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異世界キャンプ ~チートはなくても美味しいものがあれば充分です~  作者: 綾川 鈴鹿
《カプト地方、砂漠編》一章、死の荒原
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SS、調査報告 “ドラコルーメン遺跡”

前回までのあらすじ!


「ギルドのクエストで移籍調査に来た、わたしとラーナ」

「スフィンクスにミミック、危険がいっぱいだわ」

「魔法の言葉、助けてラーナ!」

「この一言で全て解決した、わたし達はミミックを食べてお腹いっぱい」

「残るはギルドの報告のみ!」


「さぁ今から本編が始まるわ! 『異世界キャンプ』楽しんでみてください」

SS、ドラコルーメン遺跡、調査報告書


「そういえばラーナ?」

「なに?」

「報告書、書いたことってあるの?」

「ないよ? 今回が初めて!」


 ラーナは頭も切れるし現実的な考え方の出来る、それはリリも知ってはいるのだが少しだけ嫌な予感がした。


(さすがに、ねぇ)


「見せてもらっても?」

「ん? いいよ、はいこれ」


 討伐クエストは何度か受けている二人、いつもなら素材を回収して終わりなので、何事もなく終わっている。

 だが今回は初めての調査クエスト、だからこそ報告書の内容も報酬に含まれる。


「えぇーっと、一枚目はアンケートで、二枚目は地図? 多分、書き込めって事よね? 三枚目は白紙、メモとか予定外の事とかを書き込む用かしら?」


 リリは字が読めない、転移したので異世界の文字など読める訳がないのだ。

 しかし、流石は荒くれ者の多いと噂される《カルラ・オアシス》の冒険者ギルド。

 学のないもののためにも、書きやすく報告漏れのない様にと、計算された作りになっている。


「んー……」

「どうしたの?」


(丁寧な作りなんだけど。でも、これは……)


「ラーナ? 設問1は、なんて書いてある?」

「驚異はありましたか? って」

「答えは?」

「特になし!」


 自信満々に答えるラーナ。


「設問2は、なんて?」

「報告する事はありますか? って」

「答えは?」

「ジュエリーミミックは美味しかったです!」


(確かに美味しかったけど……)


 リリの不安通りの答えがラーナから元気よく返ってくる。


「1の問題なしって、スフィンクスは?」

「あー、あのロックゴーレム?」

「そう!」

「問題なかったよ?」

「ラーナにとってはね!」

「いけないの?」


 ラーナは本当に分かっていないらしい、キョトンとした表情でリリを見ている。


「因みにだけど、なんでこんなに書き込みが少ないの?」


 報告書は殆どが白紙、三枚目のメモ欄はもちろんのこと、一枚目も短い文言のみ、二枚目に至っては大きく遺跡を丸で囲むと「危険なし」と一言だけだった。


「報告する様なこと、あったっけ?」


(あちゃー、やっぱりわかってなかった……)


「ねぇラーナ?」

「ん? なぁに?」

「報告書って誰のために書くのか知ってる?」

「……? ギルドに出すためでしょ?」


 宙に浮くリリと、地面に置かれた報告書を覗き込むラーナ。

 体制的に自然とラーナが上目遣いになる、不安もあってか普段とは違う可愛らしい表情をしていた。

 見つめられるリリの心はドキドキとざわついた、なので内心、ドギマギとしながら答えた。


「ち、違わないわ、ただ最終的には市民のためでもあるの」

「どゆこと?」


 首を傾げるラーナにリリはゆっくり教える。


「次にこの遺跡に来るのはわたし達じゃないでしょ?」

「うん」


 こう見えても、元々はバリバリに働いていたキャリアウーマンのリリである。

 社会人の基本、報連相ぐらいは押さえている。


「次は、新たにクエストを受ける冒険者の可能性もあるし、たまたま通った行商人とか村人とかかもしれないでしょ?」

「確かに……そうかも」


 察しの良いラーナはこの時点で気づいた、なので少し声のトーンが下がる。


「流石に基準がラーナじゃ、厳しいと思うの」

「……ならリリを基準にすればいい?」

「わたしも冒険者ですけど!」

「戦闘力じゃ一般人以じゃん!」


 少し怒るリリに対して、ラーナはからかうように答えた。


「しょうがないわね、じゃあ基準はわたしでもいいわ」

「書き直すの?」

「もちろん! 報酬減っちゃうじゃない」

「わかった、細かく書けばいいの?」

「あと、正確にね!」

「おっけー、わかった!」


 元気に返事をしたラーナ、書いてある文言に二重線を引くと、書き加える。


「スフィンクスはリリが起動させました、行動範囲は分かったので放置しています」

「そ、それはダメ!!」

「正確に書いたよ? っあ、そっか。ミミックに食べられたリリの事も書かないとね」

「ラ〜ナ〜!!」


 からかわれているのは分かっているので、リリは縋る様にラーナの腕を掴んだ。


「ごめんごめん、じゃあなんて書いたらいい?」

「そうねぇ……強さはどれぐらいだったの?」

「んー、まぁまぁかな?」


(ラーナのまぁまぁは、当てにならないわよ!)


 実際リリは、ラーナがモンスターに対して強いと言った所を聞いたことがない。


「ごめん、わたしの聞き方が悪かったわ、ジャイアントスコーピオンと比べたら?」

「強いかなぁ?」

「サンドワームと比べると?」

「明らかに弱かったね」

「わかったわ、あとは……スフィン、ゴーレムはどの辺まで追ってきたの?」

「ここ!」


 ラーナが迷いなく地図を指差すのを見て「よく覚えているな」とリリは素直に感心した。


「ってことは、ここはこうして……」

「ふむふむ、こんな感じ?」


 報告書と向き合う二人姿はちゃんと冒険者のパーティーに見えるだろう、歴は短いが信頼関係がそこにはあった


* * *


【報告書】[三枚目]一部抜粋


『外回りの周回上には特に異常なし』



『遺跡内を探索中、別紙マップ上の☓地点にて獣型ロックゴーレムの起動を発見』


・強度確認の為に軽い戦闘を実施

<ラーナにより敵右前足の破損を確認>

<危険物を守っている可能性、また別の起動スイッチの可能性を考慮し、撤退を選択 >


・ゴーレムの活動範囲

<B5近辺までであったために円形状に範囲を推測されたし>

【戦闘力、Bランク相当】


『A2の階段跡の影にてミミックと遭遇』

<これを撃破>



『以後A地点を探索、目立つ障害やモンスター、トラップの類は見つからず』




「リリ、ミミック美味しかったねぇ」

「今度は身も美味しく作ってみせるわ!」

「やったね! 楽しみにしとくー」

「ラーナ、それよりも予告よ!」

「あぁそっか、次の話はボク達の出会いだね」

「懐かしいわー、あの時は……おっとネタバレはだめね」


「「次回『出会い』」」

「異世界って理不尽だわー」



次回の更新は月曜日です。

月曜から一週間3話投稿する予定です。

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