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クララとパンダとアンジェリカ  作者: 間取良可
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 クララとライトミィが精霊殿二階の掃除をしていると、階段を昇ってきたリンデと出会した。

 リンデは髪をボサボサにしており、服もどこか皺が寄っている。クララは「リンデさんは(エルジャイブと違って)ちゃんとしたイメージの人なのにな」と思いながら挨拶をすると、ライトミィが気さくに声をかける。

「風の交信室帰りかしら?」

 その言葉にリンデは髪の毛を手櫛で直しながら苦笑する。

「その通りだよ。部屋に行けば身繕いもできるんだけどね、風の交信室前に鏡を置くように進言しようかな」

 じゃあね、とそれだけ言葉を交わしてリンデは行ってしまった。


「ミィさん、風の交信室ってどんな所なんですか?」

 二階廊下を掃き清めながら質問する。分からない事は聞くのが手っ取り早い。

「一階から屋上まで吹き抜けになってる変わった部屋よ、私も見学で一階から見ただけだけど、自力で飛行できるか、魔法魔術で空が飛べる人が同伴しないと雑用係は入ったらダメ」

「なんでですか?」

「吹き抜けの中は凄い風が吹いてて、軽いものは五階を越えて屋上まで飛ばされるわ。屋上まで行くと風の流れが変わって精霊殿の外には影響の無い風なんだけど、とにかく強風なのよ。凄く危ない場所ね」

 クララはうんうん、と頷いて身震いした。

「交信室って極端な場所が多いですね」

「木と土の交信室は穏やかよ、広い部屋に芝生と苔が生えてて大樹があるだけ。三階から突き出してる木ね」

 あれ?、とクララは質問をする。

「その交信室の掃除はしなくていいんですか?」

「風の交信室は有翼人の雑用係がやってくれるし、木と土の交信室は精霊士が自分たちでやるわ」

 そうなんだ、と納得し、クララは掃除の続きをした。その内見学できる日も来るだろうと思いながら。


「やあ、クララ、この後の予定はあるかい?」

 その日の終業と共にリンデが一階・二階清掃の詰め所にやって来た。何故か詰め所の女たちがリンデにキャーキャー言っている。

「何も予定はありませんよ」

「じゃあ、精霊殿見学をしよう」

 既に決まってる予定を話すようにリンデは勧めてきた。なんでリンデはキャーキャー言われているんだろう。そこへライトミィが入ってくる。

「よろしくお願いします。誰かに精霊殿全体を見せてもらったらいいと思ってたんです」

 ライトミィに送り出されてしまった。でもそれなりに興味のある事だったし、行くのもいいな、と思って「よろしくお願いします」と頼んでみる。リンデがにっこり笑うと、また女たちがキャーキャー言った。


 まずは風の交信室、と歩いている時にクララはリンデに聞いてみた。

「リンデさんはなんで人気なんですか?」

 その質問にリンデは、ははは、と笑って答える。

「私は他の街への出張の時に雑用係のみんなに土産を買う事が多くてね、だからじゃないかな。それか、双子の兄と顔が似てて男に見えるからかな」

「お兄さんがいらっしゃるんですか、でもリンデさんは女性らしいお顔立ちですよ」

 最初見た時に男と間違えたのは長身のせいだと心で言い訳してクララは素直な気持ちを言ってみて、その後に気付く。

「……ん?雑用係みんなにお土産ですか!?それはお金がかかるのでは?」

「金持ちなんだ、家がね」

 さらりと嫌味無くリンデは言う。クララから見てリンデの横顔は布で隠されている方で表情はわからない。

「はい、ここが風の交信室、ドアは特殊なものでね、魔力を通さないと開かないようになってるんだ」

 風の交信室につながる白い扉は至って普通に見えたが、「開けてみて」と言うリンデに従ってドアノブを回しても押しても引いてもびくともしなかった。魔力を通せばいい、と言われたがクララは水を出す魔法は使えても魔力の扱いはサッパリなのでリンデに扉の前を譲る。

「魔力を使う、ってことはね、体を巡るエネルギーを感じて掴み取る感じだよ」

 リンデの手のひらに光の筋が浮かぶ。

「わかりやすく魔力を光らせてみるとこういう感じ」

 手のひらをクララに見せてからドアノブを握ると、光の筋がリンデの手からドアノブを通って扉全体に広がっていき、ガチャリと開いた。

「うわー、魔法、って感じがします!」

「ただ光らせただけだけどね」

 さあ入ろう、とリンデが扉を開けてくれたのでクララは風の交信室へ入っていった。

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