第16話 クマさんのぱんつ!……という名の途惑い
みなさまお疲れ様です。
新しいお話をおおくりいたします。
タイトルからしてまぁ……そうゆー事です。お察しください(笑)
(2012/11/12 体裁統一のためのチェック)
ヨタヨタと出て来た僕を母さんと姉さんが迎えた。
なにげに母さんの顔がツヤツヤと輝いてた。ゼッタイアヤシイ。
「ねえ、母さん」
「な~に? 明ちゃん」
「覗いてなんて……いないよね?」
「ばっ、なっ、なに言っちゃってるのかな? お母さんがどうして覗きなんてできるのかな?」
なにこの反応、本当に覗いてたの? さっきの店員さんの指示に従えって命令、やっぱり見えてたの?
はっ!? まさか……。
僕はできるだけ悲しそうな表情を顔に作るのを意識して、
「母さんが魔法使ってまで覗くなんて……」
と言ってみた。
カマを掛けたらあっさりとオロオロし始めた母さん。やっぱりあの変な悪寒って母さんの視線だったのか……。
「あのね! そのね! お母さんね!」
「テンパらなくて良いよもう」
バレバレだよ……。
「でもどうして分かったのかしら? バレないようにしたのに……」
ぼそりと母さんがそうつぶやいた。つぶやくならもうちょっと声を小さくしてね? 母さん……。
「なんか変な気配がしたんだよ。首の後ろがチリチリするような」
「そう……明ちゃんも魔力が強くなったせいで魔力を感じるようになったのね。……よけいなことを……」
そんな悔しそうに言われても……。
「さっきからなんなの? 魔法とか魔力とか訳わかんないこと言って。ゲームの話しじゃあるまいし」
そうだ、姉さんがいたんだった……。母さんって姉さんにも黙ってたのかな? どう説明したら良いんだろう?
「あれ? 母さんって姉さんにも黙ってたの?」
「明ちゃ~ん……よけいなこと言わないの」
母さんが笑顔で顔を近づけて来るので口を閉じます。こうゆー時は逆らわないのが一番。
「お母さん、私には秘密なの!?」
「そのうち教えることもあるかもしれないけど今は秘密なの。ごめんね、千夏ちゃん」
母さんが笑顔の威圧を掛けて姉さんが敗北して終了。
まあ、母さんの主張は判るような気がする。魔法少女ですって言うなんて恥ずかしいからね。
僕もこうならなかったら良かったのにって思えるくらいだし……。
「それよりも明ちゃんの下着選びよ? どんなのが良いかしら」
「そうね~」
なんだか二人がニヤニヤしながら会議を始めようとしていた。
こうゆう時は先手必勝だよ。
「僕としてはカワイくなくてシンプルなのが良い」
カワイイのなんてはずかしくてムリ。ていうかそんなの身に付けてるのなんて想像したくない。
「それは『僕はカワイくてハデなのが良い』ってこと?」
「ちがっ! 僕はそんなこと――」
「まあまあ! じゃあカワイイのを選ばないといけないわね~」
ちょっと母さんが舞い上がっちゃったじゃないかっ! どうしてくれるんだよ姉さん!?
姉さんをにらむとニヘラっと笑って僕の頭を撫でまわした。
「ああ、カワイイ女の子がはずかしがりながら目を潤ませて上目遣いににらむとか破壊力があって良いわねぇ」
この屈辱は絶対にいつかかえしてやる……。
僕はギリギリと拳をにぎりこんだのだった。
□◇□◇□◇□◇□◇――…
ああ、口から砂を吐きそうってのはこうゆー時を言うんだろうか。
目の前に広がった色とりどりのふわふわやらフリフリやらが僕に攻めよって来るんだ。
「ほ~ら、明ちゃんこんなのはどうかしら?」
母さんと姉さんの猛攻があれからかなり続いてる。
時計見てないから分からないけど、試着室で半裸待機させられてる身にもなってよ!? そろそろ体が冷えて寒いんだよ……。女の子の体って冷えやすいっていうし。
2人はブラジャーの付け方のレクチャーから始まって、ボクの胸の形を調べてた。
知りたくなかったけど将来はお椀型とからしいですよ……。姉さんがそうらしいんです……。母さんのは半球型というらしいです……。
そんなこんなで2人は勝手に燃え上がってるんだ。なんで女性ってこうゆうのに燃えるの?
