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荷積みも終わり、赤竜ターンを飛び立たせようという段階でターンの竜騎手とリンデが揃って現れた。
「こちら、今日と数日後に世話になる赤竜の竜騎手ラーズだ」
リンデがラーズを紹介すると、精霊士たちが挨拶を返す。雑用係は竜の背で積荷の最終チェックをしていた。
最終チェックが終われば赤竜は飛び立つ、クララは竜に装着されているハーネスの位置を確認して「これはハーネスは一人一個なのでは…?」、と顔を青くしていた。
「エルジャイブさん!」
「どうしたクララ」
「ハーネスは増量できませんか!?」
「ああ…お前空飛ぶのダメなんだっけ…増量はラーズと相談だな」
「相談してきます!」
竜の背に登ってきたラーズが丁度見えたのでクララはラーズに駆け寄った。
「初めまして、雑用係のクララです!」
「あ、初めまして、ラーズっす」
「突然ですが、怖いのでハーネスは増やせませんか」
「ああ、できるっす。今あるハーネスに足せばいいんすね」
予備は竜の首付近にあるらしく、ラーズはそこから四本のハーネスを追加で持ってきてくれた。
「すまねぇな、ラーズ」
「いいんすよ、高いところが怖いのは仕方ないことっすから」
ラーズとエルジャイブは知り合いらしく、軽い調子で話をしていた。
雑用係は集まって、クララをどこに固定するか話し合う。
「クララさんは女の子ですから、精霊士さん達の方に座ってもらいますか」
「まあ、こっちはむさ苦しいからな、それがいい」
「気をつかっていただいてすいません」
竜の背は荷物を積んで、その合間に座布団が敷いてある。座布団にもシールが貼られて竜の背に接着されている。竜の頭方向に精霊士、尻尾方向に雑用係が座る予定なのでクララは竜の背の真ん中辺りに座ることになった。
「あ、あわわわわわ」
防風結界を張った赤竜が空を行く。
『ハーネスぐるぐるちゃん』状態となったクララはどうしても空高くに居る自分に信頼が置けずハーネスを握りしめていた。
そのクララを見ていたアンジェリカは少し自分が冷静になっているのを感じている。空を飛ぶだけなのに恐慌気味になっているクララを見ていたらなんだか頭がスッキリしてきて空腹も感じてきた。ひと段落したら何か食べようと思える程に。
「クララ、お前よく谷の都でやってこれたな」
「ふ、普段は谷底の町から出ません!」
「スカウトした俺が言うのも変だけど、なんか悪いな」
「アンゼ=ルーカは大好きなんです!飛ぶのが怖いです!」
クララとエルジャイブの言葉を聞いて、クララがアンゼ=ルーカを好きになっていたことを知ってアンジェリカはなんだか嬉しくなった。そうだ、谷の都は良い町なのだ。
赤竜が目指すのは谷の都から離れた場所にある平原だ。




