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給料日から二日後、クララは休日だったので古着屋巡りの為の地図を紙にメモして出かける事にする。
古着屋のある通りは精霊殿の正面通りからが行きやすいようなので一度精霊殿の正面口に行くと妖精パンダが寄ってきた。
「おはようなのよ」
「おはよう、パンダ」
「今日はお祈りしにきたの?」
「違うよ、お買い物」
「たまには精霊にお祈りするのもよいものよ、じゃあね」
「じゃあね」
パンダはクララの元を離れると精霊殿入り口の階段を上がろうとする幼児を見守りつつ励ましの言葉をかけていた。中々に騒がしい。
あちこちの店を冷やかしつつ最初の古着屋に着いたのは三十分後だった。都会だとウィンドウショッピングもこんなに楽しいものなのかとクララは心の中で感動していた。クララの住んでいた集落から一番近い街ではその店に無かったら他の店でも大体無いものなのだ。それが都会だと色んな店に色々なものが置いてある。感動だ。
まずは一軒目の古着屋、二軒目の古着屋、とゆっくり時間をかけて回っていく。三軒目の古着屋で棚に置いてあるシャツが全て五〇パルという素敵な価格設定に出会った!
じっくりとサイズやデザインを見ていって着やすそうなシャツを二着買う。ここまでで古着屋巡りを始めてから一時間が経過していた。
更に四軒目、五軒目と回って薄手のジャケットを一〇〇パルで購入して一度寮に帰ることにする。
寮に戻って買った服を仕舞い、誰もいない談話室で衣料品店特集が組まれた雑誌を広げる。服のコーディネートのコツも書いてあったのでしっかり読む。メイの集落に居た時は古くなった親戚の服を草木染めで染め直したりして着ていたので気付けばアースカラーの服ばかり着ていた。折角、都会で暮らしているのだから、もっとハッキリした色合いの服が着たいなぁ、と思いながら雑誌を読む。
アンジェリカの家だというオーキッド衣料品店への地図をメモして本を閉じた。
女子寮だけあって談話室にはまだ服飾に関する本が置いてある。昼まではこれらを読んで過ごそうと決めた。
昼食は大食堂のチキンカツサンドを頼んで食べる。休日なのでデザートも付けた(プリンだ)。
いつか都会のデザートも食べてみたいな、と思いながら食事をする。
クララにとって街のデザートはアイスクリームだった。
山の上までは持って帰れない溶けてしまう儚いデザート。それが今では寮の近くにあるスピアーズ商店で買える。寮に持ち帰れる。シャワー上がりに食べられる。なんという至福。
メイの集落から一番近い街に買い出しに出ても、帰りの牛が牽くリヤカーには小麦粉や塩や砂糖が山のように積まれて子供のクララの買い物は積めなかった。山の下から上までの道のりを持って上がれるだけの荷物しかクララには手に入れることはできなかったのだ。
午後は部屋で買った服と持ってる服を合わせたりしてみた。髪型も変えてみたいが、洒落た編み込みはやり方を知らないクララなので、アンジェリカを真似て位置を高めに二つに結ってみた……クララにはあまり似合わないようだ。段々と位置を下げていって耳より少し下くらいなら二つ結びも似合う事が分かったのでよしとする。
今日はまだ時間もあるので、アンジェリカの家、オーキッド衣料品店に行ってみよう。




