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ダンジョンの社会的貢献を目的とした地位向上のすすめ ~奪わず与え従え支配するダンジョン育成記~  作者: 不可思議 那由多
第二章 対外接触と社会実験の始動 ~循環構造の外部展開と制度設計の初期実装~

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娯楽構造試行報告 ~支配下における興味と健康管理の観察について~

「昨日はよく眠れたか?」

――まあ、聞くまでもないのだが、様式美として俺は聞いた。


ちなみにデイビッド用に、看守と同じツインルームを増設しておいた。

一応、客人対応である。


「こんなに目覚めが爽やかなことは久しぶりです」


「実は昨日の催眠で、お前にだけ“熟睡の催眠”のほかに“うつ伏せ寝”の催眠も施した。

 今日起きた時、うつ伏せだっただろ?」


「気にしてませんでしたが……言われてみれば、そうだったかもしれません」


「お前の年齢と体型だと、たぶん無呼吸症候群を発症してるはずだ。

 いびきがうるさいとか、寝てる間に呼吸が止まってるとか言われたことは?」


「ありますあります」


「それが無呼吸症候群の症状だ。

 寝ている間に喉の筋肉が閉鎖されて、呼吸ができなくなる。

 うつ伏せなら喉が通ったままだから症状は出にくい。

 横向きでも多少は緩和される。帰ってからも試してみろ」


「……色々詳しいですね」


「熟睡の催眠で気管塞がったまま仰向けに寝てると

催眠効果でそのまま永遠に熟睡につく恐れあったのでな」


「……恐ろしいですね」


「まぁ気持ちよく寝れたのなら結果オーライだ」


「で、とりあえず献血をさせてくれ

デイビットは一人分、マックスは半分、ブレンダは無しだ

まぁデイビットには拒否権あるんだが拒否しないだろ?」


「貴重な取引相手であるメイズ様の支配というものを

一度経験しませんと理解出来ないと思いますので勿論拒否などいたしません」

エリザベートが献血セットを持って来て手際よく実施する


デイビットは献血自体何とも無い用で

「これだけですか?あの風呂と食事と部屋で生活出来るのに?!

 確実にここの囚人達は一般市民より良い生活してるんですよ?

 ジョンやポールがダンジョン帰りたいって言う訳ですね。」


マックスは注射を怖がって大分緊張していたが献血後は

こちらも拍子抜けした顔をしていた。

「腕に針を刺すので凄い痛いと思っていたらほとんど痛みありませんでした。」


ブレンダだけ顔面蒼白だったので

「ブレンダ無理しなくて良いからな。まずは体調万全にしろ」

と言うと泣きそうな顔で笑顔を作っていた。


その後ミックとジョージに同行を頼み、

マックスとブレンダには掘削現場と農場の視察を任せた。


俺、エリザベート、ジャック、デイビッドの四人は――

例の“秘密の小部屋”に集まり、会議を開く。

表向きは幹部会議。

実際のところは、麻雀である。


ジャックとデイビッドにルールを説明し、実践開始。

エリザベートには“接待麻雀”の極意を教えておいたので問題ない。


半荘を五回ほど打ったところで、デイビッドに感想を聞いた。


「普通に面白いですが……どうやって広めたら良いのでしょうか?」


「まずは店員にルールを覚えさせて、広場で実演させる。

 見物人は最初、何をやっているのか分からなくてもいい。

 見ているうちに自然と“役”や“流れ”を覚えていく。


 やりたそうにしている連中が出てきたら、試しに打たせてやる。

 そうして“できる客”を増やしていくんだ。


 ある程度人数が揃ったら――“麻雀ができる場所”を用意する。

 前世では“雀荘”と呼ばれていた」


「雀荘……」


「店員の教育に一週間、広場での実演に一ヶ月。

 見物人にやらせて二ヶ月弱。

 オープンまで三ヶ月ってところだな。


 最初は入場無料でやって、食事や飲み物で利益を出して赤字を抑える。

 半年ほどしたら入場料を取る形にすれば良い。


 三人でやるルールもあるから三人組セットで入場料を取れば単価が上がる。

 一人では遊べない仕組みだから、最初は仲間同士で来るように誘導する。

 店の前に掲示板を置いて、客同士を友達にさせてしまえばいい」


デイビッドは少し考え込み、

「なるほど……三人でも四人でも構わないのですね。

 では、なぜ一人では駄目なのですか?」


「ゲームとはいえ勝負事だからな。揉め事になりやすい。

 どうせ止めても賭け事になる。


 前世でもいたが、麻雀で稼ぐ奴らは必ず出てくる。

 そういう奴が一人で来にくくするための策だ」


「なるほど……」


「セット自体は高額でも構わん。

 “買うより雀荘に行った方が安い”と思わせればいい。

 常連を集めて大会を開くのも手だな」


そこまで話してみたが、どうもデイビッドは乗り気ではない。


「……デイビッド、駄目か?」


「駄目ではありません。

 昨日までの私でしたら、話に乗っていたと思います。

 けれど――調味料の話が大きすぎます。


 労力や人手を雀荘経営に割くぐらいなら、

 調味料販売に力を注ぎたいと思ってしまうのです。


 もちろん、メイズ様のご命令であれば拝命いたします」


「それならそれで良い。

 ただし、商人仲間の間で麻雀を楽しんでくれ。

 そして“欲しい”と言う仲間が出たら、その仲介を頼む」


「それでよろしいのですか?」


「広め方を聞かれたから答えただけだ。

 今話したのは“ボトムアップ”の売り方。下から上に広げていくやり方だ。

 対して、“トップダウン”は上から下へ広げるやり方。


 ボトムアップの方が売上は大きくなりやすいが、利益率は低い。

 トップダウンは売上全体は小さくなるが、利益率が高い。


 貴族や商人の間で流行れば、いずれ一般にも流れる。

 焦って売るほどの商品じゃない。

 リバーシを作ったついでに試しに作っただけだ。

 上手くいかなくても問題ない」


その後、倉庫で量産していた角形リバーシを見せると、

デイビッドはそちらに強く反応した。


「一組、大銅貨五枚(五千円)で頂けるのでしたら、十分商売になります」


「単価は高くないが、手間がかかる。頼んだぞ」


「これも調味料の取引に合わせて計算しておきます」


「ああ、それでいい」


どうせ後で生成するつもりだったので、

ミミックを一匹生成し、在庫を丸ごと飲み込ませた。

……律儀に作り続けていたから凄い量だった。だいぶスッキリした。


【ダンジョン成長報告】(

【モード】健康管理および娯楽試行モード

【新規構想】催眠・睡眠姿勢・献血の統合管理を開始。

      麻雀・リバーシ導入による心理安定実験を併行。

【生産管理】リバーシ在庫処理完了、麻雀セット試作中。


今回は“支配の中にある優しさ”がテーマでした。

メイズは人を使いながらも、効率と健康を同列に扱うタイプです。

うつ伏せ寝の催眠に、健康診断のような献血、

そして麻雀という“娯楽による観察実験”。

合理の名のもとに、今日もまた静かに制度が形になります。


次回はいよいよ“遊びが国を動かす”段階へ。

どうぞお楽しみに。


※感想・ブクマ励みになります!

読んでくれる一人ひとりが、このダンジョンの“魔素”です。

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