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クララとパンダとアンジェリカ  作者: 間取良可
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 着替えの済んだアンジェリカとソフィアとマディはテントの中で周辺の精霊たちと交信していた。『嵐舞』は終わった、と告げる為だ。

これを忘れると『嵐舞』前に「少し大人しくしてて」と告げられた周辺の精霊たちが「いつまで大人しくしてればいいんだ!」と苦情を言いに来る、谷の都の精霊殿のどれかに。

 谷の都の精霊殿は谷底、東、西にあるので『嵐舞』担当の精霊殿以外に苦情が行くと「お宅の精霊殿、後処理忘れてませんか?」と更なる苦情が飛び込んでくる。

 精霊殿同士、別に仲が悪いわけでは無いが、良いわけでもないので風通しが悪くなると気象室が情報をすり合わせたい時などに困るのだ、下っ端が。

 いつだって一番困るのは一番力の無い者である。


 夕飯の時間が来て、クララは困っていた。

 パスタのソースを一人分ずつ順番にサザが作ってくれると言うのだ。サザは三つのフライパンで手作りトマトソース、ホウレンソウとベーコンのオイルパスタ、缶詰のシーフードソースにパスタを放り込んでいる。

 それなのに!エルジャイブは「俺は残り物のカレー温めたやつパスタにかけるわ」、とカレーパスタという選択肢まで増やした!

 どうしよう、どうしよう、とクララが迷っているとアンジェリカが話しかけてくる。

「何でそんな百面相してるの?」

「アンジェリカさん!パスタメニューが決まりません!」

「ふーん……別々のソース頼んで半分こする?」

 そんな方法が!?、とクララはキラキラした目でアンジェリカを見つめて何度も頷いた。

「なんて素敵なアイデアですか!一緒に食べましょう!」

 一緒に、食べましょう、という言葉をアンジェリカは噛み締める。精霊士の先輩たちと食事をする事はあっても、同年代と食事をする事なんていつ以来だろう?

「パンダにもちょっとあじみさせるのよ」

 アンジェリカの肩に乗っていた妖精パンダも耳をピコピコ動かして主張した。


 クララはホウレンソウとベーコンのオイルパスタ、アンジェリカはトマトソースをサザに作ってもらい焚き火から少し離れた場所の椅子に座った。

 今夜もプレートにパスタが載って、その横にポテトグラタンが添えられている。

 食事前の祈りを済ませた二人はフォークにパスタを巻きつけて口にする。

「美味しい!」

「そうね…!」

 アンジェリカのプレートからポテトグラタンをつまみ食いしたパンダはチーズの熱さに口を開けたまま走り回ってソフィアから温くなった飲み物を貰って落ち着いてアンジェリカの元に戻ってきた。

 クララとアンジェリカは約束通り半分食べ終わったところでプレートを交換する。元々交換する約束だったのでお互いポテトグラタンには手をつけていない。

 二人でパスタを一本だけフォークに巻き付けてパンダに差し出すと両方ともモグモグと食べ、「おいしいのよ!」、とサザの元に走っていき彼を褒めちぎっていた。それを聞くサザは「おう、よかったな」とぶっきらぼうだ。

 改めて、パスタ二種類目である。ホウレンソウとベーコンのパスタはもったりとしたベーコンの味わいがホウレンソウでさっぱりとしているし、トマトソースは酸味と旨味のバランスが良く、刻んだ玉ねぎの歯応えも美味しい。

「うわー、両方食べれて良かったです!アンジェリカさんありがとうございます!」

「そうね、美味しかったわね」

「グラタンも食べましょう!」

「ええ、あら、随分滑らかなポテトグラタンね」

「えへへ、お芋潰しお手伝いさせてもらいました」

「美味しいわよ」

「えへへ……」

 照れながら食べるポテトグラタンは生クリームを混ぜてるからか滑らかで美味しかった。


「パンダ、スモア食べる?」

 リンデが焚き火の前でクッキー、チョコレート、マシュマロを持って準備している。

「たべるにきまってるじゃない!」

「じゃあ、クララとアンジェリカも誘っておいで」

「わかったのよ」

 『嵐舞』は終わってしまえば単なるキャンプに変わる。疲労がそんなに溜まっていない今夜はとても良い夜だと精霊士も雑用係も楽しく過ごしていた。

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