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異世界キャンプ ~チートはなくても美味しいものがあれば充分です~  作者: 綾川 鈴鹿
《カプト地方、砂漠編》二章、カルラ・オアシス
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12話、ストーンフラワー(2)

「ここだねっ!」


 カルラ・オアシスの街並みがまだ遠目に見える程の距離で腰に手を当てラーナが仁王立ちする。

 そこかしこに大きな岩石が転がっている街道、馬車が通れるように岩を退けただけの舗装もないずさんな街道。

 後ろにはジョッキを片手に酒を飲む二人とリリがラーナを見ていた。


(なんでソフィアエール飲みっぱなしなの?)


「ソフィアはなんでついてきたの? ギルドで飲んでればよかったじゃない」

「えぇー、だってさぁイヴァを連れて行かれたら、一人で飲まなきゃいけないじゃんかぁ、この何とも言えない寂しさが、リリちゃんならわかるだろー?」


 ソフィアはリリをツンツンと突きながら言う。


「んもぅ! 一応、討伐クエストなの! イヴァはともかくソフィアは邪魔にしかならないでしょ?」

「リリよ、妾は戦えんぞ?」


(そうなんだけどぉー、そうじゃないのよぉ)


「荷物持ちがいないと、ラーナが可哀想じゃない!」


 リリはいくらラーナが自分で言い出したこととはいえ、戦わせた挙げ句に、モンスターを抱えて戻るのは悪い気がしたのだ。

 その言葉を聞いて、クスクスと笑いながらソフィアが言い返す。


「ハハッ、それを言うなら、一番何もできないのはリリちゃんじゃないかいっ?」


 ソフィアに苛立ちを覚えつつも、事実なので言い返せないリリだったが、ラーナが代わりに言い返した。


「大丈夫! リリは倒したあとに仕事があるから!」


 その言葉を聞いて、リリはすべてを察した。


(っあ、ラーナはここで食べる気だわ)


 鼻息荒く答えるラーナ、リリは不安になりソフィアに耳打ちをする。


「ストーンフラワーって食べられるの? 石は流石に無理だと思うんだけど……」

「私の知る限りじゃぁ、食べて無事だったって人はいないね」

「食べた人はいるの?」

「いるよ? 全員! 例外なく! 腹を下したらしいけどねっ!」


 急にラーナが、内緒話をする二人の前に立った。


(バレちゃった? 怒ってる?)


「あっあのラーナ……ごめんなさ」


シュパッ! ドゴッ! ドゴッ!


 ラーナが右手を上げるのと同時に、三人の後ろの壁に二つ硬い何かがぶつかった。

 三人は後ろをチラリと見て青ざめる、後ろの岩が抉れていたのだ。


「こっこれは、なに!? 魔法?」

「リリ違う狙撃だよ、ホラあそこ」


(狙撃? この世界で? 結構な重量感よ?)


 ラーナの指差した先を見ると、谷の上に大きな花の蕾が生えている。

 その蕾の先はこちらを向いているようにリリには見えた。


「もしかして、あれがストーンフラワー?」


 リリがそう口に出した瞬間に、蕾がポロッと地面に落ちた。


「っえ!?」

「あ~あ、こんなもんかぁ、残念」


(な、なにが?)


「アンの話だとまだ居るらしいから、とりあえず隠れといてー」

「どういうこと? なんで蕾が落ちたの?」

「これこれー」


 ラーナは、ナイフをヒラヒラと振って見せる。


(ラーナの投げナイフすごっ! わたし、投げたとこすら見えなかったわー)


 ラーナの残念そうな表情を見て、リリは安堵した。

 今回も余裕で討伐が出来そうだからだ、残るは邪魔をしないようにするだけだ。


「はーい、無茶しないでねー」


 三人は岩陰に隠れる。

 ソフィアとイヴァも安心したのか、邪魔にならない位置で酒盛りの続きを始めた。


(この二人、自由すぎない? やれることないから、しょうがないんだけどさぁ)


 リリは諦めながらも改めてラーナを見る。

 するとラーナは遊んでいるのかヒラヒラと玉を避けていた、反撃する素振りはなくその姿は踊っているようにも見える。


「大丈夫ー?」

「ボク、最近トレーニング不足だったから丁度いいよー!」


 サラッと答えたラーナは、リリの方を向いて右手の親指を立てた、それでも当たる気配すらない。


(どこまで見えてるの? 後ろに目でもあるの?)


「っあ! そうだ、これ食べれるー?」


 ラーナは打ち込まれた砲弾のような球を宙で軽く捕まえこっちへと投げた。


コロコロ、コロコロ


「これは、ストーンフラワーの弾? 種? どの部位かはわかんないから種でいっか、どれどれ?」


(こっこれは!!)


 リリの中で衝撃が走る!!


「ラーナこれ多分食べられる!! たくさん欲しい!! 潰れないように集めて、おねがーい!!」

「オッケー任せて」


 ラーナは立ち止まると四方八方から打ち込まれる種を、キャッチしてはリリに投げる。


(物凄いスピードね、でもこれで……)


「イヴァ、これ全部を収納魔法で仕舞って!」

「妾かや~、ヒック! これを仕舞っとけば良いんじゃな? お安いもんじゃ〜、ヒック!」


(完全に出来上がってやがる、わたしも吞みたーい)


 ラーナの働きを見届けるため、そして新しい食材の料理のために、リリはグッと我慢をする。

 そんなリリを誘惑するかのように、お酒の匂いを漂わせたソフィアが話しかけてくる。


「これ、本当に食べるのかいっ? お腹壊すっていったじゃあないか」

「わかってるわ、ちゃんと調理しないと毒なのもね」

「ん? リリちゃんには出来るってことかいっ?」

「問題ないわ……多分」

「なるほどねぇ」

「それよりもストーンフラワーの討伐で気をつける事とか知ってる?」

「ストーンフラワーは種を相手に植え付けて繁殖するんだよ、本当に植物は効率的だねっ、獲物を倒しつつ子孫を増やすなんて、素晴らしいじゃないかっ!」


(素晴らしくないわよ、ホラーじゃない!)


「じゃあ……全部焼くの?」

「その種は赤い種らしいからそこまでしなくてもいいかな?」

「蕾を落としたあとはまた生えてくるの?」

「それは聞いたことがないなぁ、とりあえずは燃やしとくのがいいんじゃないかいっ?」

「わかったわ! ラーナ聞いてたー?」

「うん、赤いのは集めて燃やすんだよね?」


(さすがラーナ、これなら問題なさそうかな)

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