僕には良く分からないよ。
――私…は良く……らな…わ――。
……え? あれ? なんか変な声が聞こえた気が……。
「ちょっと聞いてるの!? 明ちゃん! こっちとこっち、どっちが良いの?」
目の前の母さんはピンクのフリフリまみれとパステルグリーンのフリフリ縁取りのシマシマをぐいっと突き出していた。
「うう……じゃあこっちのシマシマで……」
流石にフリフリまみれはどうかと……こんなの実用性無いじゃん。薄手のTシャツなんかだったら絶対に形が浮き出るよ……。もうすぐ暖かくなるんだから。
って、冬とかだったら良いってことじゃないんだからね! そんなこと考えてないんだから!
「そう? 確かにストライプって男の子っぽい明ちゃんには似合いそうだけど、ピンクのフリルもすごくカワイイと思うし……」
男の子っぽいって……。僕、昨日まで男の子だったのに……すっごく落ち込む……。
ああ、もうどんどん精神力ゲージが削られてるよ!? もう僕の精神力をどこまで削れば良いんだよ。もうすぐ底をつきそうだよ。
そして姉さんが1つの爆弾を抱えて戻ってきた。
「これなんてどう?」
ニヤニヤ笑いながら姉さんが差し出したそれはクマさんのバックプリントぱんつ……だと……?
「ひどいよ姉さん! たしかに僕は子供っぽい体型してるけどこんなおこちゃまぱんつなんてイヤだよ!」
「千夏!」
さすがに母さんも姉さんの悪乗りが過ぎると思ってくれたのか僕に味方してくれるらしい!
「な、なに? お母さん」
ほら母さん! 姉さんの野望を打ち砕くん――
「買いましょう!」
――だ!?
「明ちゃんならカワイく似合うと思うの! そうだわ! 魔法少女の変身後の衣装にこれを組み込んじゃいましょう」
「はぁ!? なにそれ!?」
「魔法少女のコスチュームは自分でカスタマイズできるのよ~?」
そんなこと聞いてないよ!? つまり僕は魔法少女になるたびにクマさんのぱんつをはかされるってことじゃないか!? そんなのダメダメ! ゼッタイダメ!
「やだぁ! 僕ぜったいヤだぁ!」
「明ちゃん……お昼ご飯……約束……」
た、確かに埋め合わせするって言ったけど……。
「わ、割に合わない……」
「明ちゃ~ん」
半分本気に涙目で訴えないでよ……。
「うう……買うだけだからね! はくとは、言ってないんだからねっ!」
「やったぁ!」
年がいもなくこんなことで喜ばないでよ母さん……。
「明……強く生きてね。お姉ちゃん応援してるからね……」
もうやだぁ……もう耐えられないっ! 僕の精神力ゲージがストレスでマッハだよ!?
自分のしでかしたことにちょっとは反省をしたのか、姉さんは深い憐みの視線を持って僕をはげましてくれた。だけど、はげますくらいならはじめからやらないで欲しかったよ……。
僕のことを思ってやってくれてるんだと思うけど、これはもう着せ替え人形に喜ぶ女の子にもてあそばれる人形の気分だよ……。
ああ、もうどんどん気分が落ち込んで行くなぁ……。
「ちょっと! なにこれ!?」
「明ちゃん! お願い腕輪を見せて」
「は? え?」
母さんが慌てて僕の左腕の腕輪を見た。
「ああ、正常に機能してるはずなのにどうして!?」
気のせいかな? なんだか周りがうるさくなってるような……。
『火事だぁ! みんな逃げるんだ!』という叫び声と共にジリリリリリリリリリリっとけたたましく火災警報器が鳴り始めた。
「ええ!? 火事!?」
「明ちゃん、落ち着いて下を見て」
母さんに下をさされて見ると、僕の足元からどす黒い霧みたいのが出て試着室のカーテンの隙間から外にゴウゴウと漏れ流れていた。
「ええ!? なにこれ!? どうなってるの!?」
「明ちゃん落ち着いて! 魔力が漏れてるの! 明ちゃんが落ち着けば消えるから、お願い落ち着いて」
落ち着けって……こうゆう時って深呼吸だっけ?
