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ダンジョンの社会的貢献を目的とした地位向上のすすめ ~奪わず与え従え支配するダンジョン育成記~  作者: 不可思議 那由多
第二章 対外接触と社会実験の始動 ~循環構造の外部展開と制度設計の初期実装~

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初期催眠実験報告 ~支配モデル導入と抵抗因子の分析~

宿舎来たかったのだが日が暮れていなかったので

ダンジョンに待機していたトーマスに日暮れまで待つように伝令させ

やっと活動開始出来た。


宿舎に着き直ぐに

エリザベートが催眠を開始した。

「とりあえず一度眠らせる所からやります」


一番近くにいた御者のところに歩み寄り、

「あなたは段々眠くなーる。あなたは段々眠くなーる……」


……エリザベートさん、それ、どこで覚えたの?

俺がそんなことを考えている間にも、催眠は続いていく。


ジョンとポールはニコニコしているし、

ミノムシさん達(輸送隊)は怒鳴り散らしたり、恐怖に慄いたりで、

完全に収拾がつかない状況だ。


しばらくして、エリザベートが顔を上げた。

「かかったのは五人だけでした。申し訳ございません」


「全然大丈夫。……先にそいつら移動させるか? 全員かかるまで待つか?」

「先に移動可能状態にします」


そう言って、彼女は深催眠に切り替えた。


催眠にかかった者たちは、目を開けたまま意識のない人形のよう。

ジョンとポールがそいつらをミノムシ状態から解放し、壁際に立てかけていく。


「ジョン! ポール! お前らどうしちまったんだ! お前らも催眠状態なのか!?」

騒ぎ出したのはミックという看守だ。


ジョンは軽く笑う。

「うーん……催眠かかってると言えばかかってるのかもしれませんが、あくまで“自主的な状態”だと思いますよ」

ポールも肯定するように頷いた。


(ミックの年齢的にジョンと同期ぐらい、ポールからは先輩なのだろう。

 だからポールは発言を控えているようだ。)


「先にその五人を連れて行くか」

「良いんですか?」と、俺以外の三人が不安そうに言う。


「お前ら、ちょっと来い。

 ――先に“ダンジョンの洗礼”を受けさせた方がいいだろ。

 全員一緒だとまたゴチャゴチャするしな」

(主に風呂が)と小声で付け加える。


全員、理解したように小さく頷いた。


「ではミノムシ君たちはこのまま放置して、一度ダンジョンに退却する」

「はい」×3


即興芝居だが、劇団ダンジョンの団員三人は慣れたものだ。

俺の意図を汲み取り、支配者と従属者の関係を強調するように動く。


これでダンジョンに行って帰ってくるまでの間に、

残された連中は“支配者の不在”と“不安”に苛まれる。

恐怖が長引くほど、次の催眠は深く効く。


ちなみに、催眠にかかったのは御者三人と冒険者二人。

どちらも前衛職。

さもありなん――筋肉優先型は、だいたい催眠抵抗が低い。


五人を引き連れ、俺たちはダンジョンへ。


囚人たちは今日、作業休止日。全員待機中だ。


催眠を解いた瞬間、彼らは健康ランドセット姿の囚人三十人に囲まれる形で目を覚ました。


「ぎゃあああああああっ!!!」


驚愕と混乱の中、囚人たちはギラギラした目で新人たちを見つめる。

新しい玩具を与えられた子供みたいに。


「こいつらを風呂に連れていけ。ルールはきちんと教えてやれ。散髪はナシな。」

町に戻ったとき、全員坊主では目立ちすぎる。


囚人たちも、あれから散髪も献血もしていない。

献血と散髪は一か月ごと、輸送隊の周期(二か月)に合わせて二回実施する。

前回が一か月半で中途半端だったから、今回からこのサイクルに統一した。


「さて、宿舎戻るか。ジャックも一緒に来てくれ」

「ジョン、さっきのミックはジャックのこと知ってるよな?」

「はい、老人のジャックとは顔見知りです」

「なら効果抜群だろ?」

「そうですね。驚く顔が楽しみです」


宿舎に戻ると、三十分も経っていないのに残された連中はぐったりしていた。


「ジャック、皆に挨拶しろ」

「はい。ミック様、ジョージ様。改めまして――偉大なる吸血姫エリザベート様に眷属として頂きました。齢七十二歳のジャックです」

(もう一人の看守の名前はジョージか。)


「ジャックって、あのジャックか!? 全然年齢違うじゃないか!」

ミックが叫ぶ。


その瞬間を見計らったように、エリザベートが催眠をかける。

まさに完璧なタイミングだ。


ざわめく宿舎の中をエリザベートが一人一人催眠かけて行く。


「あと一人、あの冒険者だけ無理みたいです」

「ジョン、あいつ誰だ?」

「魔法使いのランディですね。主に回復系を得意としているD級冒険者です」

「なるほどな。状態異常に強いタイプか。腕力は無いと」


俺は口調を変えてランディに話しかける。

「ランディとやら。私のダンジョンに一緒に御足労頂けないであろうか。

 大人しく言うことを聞いて頂ければ、何も怖いことはないのだが……。

 嫌というなら、輸送隊が帰るまでそのまま放置ということになってしまうが?」


ランディは顔面蒼白だが、視線にはまだ力がある。

ジャックとポールも声をかけた。

「悪いこと言わねぇ。言うこと聞けって」


「……分かりました」

諦めたように肩の力を抜き、ランディが頷く。


その瞬間、ジョン、ポール、ジャックが素早くミノムシを解体。

新人七人を引き連れ、ダンジョンへと戻った。


ダンジョンに到着すると、二十人ほどの囚人が集まり、

催眠を解かれた新人たちはそのまま風呂へと連行されていく。


――ダンジョンの“洗礼”は、今日も静かに完了した。

異変は、成長の合図でもあります。

スライム事件を通して、支配構造はより強固に、

そしてより有機的に結び直されました。

「混乱の中でも秩序を作る」――

それがメイズ・ラビリンスの真骨頂です。 


※感想・ブクマ励みになります!

読んでくれる一人ひとりが、このダンジョンの“魔素”です。

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