第一話 神引き
世界最弱とも言われる能力『魔力無効』を持った俺は悟った。このままじゃ何もできないまま死んで朽ちるだけだ!! と。
そこで俺は大魔術師に頼んで転生できるように頼んでみたんだ! そしたらなんだか簡単に転生の手伝いをしてくれるらしいじゃないか!!
俺は人生最大のチャンスだと思い生まれ変わった!!!
神様、世界様、私たちに神力をお授けください!お願いいたします!神引きこい!神引きこい!!神引き!神引き!神引き!!!!!!
そして手に入れてしまった。『無限魔力』を。この世でも最強の能力を。
さらに気づいてしまったことがある。転生の媒体としていた体にも能力が宿っていた事を。そう、俺は能力の重複を成功してしまったのだ……。
しかも『無限魔力』と相性の良い『創造具現』をだ……。
こんなの……もう一度この世界に挑戦して立ち向かうしかないな!!
これは最弱な能力『魔力無効』を持っていた俺が最強の能力『無限魔力』と『創造具現』で世界に再挑戦し無双する物語だ。
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生まれてからかれこれ34年が過ぎてしまった。俺はこの34年間何をしていたのだろう。生まれてから特にすごい能力を手に入れるわけでもなく。何かを成し遂げるわけでもなく。ただ自堕落な生活をしているだけでなんもしてこなかった。
俺が自信もない、力もない、やる気もないようなったのにはこいつに原因がある。『魔力無効』だ。
『魔力無効』はその名の通り、己の内に秘めている魔力を全て無効化してしまう能力だ。いわゆるゴミスキル。つまり俺は生まれてくる時点で爆死していたのだ。
『魔力無効』は当然魔力が全て無効化されるから魔法も使えないし、魔道具も使えない。とにかく魔力を用いるものは全て使えない。能力っていうのは普通その人にメリットがあるはずなのにこいつはデメリットしかない。この世界では魔力がなければ何にもできないというのに。
そんなこんなで魔力を使えず34年が過ぎてしまった、というわけだ。俺はおっさんに昇格。嬉しくなんかねぇ。
でも34年間自堕落ではあったものの本当に何もしていない訳ではなかった。俺はどうやったらこんな能力を捨てされるのかずっと考えていた。捨てさって新しい能力を手に入れたい。そう思っていた。たくさんの能力に関する文献や論文を漁り、読みまくった。能力に関することだけではなく魔術に関することや剣術、沢山の知識だけは蓄えてきた。例えば魔術だったら古代魔術の一部までの魔法だったら使えないがやり方は知っている。剣術だったら生まれつき体が弱いため剣は触れないが全ての流派の技を知っている。だが知識を蓄える、それはもちろん無駄だった。なぜなら『魔力無効』があるから。生まれつき運命的だからしょうがなかった。でもそうしているうちにどんどん新しい能力を手に入れたいと思っていた。
そんなある日一つの魔術書からなかなか興味深いものを見つけた。
「古代魔術……転生魔法リライド……。」
それはラナキア王国の王国図書館特別保管庫で保管されていた古代魔術書の一つ冥書に記載されていた。だが転生魔法には膨大な魔力と相当な技術が必要であった。もちろん俺には使えない。そこで目をつけたのが八苦魔女の一人。生苦の魔女である大魔術師ハイリーン。大魔術師ハイリーンはこの世に指で数えられるほどしか使えない転生魔法を使えることができる。ハイリーンは愛想は少ないものの人間と多く関わっている唯一の八苦魔女である。そのため俺はダメ元でハイリーンのいる天生山へ向かった。天生山は名前では想像がつかないほど危険で暗い。
俺はハイリーンに頼んでみたところあっさり頼みに答えてくれた。普段はこんなことはしないらしいが俺に何か感じたらしい。なんだか怪しい、何か裏で考えていることがあるのだろうと思いながらも転生魔法をかけてもらう事にした。俺もあっさりしていたのだった。
「覚悟はいいですね。ハイトさん。古代魔術転生魔法はあなたの魂を別の体に移すということです。その際に魂の形は変わります。変わるのに約2000年かかるのであなたが転生するのも約2000年後になるでしょう。」
「なるほど。あ、あの質問なんですが魂の形が変わっても今までの記憶は保たれますよね?」
「当たり前です。転生魔法というのはそういう魔法です。前世の記憶を持ちながら新しい個体になるという事なんですから。」
「あ、そうですか……。」
魂の形が変わると言ったから全部消えてしまうのかと思った。なんだよ。心配させやがって。もっとちゃんと説明しろ。いや、せっかく転生させてくれるんだから感謝はしなくては。
「では、始めます。」
ハイリーンは魔法陣を描き展開した。禍々しい青色をした魔法陣が目の前に描かれている。直径は10m以上はある。とてつもなく巨大だ。
俺は完成した魔法陣の上に立たされる。手を握ると手汗がすごく、とても緊張している。そんな中ハイリーンが詠唱を始める。
「紅玉の灯火が蒼白の器を飛び出す。変わりゆく灯火の幻影に目を逸らし月が何度も昇り落ちる。輝く器を見つけては宿りしかろう。古くと来る時を繋ぎ今も彷徨い続けるであろう! 転生魔法!!」
一気に魔法陣が光輝きやがて目が眩んでくる。最後に見えたのは大魔術師ハイリーンのやけに暗く影の入った顔だった。
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目が覚めると、はだけている巨乳金髪美女が目の前にいた。白っぽい金髪に、出るとこは出ている体を俺に押し付けてきた。その隣にはこげ茶の髪色をした身長の高くガタイの良い男が立っていた。見た目に反して顔は笑っていた。この様子を見る限りどうやら転生には成功したらしい。
「ねぇ、あなた! 私たちの子供が生まれたわよ!! しかも男の子よ!!」
俺を抱えた巨乳金髪美女はさっきまで押し付けていた胸をさらに押し付けてきた。く、苦しい。でもなぜか嬉しさを感じていた。それは前世ではこんなことはなかったからだ。
「お、男か!? 俺にも抱かせてくれ。」
抱かせてくれ!? 赤ちゃんの俺にそんなことを。なんてハレンチな!!
