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ダンジョンの社会的貢献を目的とした地位向上のすすめ ~奪わず与え従え支配するダンジョン育成記~  作者: 不可思議 那由多
第二章 対外接触と社会実験の始動 ~循環構造の外部展開と制度設計の初期実装~

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【閑話】進化副作用実証報告 ~能力拡張が娯楽行動へ与える影響分析~

エリザベートを進化させて良かった――

心からそう思う日が来るとは思わなかった。


……進化させてからまだ数日だけどな。


理由は単純だ。

前の背丈では、一緒に麻雀ができなかったからだ。


今でも牌を取るたびに少し背伸びしている。

それでも頑張って手を伸ばしているあたりが、なんというか微笑ましい。

前の身長では、まず卓に届かなかっただろう。


――というわけで、ダンジョンに麻雀部屋を作った。


部屋は、これまでで一番防犯に力を入れた場所だ。

入室は魔素認証で個人確認しないとできない。

さらにドアを開けても内部が見えない、完全な隠蔽構造になっている。


ここが世間に知られたら、娯楽に飢えた囚人たちが暴動を起こしかねない。

皆が楽しみを得れば統制が崩れる。

労働意欲の低下、秩序の崩壊、監視負担の増大――。

そのリスクを考えれば、この防犯設計は理に適っている。


俺が今までリバーシや麻雀を作らなかったのも、

娯楽品は商人に売って利益を得るためであり、

鉱山の生活レベルを上げるためではない。


――囚人に娯楽を与えてはならない。


だからこそ、この部屋は限られた者だけの特別な空間であるべきなのだ。

魔素認証、遮蔽構造、完全防音。

どれも合理的な必然であり、

決して“無駄に凝った趣味部屋”などではない。


中央には麻雀卓が一台。

壁の三方には大きな役一覧表を貼ってある。

やり方はともかく、役は覚えきれないからな。


最初の三戦までは皆ぎこちなく、表を見ながらのプレイが続いた。

結果は俺の三連勝。順調だった。


――四戦目。南二局。

エリザベートの親番で空気が変わった。


十二ツモ目、彼女が首をかしげる。


「あれ? これで良いのですか?

 魔術師三代原則ですね。ツモです」


卓の上には――杖、ローブ、ゼロがそれぞれ三枚ずつ。

さらに丸1が三枚、5の三角が二枚。

いわゆる大三元だ。


「エリザベート……それ、四暗刻もついてるな。」


「あ、あぁ……そうですね。上がれて良かったです♪」


親のダブル役満。32000オール。

半荘は一気に傾き、エリザベートの勝ちだ。


「ありがとうございます。麻雀って楽しいですね!」


「……そ、そうだな。喜んでもらえて嬉しいよ」


ミックとジョージは、もはや空気である。


その後の彼女は止まらなかった。


「剣、鎧、盾、兜……頭がローブで“大戦士”ですね。

 絵一色のダブル役満です」

(いわゆる大四喜だ。)

「いやトリプル役満だ、、、エリザベート」


「面前丸一色(清一色)です」

「あっそれポンお願いします。――あ、それロンです。

 1と9ばかりですね。清老頭です」


勢いは朝まで続き、結局エリザベートの一人勝ちとなった。


そして満面の笑みで言った。


「メイズ様、とても楽しかったです。

 またぜひ、やらせてくださいませ」


――進化の成果が、想定外の方向に発揮された夜であった。



知性と集中力の向上が、いつの間にか“人外が麻雀で人間を圧倒する”という副作用を生んでしまいました。

進化とは、時に理不尽である。


※感想・ブクマ励みになります!

読んでくれる一人ひとりが、このダンジョンの“魔素”です。

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