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クララとパンダとアンジェリカ  作者: 間取良可
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 サザとメルク以外の雑用係はキャンプの片付けを始めていた。逆に言えばサザとメルクは別の作業中だ。具体的に言えば夕飯作り。

 エルジャイブとリンデもキャンプの片付けを手伝っているのでそちらの人手は足りている。クララはサザとメルクを手伝うことにした。

「何かやることありますか!」

「クララさんは……じゃあお芋潰してもらおうかな」

 メルクにポテトマッシャーとボウル代わりの大きな器に入ったジャガイモを渡されたクララは張り切ってジャガイモを潰し始めた。


 水を固めて作られた祭壇の前に立ったリンデは魔法陣をいくつも出して一つ一つほどいていく。

 祭壇を形作る為の魔法陣、魔力を祭壇に回す為の魔法陣、水を固める為の魔法陣、水を出す魔法陣、様々な魔法陣が絡まり合って祭壇は作られていた。

 魔法陣を一つ消す度に祭壇は崩れ、水の塊になり、形を保たなくなり、地に落ちて、ただの水になって終わるのだ。


「お芋潰し終わりました!」

 芋を潰すのは楽しい!とマッシャーを持つ手が止まらなくなったクララだったが、芋がとても滑らかになって潰し甲斐が無くなったので作業の完了を告げた。

「メルク、冷蔵庫から生クリーム持ってきてくれ」

「何個ですか?」

「芋も大量だからあるだけ使っちまおう」

 サザの指示に従ってメルクは冷蔵庫に向かう。冷蔵庫は食材箱のすぐ隣に置いてある。開けるとひんやりと柔らかな冷気が来るが、火のそばで作業をしていたメルクの肌は丁度よく冷やされるだけで寒くはなかった。

 泡立てる前の液体の生クリームが入ったパックを持ってきたメルクはクララの作ったマッシュポテトに入れて大きなスプーンで混ぜていく。

「これは何を作っているんでしょう?」

「ポテトグラタンだよ」

 蒸したジャガイモをマッシュして生クリームを混ぜて耐熱容器に入れ、上にチーズをかけて加熱すれば簡単なポテトグラタンの出来上がりだ。

「ベーコン入れてもいいんだけどなぁ、夕飯パスタにするからそっちの方で使っちまうんだ」

 玉ねぎを刻んでいたサザがレシピを教えてくれる。

「皆さんお料理色々知ってるんですね」

「クララさんは、料理は?」

「羊肉のシチューとかなら作れます。シェパーズパイはパイ生地があれば何とか、って感じですね」

「ああ、羊飼いだったんだって?」

「羊は毎日の糧をくれるパートナーでした」

「売る羊と食べる羊ってどこできめるんですか?」

 うーん、とクララは考える。羊をどうするかは祖父や父たちの考える事だったのだ。

「脚を怪我して歩けなくなったら若くても食べちゃいますね。うちで飼ってた羊は角を売る羊だったので、角の具合が良くない年老いた羊も食べます。若い羊の方が美味しいですけど、そこは仕方ないですね」

 そうなのか、と手を動かしながら話を聞いていた二人は疑問を口にする。

「谷の都に来て他の肉は食ったか?」

「あんまり育ててた羊を食べるのに抵抗無い感じ?」

 サザの疑問には簡単に答えられる。メルクの質問も、今更だ。

「鶏は地元でも食べてました。牛はちょっと感動でした。地元だと高いものでしたから。豚は偶に食べてましたよ。羊を食べるのは生まれ育った場所が場所なので……なんて言うんでしょう……私、羊も捌けるので何も考えてないって言うか……」

「あー、ごめん!なんか僕、デリカシーの無い質問した!ごめんねクララさん!」

 その反応にクララは驚いた。デリカシーとかそういうのが無いのは自分なのでは?、と思いながら質問に答えていた為だ。

「いいえ、いいえ」

「何食べたって自由だよね、なんか困らせたらごめんね」

「なにも困ってませんから大丈夫です!」

それよりグラタンが楽しみです!、とクララは笑った。

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