幕間1 胡蝶の夢
幕間です。
なんかコメディから外れてシリアス一色な気がして首を捻るような回ですが。
まぁ変則的な回ということでちょろっとおおくりいたします。
(2012/11/12 体裁統一のためのチェック)
夢を見ていた。
一人の女の子の夢。
厳しくとも優しいお父さんと朗らかなお母さんの間に生まれた未熟児だった。
体が弱い分、幼い頃は良く熱を出して心配をかけて、2歳違いの姉を良く困らせていた。
それでも、3歳になる頃には少しは体が丈夫になり、弟が生まれて彼女は姉となった。
彼女が小学校に上がる頃、お姉さんは体が弱い妹をとても心配したせいか、とても彼女にべったりとついて回るようになった。
そんなお姉さんを彼女はとても好きになり、弟に対してはお姉さんだからと一生懸命面倒を見た。
そんな経緯を持った弟はやはり二番目のお姉さんが大好きなお姉さんっ子に育った。
しかし、そんな彼女にも転機が訪れる。
彼女の祖母が彼女に目を付けたのだ。姉は素養が芳しくないが、彼女には見込みがあるとでも思ったのだろうか。
それからは茶道に華道、書道に弦楽、日本舞踊と教育を強いるようになった。
お母さんは女の子の人生は女の子自身が決めるべきだと反発したが聞き入れてはもらえず、彼女も良いんだよお母さんと首を振っては優しく笑い返すだけだった。
そんな彼女が中学に上がった時に事件は起きた。
身長は平均よりもかなり低いが、整った容姿が誰をも惹くようになった彼女。
それでも山ほどの習い事に加えて学問についても追求する祖母の期待に応えようとした彼女には私生活に余裕が無く、友達もできることは無かった。
次第に集まる異性の目に比べて、まるで忌む者を見る様な同性の目。彼女は孤立し、同性からイジメを受けるようになった。
ただ期待に応えようとしただけ、ただ人より見目麗しかっただけ、当の本人に非があるわけでは無かった。
次第に彼女に笑顔は無くなり、ただ日々を勉強と習い事に費やすだけになって行く。
そんな彼女に家族が気付いた時はもう遅く、笑顔は無くなりただ空ろな瞳を返す人形のようになっていた。
家族は必死に彼女の心を開こうと努力した。しかし、心を閉ざしてしまった彼女の心の傷はとても深くて家族の想いはもう届く事は無く。
次第に心の病は身体を侵し、少女は寝込むようになった。
まるで本当に体験しているような感覚がした。
彼女の動かす手や足、首の曲がり具合から髪が身体を撫でる感触まで。
なにに喜んで、なにに怒って、なにに哀しんで、なにを楽しんで――そしてなにに絶望したのか。
喜怒哀楽全ての感情が流れてくる。
彼女は思う、どうしてなにもしていないのに虐められるのか。
彼女は思う、どうして祖母の期待に応えようとしているだけなのにこんなにも苦しいのだろうか。
彼女は思う―――
「ねえ? 私ががんばってきたことってなんだったのかしら?」
ふいに後ろから声がかかる。小さくか細い震える声。透き通った声音なのにどこか歪な響き。
振り向くとうつむいて手で顔を覆いながらしくしくと泣く女の子の姿。僕よりかなり身長が低くて髪が凄く長い女の子だった。
近づいたその時、彼女は手を下して顔を上げた。
真っ直ぐ視線が交差する。
その顔は―――。
結構自分で校正はしているのですが誤字脱字が多い性分です。
誤字とか脱字があったらご指摘いただけたら幸いです。
次回から第2幕の幕開けです、
また頑張って連載していくので宜しくお願いします。




