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ダンジョンの社会的貢献を目的とした地位向上のすすめ ~奪わず与え従え支配するダンジョン育成記~  作者: 不可思議 那由多
第二章 対外接触と社会実験の始動 ~循環構造の外部展開と制度設計の初期実装~

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【閑話】呼称理由考察 ~責任帰属と自己満足の心理的分岐~


ある日、ミックがふと尋ねてきた。


「前から気になってたことがあるんですけど……聞いてもいいですか?」


「なんだ? 改まって」


「いや、大したことじゃないんですけど……

 気になり始めたら止まらなくて。

 メイズ様って、モンスターには“さん”付けするじゃないですか?

 蜘蛛さんとか、ウルフさんとか、ミミックさんとか。

 でもエリザベート様とかジャックさんたちは呼び捨てですよね。

 あれって何か理由があるのかな、と思って」


「……なんだ、そんなことか。

 それは“責任”の差だよ。」


「責任の差?」


「ああ。

 エリザベートやジャックに関しては、俺の存在が続く限り共にある。

 だから、その関係には“責任”が存在する。

 そして俺は、その責任に応えていくつもりだ。


 けれど、生成したモンスターに対しては違う。

 生殺与奪権は俺にあるが――責任を取るつもりはない。

 だからせめて、敬称ぐらいはつける。

 “さん”付けは、その贖いみたいなものだ。

 ただの自己満足だがな。」


ミックは少し考え込むように首をかしげた。


「じゃあ……私たちを呼び捨てなのも、“守る責任”があるから、ってことですか?」


「気づいてるだろ?

 俺は“名乗り”を受けた者の名前しか呼ばない。

 それが、責任の有無だ。


 囚人でも、名乗りを受けていない者の名前は呼ばない。

 輸送隊も、冒険者は名乗りを交わしたが、

 御者たちはまだだな。」


「……言われてみれば、確かにそうかもしれません。」


「俺にとって“名乗り合い”は契約と同じだ。

 お互いの人生に、少なくとも一度は関わる。

 そういう意志の確認みたいなもんだ。


 俺の立場が“ダンジョンマスター”だからこそ許される考え方だろう。

 前世の人間のままだったら――

 ただの異物として排除されて終わりだっただろうな。」


ミックは苦笑して肩をすくめた。


「何とも、面倒な枷を自らに課してますね。」


「無理ならやめるさ。

 結局のところ、これもただの自己満足だ。」


――合理の形をしていて、どこまでも個人的な主義。

それが、このダンジョンの支配者らしいところだった。

“呼称”という言葉の裏には、メイズなりの贖罪と覚悟が詰まっている。

それを「自己満足」と言い切る潔さこそ、彼の矛盾であり、人間らしさなのかもしれません。


※感想・ブクマ励みになります!

読んでくれる一人ひとりが、このダンジョンの“魔素”です。

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