西方統合報告 ~教育制度および移住計画の実施記録~
昼はニアとパーシーの教育。夜は各村の村人を催眠し、緊急性の高い人物を確保しつつ過ごした。
最後の村、ヴェストハイムの処理が終わったあと、俺はデイビッドに向かって言った。
結局全ての村の村長はジャック、デイビッド二人のお眼鏡にはかからない連中だったという訳だ。
「出来れば西側地方の税金業務、一手に引き受けられないか?」
デイビッドは少し考えてから答えた。
「領主の納税官がいますが、ヴェストハイムの村に着いてから対応で十分だと思います。
その時はエリザベート様、お手数ですがよろしくお願いします。
それに付随する各村からの納税作業の手伝いは、一種のボランティアで減税対象なだけです。
要は、実費を税金と相殺してくれる訳です。
各商人がそんなに積極的にやっている訳ではありませんし、
今年は私が西側を受け持つという形であれば問題ありません。
来年以降は分かりませんが、今年は大丈夫だと思います。
憲兵団のジョンさんとポールさんにも後押しをお願いしておきます。」
「そうすれば各村の村人を全部ダンジョンに連れ帰っても、暫くはバレなくなるな。
もし流れの旅商人や他の商人が西側の村に物売りに来ても、町の入り口を見張っておけば対応可能だ。」
これでとりあえず、ヴェスト四村に関しては占領計画が完了した。
最初は各村から数人だけ連れ帰るつもりだったのだが――まあ、問題ない。結果オーライだ。
結局、四つの村で催眠状態にした人間は三百五十三人。
そのうち生活がままならない状況だった老人・障害者・子供など、二十三人を連れ帰った。
残り三百三十人を移動させなければならない。
連れ帰った内訳は、眷属にした老人がダンカンを含めて六人。
その中には元村長が一人いた。今後、重宝するかもしれない。
足や腕が無い障害者がダックを含め七人。
教育を受けさせる子供がパーシーを含め八人。
女性はニアを含め四人になった。
障害者七人と老人六人は農場労働。
不足している手足にはゴーレムの義肢を設置した。
着ける時に痛がるのが分かったので、核を入れる前に鎮痛の催眠を忘れずに実施した。
――俺はきちんと学ぶのだよ。
あと、採血の時のエリザベートの様子が、なぜか慈悲深く見えてきて
姿はヴァンパイアなのに、佇まいが聖女のように感じられた。
こういう女王も“あり”かな、と思った瞬間だった。
重労働に向かない子供と女性は、当初の予定通り読み書き計算の催眠学習を受けさせることにした。
結果から言うと――催眠学習、すげぇーーーー。
真綿にスポンジを吸い込ませるように??、とにかく何でもかんでも覚える。
実地が伴わないので暗記中心だが、読み書きはこの世界の一般的水準まで一週間かからなかった。
計算も「たす・ひく・かける・わる」の四則演算を一週間で習得。
九九も教えたが、大半は一度で暗記し、三回目には全員完璧になった。
この時点で気づいた。
このままだと「エリザベート王国」の官僚は女と子供ばかりになってしまう――と。
慌てて眷属になった村人六人を催眠学習班に移し、教育を行うことにした。
四つの村の村人を回収して教育を進めている間に、開拓地の橋梁工事も終わった頃かと思い、現地へ向かう。
開拓地に到着すると、すでに橋は完成していた。
川幅二十メートルほどあるが、橋脚もあり、しっかりとした造りだ。
ちょっとやそっとでは壊れないだろう。
これをわずか五日で作り上げるとは、我が眷属ながら見事な仕事だ。
ノームさん達には、橋から西に一キロまで道を作り、そこを拠点とするよう指示していた。
道の途中で作業中のノームさん達に出会う。
ウルフさん達が尻尾を振って突進してきたので、俺はそのまま抱きしめて撫でる。
それに気づいたリーダーの「NEWS」の四人が、嬉しそうに走ってきた。
「お久しぶり~! ここまで出来たよ!」
「もうここまで出来たんだな。凄い凄い、皆とても優秀だ。」
俺が賞賛の言葉を告げると、皆嬉しそうにはしゃいでいた。
道幅は五メートル。
それを一キロ整地するだけでも、大木や凹凸が多く大変な作業だ。
ノームさんやウルフさん達に「くれぐれも無理をしないように」と伝えて、ダンジョンへ戻る。
【モード】通常運営(西方統合・建国準備期)
【開拓進捗】ヴェスト四村制圧完了/移住対象23名確保(老人・障害者・子供中心)
【眷属構成】新規眷属6名(農作業班・教育班へ配置)/補助ゴーレム義肢設置完了
【教育制度】催眠学習導入(識字・計算・暗記定着率98%)/女性・子供中心に官僚候補育成中
【建設進捗】橋梁工事完了(川幅20m)/西方1kmまで街道整地完了
【労働管理】農場班・教育班・建設班の三系統に再構成
【社会構想】西方一帯の完全統合および“エリザベート王国”建設準備整う
徐々にヴェストの各村をメイズが侵食し始めました。
一度侵食された者は快適さ故に浸食から逃れられなくなります。
なので一度侵食を体験させれば良いだけの話なのです。
この世界のどこまでメイズが侵食出来るのか作者の私も知りません。
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読んでくれる一人ひとりが、このダンジョンの“魔素”です。




