黒い鳥の羽を広げて空中に浮き上がった。


「うぁ~……ファンタジーだ……」


「《()が名、『ジェイク・グリフォード』の元に佐伯明を魔法少女に命ずる。(まも)るは民人(たみびと)、映りし世界。(なんじ)に与える守護の力は幻獣の名の元に》」


 その言葉と共に2つ目の腕輪が共鳴して光りはじめた。僕の胸に暖かいなにかが伝わってくる。


「これで仮契約は終了だ。これで君は『ライトアップ』の言葉で変身することができるようになった」


 なるほど~、契約ごとに変身の呪文が違うのか~……ってちょっと待った!


「『ライトアップ』だって!?」


 あ……口に出しちゃった……。

 腕輪が黒い光を出して魔力による風がまき起こった。その風で僕の体にかかってた布団が吹っ飛んだ。


「ぎゃああああああああああああ!!!! ちょっと待って! タイム! タイムを要求(ようきゅう)――」


 ばしゅっという音と共に僕の服が入れ替わるのが分かった……。

 右手を見たら魔法少女の杖、黒塗りの少女趣味(しょうじょしゅみ)(かたまり)。変わった服は真っ赤なフリフリドレス。薄いピンクのレースが痛ましい……。そんな少女趣味(しょうじょしゅみ)丸出しのはずかしいカッコウに変わってしまった……。


「きゃ~! ドレスの色が黒髪に映えてカワイイわ、明ちゃん!」


「うむ……初々しくてカワイイぞ。明くん」


 どう見ても母さんの色違いっぽい魔法少女服です本当にありがとうございました……ってありがとうじゃないよ!? まるで2Pカラーじゃないか!?


「なんでこんな恥ずか――」


「明……」


「はぅ!?」


 小さく聞こえた声に振り向くと、簡易(かんい)個室のカーテンから姉さんをふくむ5人くらいが(のぞ)き込んでた……。


「明にそんな趣味があったなんて……」


 姉さんが(ほお)を染めてこっちを見ている。なんでそんな反応なんだよ!? 僕にはそんな趣味は無いよ!


「ち、ちがっ――」


「カワイイでしょ!?」


 あわてて否定しようと声を上げかけたんだけど、母さんが自慢(じまん)げに胸を張って言った大きな声にかき消されてしまった。


「うん! すっごくカワイイ!」


 姉さんも勢いよく首を縦に振った。ついでに(のぞ)いていたお医者さんや看護師さんも首を縦に振っていた……。


「う……うわあああああああああああああああああああん! こっち見んなぁ~~!!!!」


 好きでこんなカッコウになったんじゃないんだからね! 本当なんだからね!

 どこにも逃げ道が無くなった僕は最後の抵抗(ていこう)とばかりに吹っ飛んだ布団をあわててたぐり寄せて引っかぶった。


「どうしてこうなった……」


 布団をかぶったまま涙を浮かべて僕はベッドのシーツに『の』の字を書くのだった……。





                         ― つ・づ・く ―

結構自分で校正はしているのですが誤字脱字が多い性分です。

誤字とか脱字があったらご指摘いただけたら幸いです。



あれ?日常パートの予定だったのに入院してた……。

まぁ半日入院ですが。

2Pカラーというものが分からない人は居ないと思いますが、格闘ゲームの色違いキャラの事ですよ。


次回は身体測定なのですよ~。

本当は学校で身体測定とかあれば良いんですが、時期的に転校した後ではもう終わってるネタなので病院でする事になるのです。

という訳で次回も執筆がんばりますのでよろしくなのですよ~(ぺっこり

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