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クララとパンダとアンジェリカ  作者: 間取良可
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 ソフィアは四時間程踊った所でマディと交代した。大体『嵐舞』の踊り手は一人前の精霊士なら魔力を体力に変える魔法を使いながら踊るので平均して三時間程度のものである。

 マディも「次は四、五時間で切り上げるよ」と言って出て行った。

 現在時刻は深夜と早朝の間である。

 火の番になった雑用係の男はサザ、朝からカレーを振る舞おうと仕込みの最中だ。

 エルジャイブは仮眠に入り、その間はアーロンとソフィアが交代でまとめ役をする。

 流石にこの時間はクララも寝ていた。


 朝になってカレーの匂いでクララは目覚める。二段ベッドの上の段で「美味しそうな匂いだ……!」と起きてから「カレーだ!!」と気づくのだ。

 アンジェリカはオニオンスープとパンを焼いたものだけ食べて次の踊り手として控えている。カレーを食べている暇はない。

 アンジェリカの足元では妖精パンダが「がんばるのよ!」と励ましていて、なんだか微笑ましい。

 雷の件も、アンジェリカの結界魔法がある程度の雷ならば防御できるとわかったのでエルジャイブは結界魔法を使いながら踊ってくれ、と助言するだけとなった。


 マディと交代するアンジェリカは祭壇に入る時、二度目だからなのか、一度目はクララに押されて入ってしまったのが衝撃だったのか、スッ、と実にスマートに入っていった。交代したマディは誇らしげなパンダを見て、よかったよかった、と頷くのだった。


 四十分後にアンジェリカはバスタブに入っていた。

「よんじゅっぷん……三十分の次は四十分……」

「元気だすのよアンジェリカ、十分のびたのは成長なのよ」

「そうですよ、今回の踊りも素敵でした」

 アンジェリカの入るバスタブに熱めの湯を入れながらクララが褒めるも、アンジェリカには効果が無いようだ。

「だって今回は結界魔法使いながら踊りながら交信してただけなのよ?花火出すより魔力の消費量少なかったのに……」

「踊ってるあいだは体力増強魔法もむいしきにつかってるのよ」

「……でも、でも、私まだやれる!」

「へとへとで祭壇からでてきたのよ」

「うぅ〜っ!」

「アンジェリカさんはまだまだやれます!」

 明らかに拗ねているアンジェリカと正論のパンダの間にクララが割って入る。

「アンジェリカさんは、小刻みに刻んで刻んでいくタイプです!毎日コツコツタイプなんですよ、多分!マディさんは大盤振る舞いだけどお休みも長いタイプです!ソフィアさんはきっと中間タイプですね!」

 適当だった。何の根拠も無いことを言っているのだが、相手はアンジェリカ、齢十四の少女である。

「そうかもしれないわ……」

 信じるのだ。育ちの良い少女は適当なクララの言葉を信じるものなのだ。

「そうよ!毎日コツコツはすばらしいのよ!」

 それにパンダも乗ってきた。パンダはアンジェリカが前向きに健やかに育ってくれれば嬉しいので乗りに乗る。

「私、今のままでいいのかしら?」

「いいんですよ!」

「毎日コツコツしてリンデをこえる精霊士になるのよ!」

「頑張るわ!今日は四十分でも明日は五十分になるわ!」

 エルジャイブは「そろそろアンジェリカがバスタブで温まっただろうから乾かしてやるか」、と近づいた。近づいた所で話が聞こえてしまい、「リンデ越えは無理だ」とか「明日には嵐は去る」とか色々言ってやりたかったが、面倒だったので何も聞かなかった事にした。

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