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邪教聖女

邪教聖女と虐げられ令嬢~王宮に精霊王が現れたくだり

作者: 山田 勝

 ☆☆☆王宮


 王宮は怪異にみまわれていた。謁見の間に、白い貫頭衣、金髪、碧眼の美丈夫の青年が天上近くまで、宙に浮き。

 皆を睥睨していた。



「フフフフフ、我は、精霊王!この国は精霊の愛し子をないがしろにした。我がこの国を去れば、災難が起こり。作物が育たなくなる!」



 ザワザワザワ~


 王を初め。廷臣や、居並ぶ王族、貴族たちは、口々に、



「うっせー!出てくるな!ややこしいことになる」

「そうだ。我国には、邪教聖女がいるのだ。知らないのか?」

「もう、どうにでもなれ」


 と叫ぶ。



 そう、この国には、邪教の聖女がいたのだ。特に、何か役に立つことはないが、前世持ちだから、男爵令嬢として、王宮に出入りが許されていた。


「な、何だと、人間ぶぜいが、何を言う!」


 精霊王は思わぬ反応にたじろぐが、



「ちょっと、精霊の愛し子って誰よ!分からないわ。大事にして欲しかったら、『精霊の愛し子』と額に書いておきなさいよね!」



 ピンク頭、ピンクのヒラヒラのドレスを着た男爵令嬢が現れた。

 手にはリュートを持つ。


 ベベン♩



「術式!人払いだからねっ!邪神は、人がいないと、存在を示せないからね!」




「分かった。出て行こう・・・」

「そうだ。確かに、女神様は、人族がいなくても、実在されている」

「そうよ。力があったら、さっさと愛し子を保護するはずだわ」



 ゾロゾロと、貴族たちは去った。



「ま、待て、話を聞け!我は精霊王だ!我の加護が欲しくはないのか?」



 ベベン♩ベン♩ベベン♩



 こりゃ、女神様が天津神とすれば、こいつは国津神、忘れられた神だね。


 そして、自力で助ける力はない。

 そこを責めるか。



 ベベン♩


「あたしゃは、ぜんせありの男爵令嬢!前世は、邪教徒だったのさ」


「何?!



 ベベン♩ベベン♩

「あ~聞かせてあげよう。前世の縁!カルト!東京大戦果報告会!



 南無妙法蓮華経! 南無妙法蓮華経! 南無妙法蓮華経! 南無妙法蓮華経! 南無妙法蓮華経! 南無妙法蓮華経! 南無妙法蓮華経! 南無妙法蓮華経!・・・・・



 ピカッ!


 辺りは光に包まれた・・・

 そして、ある光景が精霊王の頭の中に浮かび上がって来た。




 ☆12世紀日本、鎌倉由比ヶ浜



 一説では、鎌倉武士は蛮族とも言われているが、その鎌倉武士からしても、『お前、何をいっているのだ?』と島流しになったイカレタ坊主がいた。



 ザパ~ン!


『ええい。何故、法華の行者たる我を助けぬ!諸天善神よ!我を助けよ!』


『お前、何を言っている。さっさと歩け』


 この坊主、処刑される前に、諸天善神に助けを命じている。

 至って、本気である。


 アニメや小説で、神や悪魔があふれている現代の方が、迷信深いと言った人がいた。


 一方、昔は、現代の科学のように、宗教を、説明の道具として考えている傾向があった。

 その中の一人が、この坊主だ。


 この坊主、日本の神道の神を操り。現世に影響を与えることが出来ると信じていた。


 その坊主の名は・・・・ベベン♩べべベン♩


 何故だ。このハゲ頭、禍々しさに満ちている。非難してばっかりじゃないか?サリアは、真心があった。

 この男、虚栄心に満ちている。傲慢だ。しかも、自業自得じゃないか?



 ・・・・・




 ベベン♩


「お前は、何故、精霊の愛し子を助けないのさ!」


 ベベン♩


「我は、精霊・・・」


「言ってみな。お前が助けたい子を・・」



「サリア、ルド家のサリア・・・」



 ベベン♩


「願いは叶えてあげよう。だから、お前は光となれ!奥義!法華ビーム!」


 ピカッ!



 精霊王と名乗るナニカは光となって消えた。



「・・・陛下、聞こえているのでしょう!奥義、王様諫暁!だからね」



「ああ、分かった。ルド家のサリアだな。調べよう」




 ・・・・・・



 ☆☆☆ルド子爵家



「サリア!お前は、畑の番をしな!」

「私たちは、夜会に行くのだから、帰って荒らされていたら、お仕置きよ」


「はい、お義母様、お義姉様」



 一人の少女が、夜中、害獣が来ないように、見張りを命じられていた。


「グスン、グスン、精霊様、お堂を掃除しますね。だから、ここにいさせて下さい。夜露は冷えます。いつも、有難うございます。・・・・あら、人が沢山来たわ」


「貴殿が、ルド子爵令嬢サリアか?」


「はい・・・」


「王命である。後見人をつける。王宮までこられたし」

「サリア殿、ドレスを仕立てる」


「ヒィ、そんな。お義母様とお義姉様に、叱られます」


「・・・大丈夫だ。陛下が、義母と義姉を叱る処置になる。貴公は何歳だ?」


「7歳です」



 邪教聖女の言うとおり。一人の少女が、総領娘なのに、虐待をされていた。

 父親が亡くなった途端に、義母と連れ子の義姉は、豹変したことが分かった。



「王命である。監護をする立場でありながら、子爵家の資産を使い贅沢三昧、よって、バリーとジュリアは、貴族籍を抜き。王国が指定する労務所で働き、流用した資産を賠償せよ!」



「ヒィ、そんな」

「何故?7歳なら、告発しないように、言い聞かせていたのに・・・それに、田舎の子爵家に陛下が・・・」


「そのような心根だから、処罰されるのだ!知っていたら、陛下は介入するぞ!」



 義母と義姉は、処罰された。


 ベベン♩


「因果だね。お堂は・・・害獣として殺したアナグマを祀るお堂じゃないか?」


 ベベン♩


「南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経!」




 東京戦果報告会、信者数公称3000万人、

 実数は、数十万人から200万人の間と推測されている。


 人口比率から、異世界に、転生する者がいてもおかしくはない。






この話に出てくる団体は架空の団体です。現実の団体とは全く関係ありません。

最後までお読み頂き有難うございました。

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