調味料取引覚書 ~娯楽と香辛料による支配網構築計画~
私はデイビット
先日送った手紙の返事をもらい商談の時間となりました。
今日は商業ギルドギルド長マーク
シグの町で一番調味料の取り扱いが多い商会テリー商会会頭テリー
私と一番懇意にしているジム商会会頭ジム
の3名だ
「今日はわざわざご足労頂きありがとうございます。」
「新しい商品を販売するので見に来てくれと言われれば来るしかなかろうに」
と機嫌良く言うギルド長マーク
「私に力になって欲しいなんて珍しい事言うから飛んで来ました。」
と少し訝し気に言うテリー
「面白そうな事始めるそうじゃないか!」
と楽し気なジム
三者三様な形で現れました。
私は皆を応接室に案内すると
待っていたジャックとウェインを紹介します。
「こちらは新しく取引先となられましたジャック様です。愚息のウェインはいいですね」
「ジャックと申します。よろしくお願いいたします。」
「そういう紹介は無いと思いますよ、、、お父様!」
最初ジャック様は昔を知っている連中なので
ばれるから姿を見せない方が良いのではと提案しましたが
髪型、眼鏡、髭で大丈夫と押し通されました。
確かに今のジャック様は若いころのイケイケな商人ではなく
落ち着いた雰囲気の執事然とした風格と身のこなしなので
同一人物だとは分からないとは思いますので了承しました。
今後の事を考えると取引先が分かるのと分からないのでは信用に雲泥の差が出ますからね。
「では皆さまお座りください。
先ずは小手調べですが「リバーシ」です。
「四角いリバーシ?」
「確かに丸に加工するのに一番時間かかってるらしいな。」
「でも面取りされていて角で怪我する事はなさそうですね」
「こちらは卸値
大銅貨7枚(約7000円)
一般販売価格銀貨1枚(約1万円)を予定しています。」
「今売ってるのは銀貨2枚(約2万円)ぐらいするから手頃感で売れそうですね」
「そうですね、とても良いと思います。年末まで4か月あるのでそれまでに宣伝行えば
冬の間の娯楽として評判になりそうですね」
「確かにうれそうな良い品だ。だけどデイビット、これぐらいの物でこのメンバー集めないだろう?
他に何があるんだ」
「ジム、焦らないで下さい。徐々に説明しますので
はぁ仕方ないですね、、、では皆さま隣の部屋に移動お願いします。」
部屋に入ると真四角な机がある。椅子が4つ横には小さな台が4つ
壁や窓には説明書みたいなもので同じ物が4枚張られている。
「何か変な部屋ですね?」
「専用部屋にしてしまいましたのでこちらが次の商品「麻雀」です。」
何なのか全く分かってない3人に私は続けます。
「本来4人でやる物なのですが私、ジャック様、ウェイン3人でお手本見せますね」
と言いながら牌を出しかき混ぜ始める。
商人3人には私達3人の後ろに座ってもらい前の人物のゲームを見てもらう。
飲み物をサイドテーブルに置き半荘始める。三麻なので直ぐ終わるだろう。
「その台はサイドテーブルなのですね」
「はい軽食や飲み物が必要になります。やり始めると中毒性があるのです。
実際10時間以上やり続ける事もしょっちゅうあります。」
「そんなに?!」
「今回は3人でやるのでそんなに時間かからないと思います。
最低ゲーム数は親2回づつの2周6回で1ゲーム終了になります。
では、始めますね」
と言いながらサイコロを振ります。
結果はジャック様の勝利でした。
本当にウェインは麻雀が下手です。
捨て牌から相手の手を読むのが下手すぎます。
商売に通じる極意みたいなものもあると思うんですが先々が心配になります。
「どうですか?やってみたくなりましたか?
上がり役は壁に貼ってあるので覚えるまで見ながらやりましょう。」
「やるやる」とジム
「面白そうでした」とマーク
「奥が深そうですね」とテリー
その後は商人3人と私達の誰かで卓を囲みます。
半荘を何回かやったところで
ジムに「何か飲みますか?
麻雀は頭を使います。そういう時は甘い物が良いそうですよ」
と言い甘い紅茶を注がせます。
高級な砂糖をたっぷり使った飲み物を商談中に飲ませる馬鹿はいません。
全員何かに気づいた様です。
「雑味の無い良い紅茶ですね、、、」マーク
「これが本命ですか、、、私が呼ばれるわけですね」テリー
「あまっうまっ」ぶれないジム
「はい、とりあえず、、、ですが
塩、胡椒、砂糖、香辛料各100kg程ジャック様の方から仕入れました。
こちらがその見本となります。」
と言ってウェインが見本を見せます。
「何ですかこの白い混じりけのない塩と砂糖は?!」
「胡椒も香りが強すぎます!」
「唐辛子の袋開けたら、、、ヘックション!くしゃみが止まらないぞ!」
「如何でしょうか?こちら相場通りの市場価格で売って頂きたいのですが当方は2割あれば十分です。」
「この品質で相場価格で売れって言うのか?!今までの市場が吹き飛ぶぞ?!」
ジムが騒ぎます。
「私どもにはどれぐらいの量降ろして頂けますのでしょうか?」
いきなり敬語で丁寧になったテリー
「もう少し高い価格で売ってもらわんとバランスが、、、」
とマーク
「先ほども申し上げましたよね。とりあえず、、、、だと。」
私はマークを見つめて言う
「マークギルド長、、、、シグの町で国中の調味料を牛耳りませんか?」
顔の角度を変えテリーに向かって言う
「販売網は貴方に一任したいと思っています。欲しいだけ回します思う存分売りまくって下さい。」
最後にジムに向かって言います
「貴方は次の生贄です。私と一緒にジャック様の主に会って頂きます」
マークは動かない。再起動まで時間かかるだろう。
テリーは「喜んでやらしてもらいます!楽しくなってきましたね!」と現金この上ない
ジムは「生贄?何だそれ?俺にも調味料分けてくれよ!」
カオスな夜が更けていきます。
やっとシグの町に来れました。
リバーシや麻雀といった娯楽が、
単なる遊びではなく「人を繋ぐ仕掛け」として機能しましたね。
条件からして負ける筈のない商談です。
どんな勝ち方をするのかを主眼に置いた商談は楽なものです。
とはいえ商談を一話で終わらせる事が出来なかったので
商談はまだまだ続きます。
調味料の香りが、どこまで王国に漂うのか楽しみです。
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読んでくれる一人ひとりが、このダンジョンの“魔素”です。




