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異世界キャンプ ~チートはなくても美味しいものがあれば充分です~  作者: 綾川 鈴鹿
《カプト地方、砂漠編》一章、死の荒原
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6話、デザートフィッシュ(5)“料理パート1”

「ヤッホー、リリよー! 今回の一口メモ!」


「今回の名言は古代ギリシャの哲学者、ソクラテス」



“生きるために食べるべきで、食べるために生きてはならぬ。”



「含蓄ある言葉ね!」


(なに言ってるの? 理解できないんですけど!)


「えーっと、ネットによると……」

「食欲は止められないものかもしれないけれども、その欲に溺れてはいけないということ」

「あーなるほどね! 断言する! わたしには無理!」



「ここから本編でーす!」

【料理レシピ】『デザートフィッシュ』


[デザートフィッシュの下処理]


①頭を外し、鱗を剥がす。


「頭と鱗は捨てちゃいましょ」

「どうやって?」

「頭はエラごと落として、鱗は逆らう様にナイフで剝がしちゃって」

「なるほどね、こんな感じ?」


 ラーナはリリの持っていたナイフを持ち上げると、すっと頭を落とし、鱗も剥ぎ取る


(わぁお、わたしとは大違いね)


「リリ、これはそのまま捨てちゃうの?」

「流石に捨てるしかないわねー」

「そっかー、残念」


 美味しく無いと言ってはいたが、味は関係なくお腹は空いているらしい。

 ラーナが「残念」と言ってデザートフィッシュの頭を見つめる目は、悲しげであった。


(食べたかったのね……)


 しかし、流石にリリにはモンスターの頭を食べる勇気は、まだ出来ていないのだ。



②骨、内臓を取り除き水で綺麗に洗う


「内臓と頭と骨は捨てていいわ、今回は使えそうにないから」

「三枚に卸せばいいの?」

「えぇ、それでいいわ」

「オッケー」


ラーナが、っあ! っと声を上げたのに反応してリリが聞く。


「どうしたの?」

「っえ? デザートフィッシュは魚じゃなくて、蛇だったんだって思って」

「そうなの?」

「骨の形は蛇だよ? ほらっ」


 ラーナはデザートフィッシュを捌きながら指をさす。

 リリがお腹を覗き込むと、そこには中骨ではなく立派な肋骨がズラリと並んでいた。


「ほんとじゃない!」


(やっぱりツチノコだったわ! それより……)


「ラーナー? その手に持っている内臓は、捨てるからね」

「食べられる匂いがするし、もったいないじゃん!」


(また匂い、信用できるのかもしれないけど)


「わたしにモンスターの内臓を食べる勇気はない!」

「ボクが食べるからー、ねぇお願いー」


 可愛くねだるラーナと、頑なにNOを突き付けるリリ、言い争いは数分にも及ぶ。


「ダメったらダメー! お腹壊しちゃうわ!」

「えー、本当に……ダメ?」

「どんなに可愛く言ってもダメ!」

「わかった……ざんねーん」


 ついにラーナは諦めたのか「じゃあね」と言うと、そのまま深めに掘った地面に埋めた。



”デザートフィッシュの一夜干し“


「下処理も終わったし本格的に作ろっか!」

「やっとだね! 今日は何作るの?」

「干物よっ!」


 Ⅴサインを出し、リリは答える。


「えーー時間かかるじゃん、やめようよー」

「そうは言っても、保存食は重要よ」

「でもさぁー」


 ラーナは納得していないが、リリにはこの反応は予想通り。


「もう一個作るから、今日はそっちよ!」

「んー、ならまぁ……いっか」


 ラーナは納得した、リリの計画通りである。



①開いたデザートフィッシュを串に刺し、塩を強めに振る


「串はこの投げ針でいい? 毒はきれいに拭いてあるから」


 ラーナは、マントから千本のような太く長い針を何本も取り出し聞く。


「ラーナを信じるからね、わたし毒で死ぬのは嫌よ?」

「大丈夫だってー、死にはしないよ」


 ラーナが小さく

「この毒は、せいぜい一日動けなくなるぐらいだし」

 そう呟いた声は、リリの耳までは届いていなかった。


「……わかったわ、じゃあ串をさして塩を塗り込んで貰っていい?」

「まかせてー、まずは岩塩砕かなきゃね」


 慣れた手付きで岩塩を削ると、ラーナは鼻歌交じりで細かくなった塩を塗りこむ。



②デザートフィッシュを焚き火の煙の熱が当たるほどの距離で放置する


「これ、どうやって干せばいいの?」


 ラーナがリリに聞く、風通りは良いが砂漠だと立てかける場所がないからだ。


「焚き火に当てながら、焼干しにしよっか」

「焼き干しって?」


(こっちの世界には無かったかー、まぁ地球でもマイナーだしねー)


