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祭壇の手前にアンジェリカとソフィアの姿を確認したマディは飛行魔法を緩めて少しずつ下がる。楽しく踊った精霊たちには「また後でね」と言いながら。
水を固めた祭壇に足をつけたらそのまま祭壇の外に歩く。土砂降りの中で踊っていたので濡れていない部分はなかった。
「はい、お疲れさん、アンジェリカちゃんも頑張ってな」
マディは布の多い衣装の水を絞るとキャンプに向かっていった。その後ろ姿にアンジェリカもソフィアも「お疲れ様でした」と声をかける。
「さあ、アンジェリカ、あなたの番ですよ、頑張ってください」
「は、はい……」
返事はすれどもアンジェリカは中々祭壇に上がれない。
「大丈夫ですよ、最初は三十分を目標にしましょう。マディさんのように、とは考えずに貴女らしく精霊たちと踊ればいいんですよ」
優しく言うソフィアには申し訳ないくらいにアンジェリカの息があがり始めた。
その時だ。アンジェリカは誰かに後ろから押されて祭壇に飛び乗った!
「アンジェリカさん!こういうのは勢いですよ!大丈夫、大丈夫!踊ればいいんですから!」
クララだった。
クララがアンジェリカを押して、祭壇に上げて、クララ自身も祭壇に上がってしまっている。アンジェリカは真っ青になった。
どうしたら正解なのかはわからなかったが、アンジェリカは全力でクララに体当たりした。よく滑る水を固めた祭壇の上でクララは弾かれるように祭壇からソフィアの元へ戻っていく。
問題はここからだ。精霊にやたらと好かれるクララに殺到しそうになった精霊たちが白けてしまっている。
アンジェリカはテーピングをした腕を振って杖の先から花火を出した。
暴風雨の中で花火の魔法を維持するのは大変な事だが、精霊の気は引ける。このまま聴こえてくる音楽に合わせて踊るしかない。
強ばっていた体には「やるしかない」という気迫がみなぎっていた。




