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異世界キャンプ ~チートはなくても美味しいものがあれば充分です~  作者: 綾川 鈴鹿
《カプト地方、砂漠編》二章、カルラ・オアシス
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13話、ロック鳥(1)

 カルラ・オアシスに滞在して既に何日がたっただろう。

 馬車の中、ラーナの鞄で泥のように寝ていたリリは目を覚ます。


「っ! 寒っ! ラーナー寒いー、マントの中入ってもいいー?」


 あまりの寒さで、ラーナに呼びかけるリリだったが、全く返事が返ってこない。

 ふぁあーっとあくびをし身体を伸ばすと、体を撫でる風がとても冷たい。


「……っあれ! っえ! ラーナーどこにいるのー? そとー? イヴァもどこにいるのー?」


 さらに呼びかけるが一行に返事はなかった。

 鞄の中で目を擦ると、リリはかすかな違和感を感じる、ラーナはトレーニングのために早起きだ、返事がないことは珍しい。

 それなのに、今は馬車を包む布が、バタバタと音を立て続けるだけだった。


「なんで誰も返事しないの? しかもすっごく寒いんですけど」


 夜ならまだしも寒いのもおかしい、ここは砂漠なのだから。

 飛び込んでくる光は、むしろ明るいぐらいだ。


(わたし昨日の夜に何かしてたっけ? もしかしてソフィアのいたずらとか?)


「もしそうだとしたら、今度こそマジで許さん!」


 リリはそんなことを口に出しつつも、昨日の夜の記憶を思い返した。



* * *



 リリはフラフラと馬車に向かう。


「今日は本当に疲れたわー、眠いから先に寝るわ、あとはよろしく〜」


 街についてからというもの、気苦労が絶えない。

 ラーナにしろイヴァにしろ、人付き合いが出来るタイプではない。

 もちろん得手不得手はあるので、不満があるとかそういう訳ではないのだが、リリは毎日のぶりっ子対応に少々疲れていた。


「おやすみ〜、ボクはもう少しだけ食べてからにするね」


 返事をしたラーナはリリを見ると立ち上がる。

 危なっかしくフラフラと、上下左右に揺れながら飛ぶのを見て、不安に思ったのだろう。

 駆け寄り自分の手に乗せると


「大丈夫?」


 そう言うと、馬車の中まで連れていった。


「ありがとう」

「いーよ、ついでだしね」

「そう……」


 ラーナは馬車からサンドワームの干物を取り出した。


「っお! ラーナ、サンドワーム炙るのかや? 妾も食べるのじゃ」

「ん、わかった」


 焚き火にあたって石に座るイヴァは、ラーナに顔だけ向けて呼び掛けた。


(イヴァって、最初は野菜しか食べないって言ってたわよね? まぁいまはいっか)


 イヴァにツッコむ気持ちより、眠気が勝ったリリ。

 そのまま馬車の隅においてあるラーナの鞄に入り横になる。

 するとあっという間に瞼が重くなり視界がスーッと暗くなっていったのだった。



* * *



「……うん、間違いなく馬車で寝たわ」


 眠たそうな目をゴシゴシと擦り、虚ろな頭を覚まそう軽く頬を両手で叩く。

 そして鞄から顔だけだしたリリは、周りにサンドワームの干物が敷き詰められているのを見て確信した。


(この馬車はソフィアが用意したやつで間違いないわね、この鞄もラーナのだし)


「じゃあ二人共、街に行ったとか? ……は流石にないか」


 リリは若干焦りながら荷台の後ろにある布の隙間から外を見る。

 すると、信じられない光景が広がっていた。


 巨大な岩の数々、ものすごいスピードで流れる真っ白な雲海、地平線からは白く輝く朝日が指している。

 光を浴びた巨大な岩は影を作り、照らされた雲はキラキラと輝いていて、その全てが幻想的なコントラストを醸し出していた。

 まるで物語にでてくる、桃源郷のようだと感じる程の光景。


「ふわぁぁー、きれ〜」


 あまりに神秘的な光景に半分寝ていたリリの頭は一気に覚醒したが、それでもリリの口からは、感嘆の声しか出なかった。


(これはどんな言葉でも表せないわ、こんなにすごいもの始めてみた)


 だがこの世界は、感動の余韻に浸るリリを、無理矢理にでも現実に引き戻す。


 クェー! クエッ! クェー!


「うわっ! ビックリしたぁ、これは鳥の声?」


 目を向けたリリの前には鳥が一羽


「急に鳴かないでよビックリするじゃない、って、え? でかくない?」


 恐らくラクダよりも一回りは大きく、怪鳥とも呼べるような鳥だ。

 その横には熊でも入ってるのかと、そう思わせるような大きなサイズの卵もある。


(っえ? じゃあここって鳥の巣? しかも卵があるってことはあの大きさで雛なの?)


 あまりの大きさに、異世界にいる感動よりも恐怖を覚えたリリは、すぐさま馬車の隅に身を隠し息を殺した。


(どうなってるのー!?)


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