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クララとパンダとアンジェリカ  作者: 間取良可
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 クララは水風呂以外の全ての風呂に入り(サウナもあったが今回は入らなかった)、ライトミィは最初の湯船の他は茶褐色の湯に浸かっただけで二時間程が経過した。クララは途中に温めの湯船にも入ったので二時間浸かっていても平気なのだが、ライトミィは熱めの湯を選んでいた。

「ミィさん大丈夫ですか?」

「熱い方が好きだから大丈夫」

 湯気の多い洗い場を通って更衣室に戻る前に湯浴み着の裾を絞る。更衣室に入ってロッカーに向かい、下着と館内着を身につけて脱いだ湯浴み着を回収用の籠に入れる。

「休憩室で休んでまたお風呂に入りたかったらロッカーに湯浴み着を入れておくのだけど、今日はもう入らないから返していいわ」

「六〇パルで一日居てもいいんですか?」

「休憩室と風呂を往復して一日居ても大丈夫よ」

 なんて心が広い施設なんだろうか、とクララは思ったが一日中居るとなると食事などで金を落とすから儲けは出るのだろう、と納得した。

 となると食事は高いのだろうか。

「ミィさん、ここのご飯はいくらくらいあれば足りますかね?」

 クララは財布の中を見る。普段は二〇〇パルあればどうにでもなる生活だが、今回は外出なので五〇〇パル入れてある。入館時に六〇パル使ったが。

「八人いるし……二〇〇から三〇〇あれば大丈夫じゃないかしら? あなた十五だものね、お酒まだだし」

「皆さん飲まれるのですか?」

「今日の面子だと私入れて三人だけね、他はジュースだから安いわよ。ちゃんと会計は別にするから大丈夫」

 クララはほっとしながら館内着(色の濃い大きめのTシャツとハーフパンツだ)を着て髪を軽く乾かし、財布をポケットに入れて休憩室に向かった。


 休憩室は東方文化のい草を使った厚手のラグのような「畳」が敷かれていて館内用スリッパを脱いで畳に上がる。足裏の感触が気持ちいい。

クッション(座布団)が置かれていて自由に座ったり寝転がっていいようだ。

 同寮の六人は既に思い思いにくつろいでいてクララとライトミィが最後だったらしい。

「ミィもクララも今来たのねー、ジュース飲んで一時間くらいゆっくりしよう」

「私ちょっと寝たいから一時間したら起こしてね」

 女専用の風呂屋だけあって非常にリラックスしている。クララも財布の中に入れていたジュース引き換え券を出して休憩室内のジュースカウンターに向かっていく。

 オレンジ、りんご、ぶどう、アセロラ、アイスコーヒーに牛乳もある。クララは選べる楽しさにわくわくしながらアセロラを頼んだ。ライトミィはぶどうジュースを頼んでいる。

 寮の女たちがちゃぶ台を囲んでジュースを飲んでいる所に加わりアセロラジュースを一口。

 甘くて、冷たくて、爽やかな酸味が風呂上がりの火照った喉をすっと通っていった。

 つまり、美味しい!

「アセロラ美味しいです!」

「良かったわね」

「二杯目からは有料よ」

「それでも一〇パルで飲めるけどね」

「この後ご飯食べるから飲み過ぎもダメよ」

「私、畳も初めてです。図鑑では見たことあるんですけど」

 クララは畳を撫でながら触り心地にうっとりする。これは寝たくなるのもわかる。

「畳は寝心地いいわよー」

「結構前に東側の町でオリエンタルブームが来て谷底の町にも入ってきたんですって」

 谷の都にはなんでもある!、とクララは谷の都に来たことは正解だったと深く深く思うのだ。

「とりあえず、のんびりしましょ」

 けらけらと騒がしくない程度におしゃべりに興じる。話題なんていくらでもあるのだから。

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