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Creation World  作者: 蓮華
第一章 プロローグ
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プロローグ 1

「ただいま~」


疲れ果てた身体を引きずりながら、俺は夜勤明けに家に戻ってきた。

ドアを開けると、サポートAIであるナビーが優しく迎えてくれた。


「おかえりなさい、マスター。Creation Worldのバージョンアップが届いています。」


ナビーは俺がCreation Worldを購入した時に付いてきたサポートナビゲーションAIだ。

正直、ナビーがいなかったら俺はCreation Worldを放り投げていただろう。

要はそれほどまでに、Creation Worldという世界構築AI育成プログラムは複雑だったのだ。

当初はゲームとして発売されるもあまりの複雑さに自主回収させられ、簡略化されるほど一般向けではなかったのだ。

とはいえ、簡略化されても膨大な情報量に根を上げるものが続出した。

簡単に言うと、サンドボックス型に形成されたのだが、世界やキャラクター等のデザインを自分でしなければならず、既存のデータがあるもののあまりデザイン性がよくなかった。

そこは好みの問題なのだろうが、俺は気に入らなかったので一から構築とデザインをはじめたのだ。

ただ、これが問題だった…

そう、沼なのだ。

デザイン関係やプログラム系を触った事がある人なら分かると思うが、選り良いものを作ろうとするとズブズブトはまっていくのだ。

そこで登場するのがナビーことサポートナビゲーションAIだ。

AIに調整やデザイン等をさせる事が可能なのだが、一つ問題があった。

そう、まっさらのAIだったのだ。

Creation Worldの構築より先にAIを育成しなければならなかったのだ。

そのために、俺は数多くの電子書籍を購入し、日々それらを学びながらナビーを育てていった。ゲームプログラミングの基礎から応用まで、デザイン・ファッション性、人間の動作やモーション等。それらをナビーに教え込むことは容易ではなかったが、俺はCreation Worldに自分の理想の世界を作り上げるために、決して諦めることはなかった。

そうして5年かけて造りあげたのが「ミソロジー」という世界だ。

ま~まんま神話の神様や悪魔・英雄等をふんだんに詰め込んだ世界だ。

正直、俺の趣味が詰めに詰め込まれている。

長々と説明したが、要はそのCreation Worldのバージョンアップが届いたのだ。


ナビーは軽い挨拶をしながら、新しいバージョンUPの通知を伝えてきた。


「今回のアップデートでは、新機能として『ストリーモード』が追加されました。これにより、冒険の進行を自分の行動で左右でき、複数のエンディングを迎えることが可能になります。ランダム生成や一から構築することもできますが、ストリーモードでは物語に深みが加わります。」


俺は料理の準備をしながら興味津々で聞き入る。


「具体的にどんなストーリーがあるんだ?」


ナビーは項目指差しながら説明を始めた。

ちなみにだが、ナビーは丸い球体に目と手が付いた簡略化されたデザインのホログラムだ。


「例えば、最初は何もないところから始まり、成り上がりたいなら商人や冒険者の道を進むことができます。王道の成り上がり系ですね。また、自分の国家を築く覇王伝もあります。他にも、全てを破壊する魔王伝や、冒険者として世界を旅する冒険譚など、さまざまなストリーが用意されています。」


俺は興奮を抑えきれず、料理の手を止めてしまった。


「へぇ~それはすごいな。自分の選択次第で、どんなエンディングに辿り着くのか分からないマルチエンディングか。」


ナビーはうなずきながら続けた。


「そうです。また、ストーリーの中で出会う仲間や敵、発生するイベントも全てが、あなたの行動によって変わります。新しい世界で冒険者としての人生を楽しんでください、マスター。」


「へ~すごいな。全部やってみたいが…オンライン管理だからリセットが効かないんだろうな…」


俺は料理を作る手を止めてしばし考え込んでいた。


「マスター…焦げてます」


今日のご飯は焦げた肉入り野菜炒めだった。





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