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クララとパンダとアンジェリカ  作者: 間取良可
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 その日は雨が降っていた。

 クララはライトミィとタオル回収・交換の仕事で水の交信室に行くとプールの前に座っていたアンジェリカがクララたちに気づいて視線を送ってくる。

「クララ!」

 なんだか嬉しそうに手を振ってくるアンジェリカにクララも手を振りかえす。

「お互い仕事中だからあんまりな私語はいけないけど、軽い挨拶は大丈夫よ」

 そう言うライトミィは持ってきたタオルを棚に入れていき、そこにアンジェリカが近づいて来て、こう言うのだ。

「あの、クララとお話ししてみたい妖精がいるのだけど、ほんのちょっとだけ……いいかしら?」

 ライトミィは少し悩む目をした後、「少しだけね」、と許可を出した。クララはもう目を輝かせて行く気満々だ。

 妖精とお話しできる! 妖精パンダとは普段から話をしているが、逆に言えばパンダ以外の妖精との触れ合いは谷の都に来てから初めてだ!

 クララはタオルを回収する籠を棚の前に置いてアンジェリカと共にプールの側に歩いて行く。

 二人が静かなプールから二歩の位置に来ると、水の中から小さな人魚が出てきた。パンダたちよりは大きいが、人間の赤ん坊よりは小さな人魚だ。

「わあ!」

 小さな人魚はクララをみて声を上げた。

「本当だ! 本当に本当に本当だ! 貴方がクララね! あたしはケーティ!」

 何が「本当だ」、なのかはクララには分からないが名乗られたのでこちらも返さねば、とクララはケーティと目を合わせる。

「はじめましてケーティさん、クララです!」

 小さな人魚ケーティは嬉しそうにクララを大きな目で見ると、水の上に全身を出して水面に座る。

「あたしは水の妖精よ、ねえクララ、海って見たことある? あたしはこの谷の都と海の都を行ったり来たりしてるの」

 海、海、山育ちのクララに海ときた。

「海ですか! 見たこと無いです! 海は独特な匂いがするって聞いたことあります。本当ですか?」

「ええ、潮の匂いね、あたしはとても好きだわ」

「海の都は遠いのでしょうか?」

「そうね、遠いわ、水と同化すれば近いけど、妖精の姿のままだと泳がなきゃいけないから」

 どうやら二人の相性は悪くはなさそうだ、とアンジェリカはほっとしていた。何せ精霊は見えないけど精霊に人気のクララだ、妖精たちの間でも噂になっていた。

 ケーティはアンジェリカとよく水の交信室で話をする妖精なのだが、その伝でクララと話してみたいとアンジェリカに頼んできたのだ。

 精霊よりは肉体がある分妖精の方が自制が効く者が多い。急に飛びつくこともないだろうとアンジェリカは丁度出会えたクララとケーティを引き合わせてみることにした。

 さて、そろそろクララを仕事に戻さないと、とアンジェリカが思った時に水の中から見覚えのない妖精が出てきた。蛇の姿をしている。

「あら、初めまして、アナタはどちらから……」

 アンジェリカは挨拶をしようとした。しかし水蛇の妖精は、一瞬でクララに巻きついて水の中に引きずり込んでいった。

 クララ!、と一番初めに声をあげたのは少し遠くから見ていたライトミィであった。

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