目をつむって深呼吸を繰り返すとだいぶ沈んだ気持ちが戻ってきた気がした。
「良かった……。明ちゃん、もう良いわよ?」
目を開けると足元から出ていた黒い霧みたいな魔力が出るのが止まったけど足元にはまだ漂ってる。
「止まったのは良いけど……けっこうハデに溜まってるわね~……とりあえずお店を出ましょうか? 避難指示が出るだろうからここにとどまっているのもダメだろうし」
「お母さん? もう収まった? 店員さんがこっち来てるんだけど――」
するとカーテンの向こうで、
「お客さま! 大丈夫ですか!? 早く避難してください!」
と店員さんの声が聞こえて来る。どうやらこの騒ぎの原因が僕だってことに気付いてないみたいだ。ちょっと心苦しい……。
「大丈夫です~。申し訳ないですけどこれのお会計お願いできますか~?」
母さん、そんなムチャクチャな……。
僕は顔だけカーテンから出して、
「母さん、ムチャ言っちゃダメだよ!」
って注意したら、
「どうせ明が着替える時間が必要でしょ?」
って言葉が返ってきた。それはそうなんだけどさ。迷惑考えなよ?
無言の笑顔攻撃で店員さんを攻撃する母さん。店員としてもすぐに避難して欲しかったみたいで根負けしてレジに移動して行った。
僕が服を着て外に出るともう母さんがお会計済ませて戻ってくる所だった。
「さあ、早く避難してください! すぐ避難してください!」
店員さんごめんなさい……。
心の中で謝罪して避難のために移動する。婦人服売り場は3階に集中していて、フロアーも広い。非常階段へ移動してるんだけど結構遠いなぁ……。
そんなことを考えてたら、一瞬だけ変な感じがした。さっきの母さんが魔法を使った時のような、首の後ろがチリチリする感じ。
「明ちゃん、今の感じた?」
母さんが僕を振り返った。いつもの優しい顔じゃなくて……なんていうのかな? 厳しい顔? そんな感じの顔。
母さんもこんな顔するんだ。
「なんか変な感じがしたのは確かだけどなんだったのかな?」
「え? 2人ともなに言ってるの?」
僕と母さんは魔法少女だから分かることなんだろうか? 姉さんはなんのことか分かってないみたい。
「もしかしてと思ってたけど……ちょっとタイミング悪かったみたいね~」
母さんが珍しく顔をしかめて言ったとたんに、下の階で連続でガラスが割れる音が響くと共に建物が揺れた。
「千夏! 荷物を持って逃げて! 明は私に着いて来なさい」
ああ、やっぱりこれって僕の魔力(?)にひかれてナニカが来たんだ……。つくづく自分の貧乏神体質に嫌気がさしてくるよ。
「なんで!? お母さんと明はどうするの!?」
「私は一応お役所の職員だから対応しなくちゃいけないし、明ちゃんは見習いとは言え魔法少女なの。それに千夏は魔法少女でも無ければお役所勤めでもないから、一般市民として避難してくれないと私が仕事をクビにされちゃうの。分かって?」
そこまで言うと渋々ながら姉さんは、
「良い!? ゼッタイにケガしないでよ!?」
と言って非常階段へと走って行った。
「私たちは下に行きましょう!」
母さんが目の前の止まったエスカレーターを指さした。
― つ・づ・く ―
結構自分で校正はしているのですが誤字脱字が多い性分です。
誤字とか脱字があったらご指摘いただけたら幸いです。
と言う訳でクマさんのぱんつでした(笑)
ていうか最近そんなぱんつどこに売ってるんだろう?探しても見つかりそうにないかな……。
千夏さんどこから持って来たの!(笑)
さて次回は久しぶりの戦闘シーンが入ります。
戦闘描写って結構苦手なので頑張りたいと思います(ぺっこり