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クララとパンダとアンジェリカ  作者: 間取良可
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「さあ、ここが火の交信室だ」

 リンデの案内で火の交信室に着いたクララは静かに中に入って暑い熱い空気の中、タオルの補充をして部屋を出た。少し入っていただけで暑い!

 部屋の外ではリンデとエルジャイブが話しをしている。

「きみはどうだった?」

「今回の収穫は無かったみたいだ。一人送ったが……おうクララ、お疲れさん!」

 エルジャイブと目が合った。話の邪魔をしてしまっただろうか?

「さあ、次は何処に行くんだ?俺は今日はもう上がりでな、暇だ!」

「すみませんが、二階に下りる階段まで案内していただけると……」

「そうか!行くぞ!」

 今度はエルジャイブが先導して行く。なんとなくだが、火の交信室から二階の階段までは見覚えがあったが、それでも迷ったら次は誰にも助けてもらえずに時間を食うかもしれない、そう考えて素直に道案内を頼むことにしたのだ。

「迷うよね、精霊殿。谷底の精霊殿は一番大きくて複雑だから」

「でも地図は作るなよ、安全管理上、流出すると不味いんでな」

「なんでですか?」

 空の洗濯籠を脇に抱えて疑問をぶつける。

「昔、都市同士で戦争してた時代は精霊殿を制圧して精霊士を奪ったりしてたんだよ。その名残」

 戦争という日常とかけ離れたワードが出てきてクララは少し青くなる。さっきからリンデからは不穏な言葉がよく飛び出してる気がしてならない。

「昔は精霊の軍事利用なんてのもあったりしたらしいからなあ」

「らしい、じゃなくてあったんだけどね」

 今の世の中が平和で良かった、妖精パンダの踊りに手を叩いてリズムをとれる世の中で良かったとクララは心から思った。


「この階段の下からはきみたちのエリアだよ」

 エルジャイブは階段を下りようとしたが、リンデはそうではないらしい。クララを見送って手を振っている。

「なんだリンデ、行くところあるのか?」

「ソフィアのところへ、帰ってきた報告さ」

 いいなぁ!、とエルジャイブもその言葉に乗った。

「ソフィアの部屋ならなんか美味いもの置いてあるかもな、俺も行くわ」

「え、きみも来るのかい?」

 少しリンデは嫌そうだったが、エルジャイブは全く気にしていなかった。クララ的には二人がソフィアと知り合いなのが驚きだが、二人が精霊殿にどれだけ勤めてるか知らないのでクララよりソフィアとの付き合いも長いのだろうと納得した。

「じゃあな、クララ。元気でな。仕事頑張れ」

「また何かあったら気軽に声をかけておくれ」

 二人に手を振って階段を下りると、壁にぶどう色の模様があった。これが今まで無かっただけでどれだけ心細かったことか!

 見知った道を通り、二階の清掃係に挨拶をしながらタオル回収・洗濯の詰め所に戻っていった。


 そういえば三階より上にパンダがいなかったな、と一階に下りた時に気付いたので近くにいたパンダに聞いてみたら「三階より上でも交信室でじゃましないようにあそんでたりするのよ。火の交信室?あついからイヤなのよ」と答えてくれた。

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