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ダンジョンの社会的貢献を目的とした地位向上のすすめ ~奪わず与え従え支配するダンジョン育成記~  作者: 不可思議 那由多
第1章 対外接触と社会実験の始動 ~循環構造の外部展開と制度設計の初期実装~

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循環資源生成報告 ~排泄物再利用による魔素経済安定化~

それから、1ヶ月が過ぎた。

俺たちのダンジョンは、ゆっくりと――だが確実に“組織”として動き始めていた。

________________________________________

「……おかげで森の地図がだいぶ埋まってきたな」

マップに浮かぶ光点。

それは“蝿さんズ”と“蜘蛛さんズ”の索敵結果だった。

黒い目で森を見張り、木々の間をくぐり抜け、

ときに獲物を見つけて報告してくる。

彼らが見つけた獲物を――“ウルフさんズ”が狩る。

連携はもう完璧だ。

小型偵察 → 狩猟班 → 回収班。

見事に分業が回っていた。

________________________________________

「報告、入ります。オーク2匹、ゴブリン5匹、討伐完了!」

声を上げたのは、トーマス。

今やすっかり現場のリーダー格になっていた。

「おお、優秀だな。平均で……オークが5000P、ゴブリンが1000P。

 合計で15,000Pってとこか。」

「猪と兎はどうします?」

「食材で良いぞ。骨とか食べない部分だけダンジョンに吸収させてくれ。」

「了解。料理班に回しておきます。」

……ただ、唯一の問題がある。

こいつら、肉ばっかり持ってくる。

森の幸(野草・果実・きのこ類)には一切興味なし。

完全に“狩りに全振り”してやがる。

まぁ俺としては、魔素さえ入ればいい。

だからあえてスルー――いや、“経営判断として放置”してるだけだ。

________________________________________

料理班――元々囚人として宿舎の炊事を担当していた二人の料理人。

今では「ダンジョン食堂」の正式職員だ。

「料理は……出来立てのほうが魔素濃度も高いのですね」

エリザベートが淡々と分析する。

「そうそう。だから“調理済み有機物”でも多少はポイント化できる。

 味も良くなって、囚人たちのモチベも上がるし――

 つまり、美味しい=効率的ってことだ。」

「……その理屈、間違っていませんけど、間違ってる気がします。」

「そういうもんだよ、経営って。」

________________________________________

「……これが、搾取の最適化というやつですか」

エリザベートが静かに言う。

その声にはかすかに、感情――困惑と、諦めが混じっていた。

「いや、“共存”だよ。

 生かすことで儲かる。

 殺さないで利益を出す。

 これ、平和的だろ?」

「搾取っていうけど俺は先に色々与えてるぞ?

衣食住のレベルは前とは雲泥の差だ

だから皆率先して協力してくれている。

搾取だと思ってるのはエリザーベートぐらいじゃないか?」

「確かにそうですね」

________________________________________

森の空は曇りがちだった。

それでも、ダンジョンの灯は強く輝き続ける。

血と汗と糞と涙が、魔素に変わる。

それが、この世界の経済の形。

“搾取”という言葉を使うのは簡単だ。

でも俺にとっては、それはただの“管理”だ。

生かして、働かせて、循環させる。

世界のルールに従っているだけ――それだけのこと。

________________________________________

そして、静かな笑みを浮かべながら、

俺はダンジョンコアを軽く撫でた。

「ようやく、“生活”が始まったな。」

コアが淡く光を返す。

それは、まるで“肯定”のように見えた。



【期間】稼働開始から1か月経過

【モード】等価交換モデル(安定稼働)

【主活動】採取・討伐・調理・回収の完全分業化

【収支】月間魔素収益:+18万前後(血・汗・糞・髪・滞在含む)

【眷属構成】蝿さんズ/蜘蛛さんズ/ウルフさんズ(連携型運用)

【人間班】採掘班/料理班/採取班/搬送班(全32名・定着率98%)

【効果】魔素循環効率+15%/快適度+30%/秩序安定指数+25%

【ボス】吸血姫エリザベート(理解不能度15%→理解度25%/共存意識発芽)

【備考】生活型ダンジョン、第1期運営完了。

血・汗・糞・髪・涙のすべてが魔素へと還る、“完全循環社会”確立。


この章で、ついに「生存=生産=信仰」というダンジョンの循環が完成しました。

血や汗、糞までもが資源に変わる――それは、“生きていること”そのものが価値になる世界。


エリザベートはまだそれを“搾取”と呼ぶけれど、

主人公にとってはそれが「理」であり「秩序」。

このズレこそが、二人の関係を人間的に見せてくれる最高の対比です。



※感想・ブクマ励みになります!

読んでくれる一人ひとりが、このダンジョンの“魔素”です。

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