村落吸収記録 ~統合は静かに始まる~
蜘蛛さんを通じてジャックから連絡が来た。
「四村の村人を全員催眠状態にした事にもあり
奴隷より村人を取り込む事を優先するべきだと思います。
奴隷解放と、他の奴隷購入はいつでも出来ますので一旦棚上げにしても宜しいでしょうか?」
確かに、その通りだと思った。
あちらもこちらも、全て一度に受け入れていたら体が持たない。
優先順位を決めて行動してくれて助かる。
なので俺も優先順位を決めて行動する。
先ずはリンの村の人員をダンジョンに入れる。
リンから鉱山までなら二十kmだ。
往復二時間としても、一日で全員馬車で回収出来る。
俺とエリザベート、眷属六人でやれば良いか。
「今晩、リンの村に向かう。俺とエリザベートとダンカン達で行ってくる。」
リンまで馬車で一時間だ。
リンに到着すると、村では各家で寝る準備を始めていた。
中には既に寝に入っている家もある。
農村は、朝日が出ると動き出し、夜、日が暮れると直ぐ寝に入る。
「ダンカン、世帯数は?」
「各村三十世帯と決まっています。三十を超えると別の村に移されます。
移されるのは一人身の者からです。」
「ハイムで新しく結婚して家庭を持つとガルドに移されるのか?」
「新しい家族はそのままで、年寄りの家族か一人身がガルド、ベルク、リンのどこか空いてる村に移されます。」
「労働力か……世知辛いルールだな。」
「足の無かったダックの様な者は、誰かが来たら追い出されて貧民街行きでした。」
「ヴェスト(西)は一番人気無いのです。なので、別の方角の村を希望する若者も少なくありません。
許可が出れば、そちらに移住しています。
オスト(東)シュード(南)は海が近いですし、ノール(北)は他の侯爵領と接している為、栄えているという噂があります。」
「なるほど、だから障害者の一人身が村に残っていた訳だ。」
「そうです。他の地方なら追い出されていたと思います。」
「詰めれば馬車に二十人ぐらい乗せれるな。」
「エリザベート、二十人ぐらい連れて来てくれ。ダンカン、案内してやってくれ。」
「「かしこまりました」」
二十人を馬車に乗り込ませ、御者に眷属二人を指名し、ダンジョンに送り出す。
送り出した馬車は眷属のみを連れて帰ってくる。村人達は食堂で待機しているとの事。
その後二十人ずつ送り出す事三回。
最後の便で全員撤収する。
「さて、ダンジョンの大幅改築だ!」
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ダンジョンに到着し、最後の村人を食堂に入れると、
流石に手狭に感じられたので机を五つ残し片づける。
今回は採血からだ。
大幅改築の前に血液補充しておきたいのだ。
会議用長テーブルを五つ並べて、
エリザベート、眷属六人が交代で採血していく。
俺は採血済みの血をダンジョンに与えていく。
今回は七十二人分の血液だ。
子供は半分なので実際の人数分よりは目減りしているが、
大量の魔素が手に入った事には変わりは無い。
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今回は家族毎に部屋を用意する。
何故なら――
「囚人とは違うのだよ囚人とは」
だからだ。
四人家族以上は基本は八畳二間だ。
六畳だと圧迫感あるかもしれない。
夫婦の部屋と子供の部屋。
トイレも風呂も台所も必要ないので、ただゴロゴロして寝るだけの部屋だ。
六畳でも平気な気がして来た。
寝具は布団。
これもシーツ・枕カバーは毎日交換しても良いルールにする。
何日使うかは任せる。
布団は三ヶ月に一度交換ぐらいで良いかな?
ベッドを用意するよりちゃぶ台と押し入れ用意すれば良いだろう。
畳は無いが、、、
三人家族以下は八畳一間だ。
独身も一緒で良いか。
生活ベースは村毎で某有名魔法使い映画の寮形式の方が良いだろう。
グリフィンド◯ル、スリザリ◯、レイブンクロ◯、ハ◯フルパフとか、、、
普通にハイム、ガルド、ベルク、リンで良いな。
貧民街から来た奴らはシグで良い。
いきなり三百五十人の共同生活より、
見知った顔の八十人の共同生活の方が軋轢少なそうだ。
基本催眠で喧嘩などは出来なくなっているが、内面に蓄積されると面倒だ。
という訳で、今回はリン村の村人用の一式を作る。
四人家族部屋十四。
三人家族部屋(独身含む)十五。
大浴場を男女別で二つ、前より大きめに作った。
脱衣所に洗面台も二十作った。
朝顔洗うぐらいだよな?
