表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンの社会的貢献を目的とした地位向上のすすめ ~奪わず与え従え支配するダンジョン育成記~  作者: 不可思議 那由多
第二章 対外接触と社会実験の始動 ~循環構造の外部展開と制度設計の初期実装~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/79

農地生成試験報告 ~循環構造外部における独立土壌形成実験~

エリザベートと二人、レジャーシートの上でのんびりしていると、ミックたちが戻ってきた。


「この短時間でこれだけの空間を生み出すのもすごいですが――

 お二人がこうして寛いでいる姿を見るのは、もっと貴重ですね」

ミックが笑いながらそう言った。


「まぁ、確かにレアな光景だな。

 これからはもう少し、こういう時間を増やしたいものだ」


「いつでもお供させていただきます」

エリザベートが少し照れたように微笑む。


「そうだ。土魔法の担当はジョージだったな?

 農業に使えそうな魔法はあるか?」


「はい、私が土魔法担当です。とりあえず開墾を始めましょうか?

 この広さなら三日もあれば終わります」


「わかった。……ワームを千匹ほど放す予定だ。開墾が終わった区画から撒いていく感じで」


「ワーム、ですか?」


「畑にワームは基本じゃないのか?

 前世の記憶だと、ワームが微生物を分解して土の栄養を作ってくれる――ってのが常識だったはずだ」


ジョージが隣の囚人に尋ねる。

「ゴードン、常識なのか?」


「はい。親から“ワームは無闇に殺すな”と言われていました」


「だよな。

 ――ただ、農場はダンジョン循環が使えない。

 土の栄養=有機物だから、通常状態にすると作物が育たない土壌になる。

 まあ、窒素・リン酸・カリウムを含む化学肥料を作れば何とかなるだろう。

 初年度からうまくいくとは思っていないし、まずは試験だ。

 ……ああ、ミック。水撒きは毎日頼む」


「すみません。私とジョージがこちらで魔力を使うと、通常業務に支障が出るのですが……」


「それなら問題ない。

 囚人が採掘した鉱石は一度俺がすべて回収して魔素に変換する。

 その後、ジョージが精製したものと同等の素材を俺が生成する。

 ――つまり、お前ら二人の労力を農場に回しても支障はない」


「……すでに計算済みでしたか。

 看守としては複雑ですが、ダンジョンの住人としては喜んでやらせていただきます」


「ミック、お前さ。前から思ってたけど、なんでそんなにノリノリなんだ? やたら協力的だよな」


「単純に、普通に看守してるより楽しいからですよ。

 看守の仕事に誇りはありますが、二ヶ月間ずっと囚人たちを睨みつけてるだけだと思って来たら――

 初日から“ダンジョンの洗礼”ですからね。

 粗を探そうにも、どこにも粗がない。

 だったら協力して楽しんだ方がいいじゃないですか。

 ……ねぇ、ジョージ?」


ジョージは極悪な笑顔を浮かべながら、心にもない調子で言った。

「私は看守の仕事がしたいです!」


全員で「めっちゃ嘘じゃん!」とツッコミを入れる。


笑いが落ち着いたところで、俺は言った。

「よし、二人の気持ちはよく分かった。――こき使うからよろしくな」


そして、ミスリル製のクワ五本と人力畝切り二本を生成する。

押して進むだけで地面が均され、左右に土が分かれて自然と畝が立つ構造だ。

刃先から淡い銀青の光が走り、陽光を受けた金属面が波のように輝く。


その人力畝切りの上にエリザベートを乗せ、実際に押して畝を作ってみせると、囚人たちから「おおーっ!」と歓声が上がった。


「こういう道具、ないのか?」


「見たことありません。とても便利ですね!」


「よし、じゃあ開墾が終わるまでに、何を植えるか候補を挙げておけ。

 根菜メインの方がお前ら的に好みだろう?

 葉っぱ食べてるところ見たことないしな。

 芋、豆、にんじん、ネギ……その辺か」


「了解しました!」


「じゃあ、後は任せた」


【農業プロジェクト】試験区画運用開始

【担当班】ジョージ(土魔法)/ミック(水管理)/囚人班B6人

【試験内容】有機土壌生成・根菜栽培試行

【補助生成】ミスリル製農具7点(クワ×5/人力畝切り×2)

【生体導入】ワーム1000体投入

【備考】魔素循環外作物の育成テスト開始。初年度収穫率:未計測

農業編の幕開けです。

今回は“魔素循環外”という未知の領域に挑戦する実験となりました。


ミスリル製の農具は、軽くて腐食せず、魔力伝導にも優れているため、

まさにこの世界における最高素材といえます。

淡い銀青の輝きが、光と生命を象徴するようにも見えました。


なお、エリザベートを畝切りに乗せて実演したのは完全に趣味です。

周囲は真面目に見守っていましたが、俺だけは多分、少し楽しんでいました。


※感想・ブクマ励みになります!

読んでくれる一人ひとりが、このダンジョンの“魔素”です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