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それからしばらく経ち、クララは一階の廊下掃除を一人でもこなせるようになった。廊下の窓掃除も素早くなり、一階二階を繋ぐ階段の掃除も位置もばっちりになってきた。今では二階の廊下を掃除している。バリバリ働く十五歳、それがクララであった。
二階の廊下の道中も憶えてきたところで。
「ライトミィとクララは明日から『タオル回収・洗濯』になります。よろしいですか?」
そうハイラに言われ、クララには一階・二階掃除じゃなくなる、ということしかわからなかったのでライトミィの反応を伺っていたらライトミィは「はい」と了承していたので後を追って「はい!」と言っておいた。
「でもクララは大丈夫でしょうか?三階、四階にはまだ立ち入らせてませんが……」
ライトミィの言葉にクララは「え?二階より上に行くの?」と声には出さず目を大きく開く。
「三階・四階掃除はシフトが埋まってるのです……先にタオル回収で一部だけでも道を憶えてもらおうと思いました」
「わかりました。クララ」
「はい!」
「聞いての通りだから、明日から仕事が変わるわよ」
「はい!頑張ります!」
「前向きなのはいいことだわ」
クララ新しい仕事である。
翌朝、集合場所のタオル回収・洗濯の詰め所(というか仕事場)は一階にあった。何度も掃除の際に通っている大部屋だ。中には大型の洗濯機と乾燥機が数台ずつ置いてある。
働く人数は5人程で、クララの自己紹介が大きく響いた。
「クララ・メイです!よろしくお願いします!」
「はい、クララさんはライトミィさんと暫く一緒に仕事して教わってね、一人でできるようになったら一人でやってもらますからね」
ここのリーダーは少しふくよかな中年女でエルシアと言った。
仕事が始まると、まずは洗濯機と乾燥機の中をチェックする。昨日の忘れ物がないかを見るのだ。
その後は空の洗濯籠を持って地下にある水の交信室、四階にある火の交信室に分かれて向かう。地下への階段は一階の掃除の時に把握しているクララはライトミィの案内で四階の火の交信室へ向かうことになった。
火の交信室には暖炉、暖炉、暖炉、暖炉……暖炉だらけだった!それも全ての暖炉に火が入っている。
「え、なんですか、この部屋……」
「しっ、精霊士が交信してるわ、黙ってついてきて」
あまりの暑さに汗が噴き出す。ライトミィも汗をかいているが、何も言わないところを見るにこれが通常運転なのだろう。
部屋の暖炉前にはローブを着た精霊士たちが炎を相手に語り合っている。その光景にクララは頭の中で「精霊との交信ってこんななの?」と若干引いていた。
そんな部屋の隅にはタオルが置かれた棚が二つある。使用前タオル置き場と使用済みタオル置き場だ。何に使ったタオルか、そんなのこの暑い部屋でかいた汗を拭ったものに決まっている。使用済みタオルを持ってきた洗濯籠に入れて部屋を出る。
涼しく心地よい風が吹いて汗の粒が浮かぶ額を撫でていってくれた。
「火の交信室、いつもこうなんですか?」
「火の精霊を喚ぶのに火を熾さなきゃいけないからねぇ、暑いわよね……」
洗濯籠いっぱいになったタオルをよいしょ、と籠ごと持ち上げてクララとライトミィは一階の詰め所に戻っていった。




