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私と運命の番の間に飛ぶのは愛?それともアレルゲン!?マスクと空気清浄機が必須です!

作者: 悠木 灰二
掲載日:2026/02/21

今度は、異種族間の恋愛について、ちょっとした疑問を広げてみました。

誰かが少しでも笑ってくれますように。

この世界は誰もが運命の番で結ばれる。


種族なんて関係ない。

それが常識だ。


私の運命の人は、どこにいるのだろうか?


———


ある日仕事終わりに、同僚でもある友人と街を歩いていると、急に胸が高鳴った。


「嘘……!今日!?」


まだ顔も見えない。

でも待ちわびていたからわかる。

正直、仕事の後だから、小麦粉があちこちに付いている。

こんな状態じゃなくて、お洒落した私を見てほしかった。


前から来る、あの人は——

私の運命の——


「ぶえっくしょおおおおおおい!」

「え!?カッツェ?ちょっと急にどうしたの?大丈夫?」

隣を歩く友人が、驚きつつもティッシュを差し出してくれる。

涙が、鼻水が、まるで運命の番に出会えた祝福をする泉のように溢れる。


「はーーーっくしょん!ぶえっぶえっ……ぶえっくしゅん!」

「おいおい、大丈夫か?どうした、急に?」


嬉し涙か、もしくはアレルギー反応か、止まらない涙で霞んだ視界の向こうで、待ち侘びた運命の番が、私と同様に、くしゃみと涙が止まらない。


双方の友人たちが困惑する中、私と彼は必死に意思疎通を取ろうとする。


「あっ、あな、ぶえっくしゅ、あなたはわたしの、ぶえっくしょおい!」

「はっくしゅ、ぶえっぶえっ、あなたはうんめ……はっくしゅっ!」


全く会話にならない。

彼のことを知りたいのに、何もわからない。

涙の滝で彼が見えない。


相手も同じように、何かを伝えようとしてくれているが、苦戦しているようだった。


私は止まらないくしゃみと、涙と鼻水を垂れ流した状態の中、ジェスチャーで運命の番に会えた喜びを伝えようとする。


「へっくしっ!」

(会えて心から嬉しい!)


私が何かを言いたがっていることに気づいた友人が、ジェスチャーを解読し始めた。


「私は?……あなたの?……え?心臓がどうしたの?心臓が痛い?」


「はっはっはーっくしゅ!」

(違う!)


「違う?痛くないのね。え?心臓じゃない?心?心なの?……心が……痛い?」


「ぶえっくしょい!」

(違うってば!)


「ちょっと怒らないでよ!もう一回!心は合ってるのね?心がどうしたの?破裂?」


「っくしゅ!ずびーーーっ」

(破裂してない!)


「それ、嬉しいとか喜んでるって言いたいんじゃないんですか?」

「え?心が……嬉しい?」


彼の友人も一緒になって、私の言葉を彼に伝えようとしてくれている。


肝心の運命の番は、私と同じでくしゃみと涙と鼻水が止まらず、私のことが見えているのかさえもわからない。


「心が喜んでいるってこと?ちょっと!それって運命の番ってこと!?キャー、良かったじゃない!」


友人は、まるで自分のことのように飛び跳ねて喜び、そのまま抱きつこうとした。

しかし、私が涙と鼻水でぐしゃぐしゃであったことを思い出し、若干引いた笑顔で、そっと私の肩を叩いた。


そして全く話が出来ない私たちの代わりに、友人たちがお互いを紹介してくれた。


「彼女の名前はカッツェ。猫の獣人で、年は24歳。実家のパン屋でパン職人をしているわ」


それを聞いた彼の顔が驚愕で染まる。


「彼の名前はゼーダー。杉の木のドリアードで、年齢は26歳。王立薔薇園で働いているよ」


——杉!!

しかも薔薇園!?


目と鼻が溶けてしまう……


私の運命の番は、花粉そのものだった。


私は、重度の杉花粉アレルギー。

薔薇も駄目だ……


どうやら彼は動物、特に猫の毛にアレルギーがあるようだ。

しかも、私の服に付いた小麦粉を見て、何だか痒そうにもぞもぞしている。


愕然とする私たちを見て、友人たちも何かがおかしいと気づいたようだ。


「……カッツェ、あなた確か杉の花粉症、あと薔薇にもアレルギーがあったんじゃ……」

「ゼーダー、お前、俺んち来ると同じ症状出てたよな?部屋に鳥と猫入れるな、って言ってたけど……猫アレルギーか!?しかも小麦粉食べられなかったんじゃないか!?」


「「……運命の番なのに……」」


なんてことだ。

運命の番に会えたというのに。

お互いがお互いのアレルゲンだなんて……。


そのとき、ゼーダーが涙と鼻水とくしゃみを必死に抑え、声を出した。


「てが……み……いや……で……でん……わで……はなそ……う」


確かに、文通はお互いのアレルゲンが手紙に付着する恐れがあって危険だ。


ぼーっとしてきた頭で、必死に考える。


無菌スーツがいる。

あとアレルギー専門の名医。

いや、聖女か?


ありがたいことに、友人たちが私たちの代わりに、電話番号を交換してくれている。

私の運命の番は、私と同じように、いい友人を持っているようだ。

そんなところにも心がときめく。


しかし心は相手を求めているのに、体が勝手に後ろに後ずさる。


運命の番なんだ。

アレルゲンなんかに、負けたくない。


涙で腫れ上がった目で、彼を見つめる。

彼も、涙が溢れ続ける目で私を見つめ返す。


心で通じ合う。


次の日、新聞の片隅に小さな広告、そして質問コーナーに不思議な質問が載った。

——※急募※運命の番に対するアレルギー対策、求む

——※至急※聖女は空気清浄機何台分ですか?

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


花粉症の季節ですね。

皆さま無事ですか?

私はバラ科アレルギーで果物がほぼ全滅、さらに猫アレルギーもあって大変です……。


「無菌スーツ?聖女?これから二人は大丈夫?」と思った方、ぜひ感想をお聞かせください。

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