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異世界キャンプ ~チートはなくても美味しいものがあれば充分です~  作者: 綾川 鈴鹿
《カプト地方、砂漠編》一章、死の荒原
20/115

4話、ラーナのカミングアウト(2)

「ヤッホー、リリよ! 今回の一口メモ!」


「今回の名言はアメリカの作家、テリ・ギルメット」



『野菜は地球の食べ物だが、果物は天国の味がする』



「えーっと……」

「どっちもないんですけど!!」


「あと、関係ないけど」

[スイカは野菜なのに天国の味がします!」



「ここから本編でーす!」

「じゃあ、この大陸の歴史から話そうか」

「歴史? そんなもの関係あるの? モグモグ」

「まぁそのほうが、ボクの立ち位置がわかりやすいから……」

「オッケー、なら聞かせてもらうわ!」


(異世界の歴史、わたし興味津々だわ!)


 ラーナの口調から察するに、今からの話は恐らく良くない話なのであろう。

 リリは不安半分、高揚半分で耳を傾けることにした。


「そうだなー、どこから……やっぱり最初からかなー?」

「最初って大陸が出来た時?」

「んーん、もっと後!」

「流石にそうよね」


(大陸創生なんて、神話だもんねっ)


 リリはそう口に出そうとして留まる、この世界には神が現存する世界なのかもしれないと思ったからだ。


「昔、このドラコニス大陸は悪いドラゴンが支配していて、人族と文明を築いてたらしいって所からかな?」

「ドラゴンって、あのドラゴンのこと? 見て見たーい!」


(本格的に、ファンタジーになってきたー!)


 先程までの不安はどこへ行ったのか、リリの鼓動はまたもワクワクと高鳴る。

 気持ちの切り替えが早く、悩みは数秒も持ち込まないというのは、彼女の長所でもあり短所でもある。


「あのって、どのドラゴン?」

「あのドラゴンは、あのドラゴンよ! 分かるでしょ?」


(西洋風とか東洋風とか、地竜とか火竜とか色々といるじゃない)


「まぁどのドラゴンでもいいや」

「っえ!? いいの?」

「いいのいいの、ボクもちっちゃい時に、集落の昔話が好きなおじいちゃん達に聞いただけだし」


 手をヒラヒラとさせ答えるラーナ。


「へぇ……おじいちゃんの昔話ねー、モグモグ」

「壮大な嘘かもしれないけどねぇー」


 ラーナはそう言うと乾いた笑みを浮かべる。


(興味なさそうだけど、まだわたしは興味津々よ!)


 リリはまだ口に残る革鎧を噛み続けながら、急かすように質問を投げかける。


「その時代に人はいたの? ドラゴンと共生してたの? サイズは? やっぱり火を吹くの?」

「人はいたらしい、その時代の子孫って名乗ってる〈蛮族〉ドラコニアンが今もそこら中にいる、他は知らない」

「なるほどぉ、凄い時代ね!!」


(未知のドラゴン! 一回は見てみたいわ!)


「ドラコニアンは話しを聞く前に襲ってくるから、本当に共生が出来てたのかは分かんないんだってさ」

「蛮族、恐っ! みんなの敵って感じね」


(ファンタジーっぽいけど、こっちは会いたくないわー)


「まぁ危ない奴らだね、普通の人なら絶対に近付かない」

「モグ、わかったわ、覚えとく。モグモグ……」


(蛮族、ドラコニアンは危険! 脳内にメモメモっと)


「ごめん、話がそれちゃった、戻すね」

「っあ、はい」


 口の中の革鎧が気になって、少しだけ意識が明後日の方へ飛んだリリ。

 顎の感覚はとっくに無いが、とりあえずは噛み続けながら話を聞く。


「まず始まりは……」

「うん……」

「邪悪なドラゴンがこの大陸を支配していた!」

「うん、既にヤバそうな世界ね」

「その邪龍を倒すために、遠くの大陸から英雄達がこの大陸に乗り込んで来ました」


(熱い展開ね、王道ファンタジーって感じだわ!)


「英雄達ってことはたくさんいるの?」

「確か人族、妖精族、爬虫類族、鬼族の4人パーティーだったかな?」

「ふぇえー、種族が混合なんだ」


(ゲームとかのイメージだけど、人とかエルフだけかと思ってたわー)


「うん、鬼族からはゴブリンロードの祖先、エンズ一世が参加してたみたい」

「ゴブリンロードって王様よね?」

「みたいなものかな、だから鬼族の中でゴブリン族は強い権力を持ってるんだってさー」

「なるほどねぇ、モグモグ」


 自分の祖先のことを、見知らぬ他人の様に話すラーナ。


(ラーナさんの故郷だし、もう少し詳しく聞きたいなぁ、でもこれって聞かないほうが良いやつよね、多分だけど、でも聞きたい、聞きたい、聞きたい)


 リリは湧きあがる好奇心をグッとこらえて、口をムッと閉ざした。


「なんだかんだ色々とあったらしいけど、よく覚えてないし関係ないから、次行くね」

「っえ? 端折っちゃうの?」


(やっぱり、話しにくい内容だったのかな?)


「関係ないからね」

「えー、もう少し聞きたかったぁー」

「まぁまぁ、めでたくドラゴンを倒して平和になったこの大陸に、英雄の一族とか色んな種族が移り住んできましたと、さ」

「なるほどなるほど、それで?」

「これでお終い!」

「モグモグ……っえ?」


(終わり? じゃないわよね、流れ的には……)


「わかった! その後に蛮族と土地争いに発展したんでしょ!」


 リリは得意げに言うが、ラーナの返事はすごく淡白な物だった。


「さぁ、ボクは興味なかったから、聞いてない」

「そっかー」

「普通に考えたら、英雄に逆らうような人は少なかったんじゃない?」

「あぁ確かにそれもそうね」


(あー外したー、恥ずっ!)


 予想を外し内心を取り繕うリリ。

 外面では分かっています、と言った顔を作っているので、ラーナは話しを続けた。


「ざっくり言えば、ドラゴンとの戦いが500年ぐらい前にあった、それがこの大陸の歴史だよ」

「ざっくりしすぎじゃない?」

「一応、前置きだからね」

「なるほど前置きねぇ、じゃあ続きがあるのねっ!」

「まぁね」


(歴史がラーナさんが街に入れない理由と関係あるの? 繋がりようのない気がするんだけど……)


 リリは心の中で少しだけ頭を傾げた。

「ヤッホー、ラーナだよー!」

「ヤッホー、リリよ!」


「ボクのお話、どうだった?」

「端折り過ぎじゃない? もうちょっと聞きたかったわ」

「投稿と展開的には、長過ぎてもねー!」

「相変わらずメタいわね……」


「「次回『ラーナのカミングアウト』その3」」


「異世界って理不尽だわー」



一週間26日までは3話投稿する予定です。

7:30、13:30、21:30の予定ですが、前後する可能性があるのでご了承ください。

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