トイレも男女別で計二十。
食堂は八十人用。
厨房もそれに合わせた大きさの物を用意した。
パーシーはダンカン、ニアと一緒だ。
既に催眠学習で相当知能高くなっているので、前の家族と鉢合わせしても大丈夫だと思う。
もし駄目なら又対策すれば良い。
これでリン村用のダンジョン設備は完成だ。
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全員をリン食堂に連れてきて、各自席に座らせたところで、
エリザベートに言って、状態を強催眠状態から鎮静催眠のみの弱催眠にしてもらう。
ここからが俺の見せ場だ!!
「こちらにおわす方をどなたと心得る!
隣国の女王エリザベート様におわせられるぞ!
皆の者頭が高い!控え折ろ~う!」
と一度は言ってみたかったセリフを言ってみる。
同時に懐から何か出そうと思ったが、「核」しか無いので止めておいた。
「メイズ様?それは何なんですか?」
とエリザベートが小声で聞いて来たが、華麗にスルーして言葉を続ける。
「そして私が、隣国エリザベート王国の宰相のメイズ・ラビリンスである!」
鎮静の催眠が効いているので、小声でボソボソという声しか聞こえないが、動揺は伝わってくる。
「とりあえず一週間この王国で生活してもらう。
そして一週間生活して気に入らなかったらリンの村に戻すので言ってくれ。」
「色々聞いたい事もあるだろうが、先ずは食事にしよう。
皆、食べながら聞いてくれ。」
と言って食事を生成する。
なるべく普段の食事と変わらず、しかしグレードアップ品を出す。
小麦粉のパン(ジャム、バター、はちみつつけ放題)
フレッシュオレンジジュース
ハンバーグステーキ(ソースたっぷり)
クリームシチュー。
出来立ての料理がテーブルの上に並び、美味しそうな匂いが立ち込める。
いきなり料理が目の前に出てくる姿は、完全にハリー・〇ッターの寮の食事風景だ。
「好きなだけ食べてくれ。お代わりも準備するので、足りない者は声をかけてくれ。」
「先ず食事の後だが、風呂に入ってもらう独特のルールがあるので、
それは案内人の指示に従ってくれ。
男はこちらの六人(眷属六人)に案内してもらう。
女性はニア達四人の指示に従ってくれ。」
ダンカンに目配せすると、理解したのか一歩前に出て挨拶を始めた。
「ダンカンです。皆様お久しぶりです。」
村人達は、何を言われたのか分からない様で硬直している。
ニアが隣に立ち、
「父共々改めてよろしくお願いします。」
と挨拶した。
その瞬間、ダンカンがあの老人だったダンカンだと気づいたのだろう。
鎮静の催眠の効果を破るどよめきが起こる。
自分達の記憶の中に、
「出稼ぎに出た村人が何人かいた」
という事実が思い出された様だ。
後ろにいるダックやパーシーの姿にも気づいたようだ。
皆理解した様なので、エリザベートに頼み、
改めて鎮静の催眠をかけてもらい、その場を落ち着かせ、食事に戻らせる。
ある程度食べていたからなのか、
元々食事量が多くないのか、お代わりを求める声は上がらなかった。
鎮静の催眠を受けても、色々な情報が交錯しすぎて、食欲に意識が行かなかったのかもしれない。
とりあえず食事が終わったので、大浴場に連れていき、
ルールに沿って風呂に入れようとしたのだが……
採血後の長風呂は止めておいた方が良いのを思い出したので、
軽く体を清める程度にして、明日からルール通り入る様に伝えた。
その後、部屋割りをして各自に熟睡の催眠をかけて部屋に押し込んだら、今日の業務は終了だ。
生活圏内は囚人と被ってないのだが、
危険なので、囚人フロアとリンフロアの間には認証式の出入り口を設置した。
麻雀部屋で実装済みなので、簡単だったのは言うまでもない。
やっとダンジョンに人が増えました。
やっとダンジョンが大きくなりました。
先ずは血を奪い、ダンジョン生活の快適さを与え
ダンジョンから逃れられなくする。
快適から支配へのメイズの鉄板コンボです。
常々疑問なんです。
布団よりベッドの方が衛生的に悪くないですか?
敷き布団は干すのにベッドマット干すって聞いたことないんですよね。
なのに皆ベッドで寝たがる。。。不思議なんです。。。
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読んでくれる一人ひとりが、このダンジョンの“魔素”です。




