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クララとパンダとアンジェリカ  作者: 間取良可
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 アンジェリカは踊った。空は飛べないので祭壇の上で杖から花火を出しながら踊る。

 舞踏も精霊士としての教養の一つだ。ソフィアから教わっていたし、踊り手に選ばれてからは特に力を入れて教わっていた。

 踊るのは問題ない、しかし花火を出す魔法をずっと使い続けるのがアンジェリカには初めてのことでいつまで魔力が保つのかがわからなかった。


「そういう訳でな、前も言ったがお前はやったらダメな事をやったんだ、わかるな」

「はい、申し訳ありませんでした」

 クララは予告通りにエルジャイブに叱られていた。しかしソフィア程に迫力は無いし、言われてる内容も前に受けた講義の繰り返しだったのでクララにはあまり怒られてる感が無かった。無かったが、こういう時は神妙にして真面目に謝るのが正しいと祖父から教わっていたのでその通りにしていたのだ。

「これは報告書にも書くべき事故だから……ん?どうしたアンジェリカ?」

 テレパシーがアンジェリカから入ったエルジャイブはお説教を止めて祭壇方向を見た。アンジェリカが踊り始めてから三十分だ。

「わかった、ソフィアが向かう。切り上げていいぞ、よくやったな」

 そう口に出して切り上げると、食事はキノコのスープだけ食べてテントに入っていたソフィアの事を呼んだ。ソフィアもアンジェリカのテレパシーを受け取ったらしく、踊り手としての衣装姿でテントから出て祭壇へ向かう。

「クララ、アンジェリカが魔力切れで動けるかわからないから付いてきてくれ。お前ならアンジェリカを持ち上げられるだろ」

「はい!」

 クララはなんだかわからないが、嬉しくなって飛び跳ねた。それを見たエルジャイブは「こいつパンダの仲間なんじゃね?」と思ったという。


 アンジェリカがふらふらと祭壇の結界から出てくると同時にソフィアはアンジェリカの頭を撫でて「頑張りましたね」と労う。

「また出番があるかもしれませんから、今はゆっくり休んでくださいね」

「はい……はい……」

「では、いってきます」

 両腕を翼に変えたソフィアが次の踊り手だ。彼女は祭壇に入った直後に空高く飛び上がり精霊と踊り出した。

 アンジェリカはそのまま座り込んでしまい、近寄ってきたクララに説教してやろう、という当初の予定は果たされなくなる。

 そうしてアンジェリカからの説教を回避したクララだったが、当の本人は真面目な顔で「お疲れ様でしたアンジェリカさん!」と言ってアンジェリカに背を差し出した。

「さあ、乗ってください!」

「いきなりそれは無理だろ、こんなに脚にきてるのに」

 エルジャイブが居てくれて良かった、とアンジェリカはこの時心から思った。クララにツッコミを入れたくても疲れて出来ないのだ。

「アンジェリカ、よく頑張ったな」

「……私、どれだけ踊れました?」

「三十分だ」

「それだけ……」

 がくり、と首が落ちそうなくらい落ち込むアンジェリカにエルジャイブは励ましの言葉をかける。

「マディ婆さんがやたら元気なだけだ。俺だってあんなには踊れない。ましてやお前はまだ見習いなんだ。今回は経験を積むだけでいい」

 そら立ってクララに負ぶされ、とエルジャイブはアンジェリカの腕を持ってクララに背負わせた。ずぶ濡れのアンジェリカが負ぶさってクララの服に水が染みるがクララは何も言わなかった。

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