その男は筋肉が多く胸板がしっかりしていた。硬い。巨乳金髪美女とは真反対だ。そしてなぜだか知らないが俺が男という事に興奮しているようだった。実はホモか。
俺は体を動かそうとする。だが赤ちゃんの姿だからなのか指先や足先がうまく動かない。頭が重く体もうまく持ち上げられない。次に言葉を発しようとしてみた。やはり口もうまく動かなかった。喉の奥から音を出すのが難しい。今はやめておこう。俺はそう思う。
なぜかこの両親らしき巨乳金髪美女と筋肉高身長イケメンの他にもメイドらしき人たちや巨乳金髪美女に似ていて不満げな顔をしている人などがいた。どういうことなのだろうか。
他にも喋っていたり笑っていたりしている人たちがいるのだがまだ耳が完全に発達していないのか近くにいる二人以外の声はなかなか聞き取れない。でも笑っている顔が見えるということは祝福はされているのだろう。
父親らしき人は俺を母親らしき人に受け渡した。母親らしき巨乳金髪美女はにっこりと微笑みながら俺に顔を近づけた。おいおいおいおい、顔が赤くなっちまうよ!
「ちゅっ」
俺の唇に唇が触れた。ファーストキスだった。
そんなこんなで俺は最初の誕生日を迎え再びこの世に生まれた。
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生まれてから3ヶ月ほどが経った。
そして色々と気づいたことがある。
俺はワターナーゼル・サリラント・セーシリウスという長ったらしい名前になった。普段はセーシリウスを略してあだ名みたいにセリスと呼ばれている。
それとワターナーゼル家のサリラント家はかなり魔術剣術に特化した家系らしい。そのため裕福だ。ワターナーゼル家はもともとこの土地の人間ではなく遠くの遠方から古くにやってきたらしい。その時からワターナーゼル家は強い魔力と高い身体能力を持っていると家の歴史書に書いてあった。もちろん、生まれて間もない子が本なんて読んでいたら怪しまれるからメイドから逃げた隙に読んだ。
ワターナーゼル家でもサラリント家はかなり裕福っぽい。なざならでっかい宮殿みたいなところに俺たちは住んでいる。家は白塗りで質素だが偉大さを感じる。窓の外を見ると赤レンガの街並みが見える。この街の領主的な家なのだろうか。家の中には沢山のメイドたちがいるし偉そうな人たちもいる。やっぱり裕福だ。
次に家族についてだ。巨乳金髪美女と筋肉高身長イケメンはやはり母親と父親だった。母親の名前はライア、父親の名前はエルドレットだ。イケメンと美女。
さらに俺には5つ上の姉がいるらしい。名前はレイラ。母親に似た金髪に色白の肌をしている。誰がみても正真正銘の美少女だ。まだロリだが。
最後に俺の新しい能力についてだ。俺は手に入れてしまった。『無限魔力』というこの世でも最強に連なる能力を。
さらに気づいてしまったことがある。転生の媒体としていた体にも能力が宿っていた。
しかも『無限魔力』と相性の良い『創造具現』をだ。俺は能力の重複に成功してしまったらしい。
世界からの祝福として自分自身の魂に与えられた『無限魔力』と媒体とした体に世界からの祝福として与えられた『創造具現』を当ててしまった。スーパーレアスキル2個を。
今わかった中でも魔術剣術に特化した家系でその中でもさらに裕福な家柄。身内は美男美女ばかり。そして2つのスーパーレアスキル。
そう、俺は神引きをしてしまった。
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生まれてから半年が経過した。
バタバタッ
急ですまない。今俺はハイハイをしながら高速でミラという15歳位の専属メイドから逃げているところだ。まだ立てないためハイハイをしている。俺は不味そうな哺乳食を食べさせられそうになったのだ。一口食べてみたが今の世界はどうなっているんだという位うまくなかった。だから逃げる。目の前に階段があるがスピードは落とさない。
あ、やばい。
俺は高速なスピードのまま階段を踏み外し落ちた。重い音が響き渡る。
「危ないです!! セリスお坊ちゃま!! 聖なる息吹よ!柔軟に支え助けてくれよ!! 風支」
次の瞬間優しく温かい風が俺を包み落ちそうになるところを支えてくれる。どうやら初級の風魔法で助けてくれたようだ。ありがたい。
「……大丈夫ですか!?」
助けてくれたメイドが俺を抱き寄せる。メイドは涙目だ。俺が怪我でもしたらこのメイドはクビにでもなってしまうのだろう。それは申し訳ない。
そして俺は豪華そうなベットに寝かしつけられる。このベットで夜寝ていると防音されていそうな豪華な部屋でも響き渡るほどのアンアン声が聞こえてくるのだ。俺が生まれたのにもう次の子供を作るために勤しんでいるのだ。それはそれで悲しくなるので思い出したくないが。
俺は決心した。
やがては世界一の魔術師。ん? いや、剣士か? ど、どちらでもいいが世界一強い人になってみせる。そして絶対後悔しない。前世のように何もしないで終わらせない。そして俺はこう思う。
今度こそハーレムを作り上げる!! あ、いや、間違えた。
今度こそこの世界に再挑戦して無双してやる!! と。