「干物っていろんな方法があるのは知ってる?」

「適当に吊るしとくだけじゃないの?」

「それは天日干しね」

「っえ! ほかにもあるの?」

「あるわよー、ラーナは分かる?」


 ラーナは「うーん」と腕を組み悩む。


「わかった! 塩漬け!」

「なるほど、それは塩蔵ね」

「燻製!」

「なるほどなるほど、ラーナは詳しいのね」

「たまたま知ってただけだよ」


 リリはそのまま少し考え込む。

 料理とはいえ、どこまで異世界の知識を使っていいものか疑問を覚えたからだ。


(ここまであるなら、きっと細かく分類してないだけよね、よしっやろう!)


 急に黙ったリリに、ラーナは少し不安そうに聞く。


「違った?」

「っえ? あぁ、違わないわよ、今回は組み合わせる感じね」

「組み合わせる?」


 ラーナはピンときて無いようで、また「うーん」と悩む。

 リリはその向上心、好奇心を見習わないとなと思いつつも答えだす。


「さっき塩を振ったでしょ?」

「うん!」

「これを干すというより、焼く感じで水分を抜いていくの」

「それは普通に焼くのとは違うの?」

「弱火で焼くのは一緒だけど、今回は焼いた後に更に天日干しか、日陰干しにするわ」

「へぇー、じゃあもうすぐ夕暮れだし、日陰干しだね」

「ラーナは理解が早いわね」


 ラーナはエへへッと笑い、照れくさそうにしながらも、焚き火の周りに切り身を並べだした。 


「リリ、どうせなら燻製もしたら?」

「燻製も!?」

「その方が早く出来そうじゃん」

「確かにっ!」


(そんなこと思ってもなかったわ、ラーナの発想は斬新ねっ!)


「燻製するなら煙が必要よね、ラーナなにかもってる?」

「ボクが持ってるものだと……オレガノかファイヤーリーフかな?」


 鞄から二つの束を取り出してきたラーナ。

 そのうちの片方は束ねた枝に乾燥したパセリのように丸まった葉が不規則に並んでいる。

 リリはおもむろに近づくと、匂いを嗅いだ。


(これオレガノよね? 地球のものと形も香りも一緒じゃん!)


 もうひとつの束は、木の枝のような太い茎。

 そして付いている葉は、炎を模ったような刺々しい形をしている。


(これがファイヤーリーフ、パッと見はヒイラギみたいだけど、見たことも嗅いだこともない植物だわ)


 リリは葉の棘に気をつけつつ、匂いを嗅いだ。

 少しツンッとしたスパイシーな香りが、鼻孔をくすぐる。


「香りはハジカミっぽい……かなっ?」

「ハジカミ?」

「っあ! いやっ、気にしないで、今回はオレガノ使いましょ」


 思わず地球の単語を出してしまったリリは、ラーナの反応にあたふたと取り繕う。


「そのまま焚き火に入れるの?」

「出来れば燃やすんじゃなくて、炭の上に置いてゆっくりたくさん煙を出したいわね」

「なるほどねー、おっけー」


 ラーナは葉を摘まむと小瓶に詰め、枝のみを炭の上に置く。


(焦ったー、ハジカミぐらいなら大丈夫だったかもしれないけど、本当に焦ったー)


「フゥ、あとは待つだけね」

「楽しみだねー」


 ラーナはワクワクが隠せないのか、そわそわと干物を眺めていた。


『デザートフィッシュの一夜干し、完成間近』



「ヤッホー、ラーナだよー!」

「ヤッホー、リリよ!」


「リリが最後に言ってたハジカミってなに?」

「ここなら言ってもいっかぁ、山椒の葉っぱのことよ木の芽とも言うわね」

「なじみのない言葉だね」

「山椒やショウガみたいなツーンとした爽やかな香りがするのよ?」

「文字だとわかりずらいねぇ」


(ラーナは相変わらずメタいわね)


「気になる人は買って確かめてねー! 案件まってまーす! なーんてねっ!」



「「次回『デザートフィッシュ』その6」」



「異世界って理不尽だわー」



現在は、1日1話投稿です!

13:30、もしくは21:30にアップする予定ですが

前後する可能性があるのでご了承ください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ツチノコ捕まえた時に参考になりそう! [気になる点] 家の裏山にツチノコ居たよ~な気がする
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